登校中の児童がまた犠牲になった。27日朝、千葉県館山市で起きた交通事故。被害に遭ったのは、遠方の学校に通うため、停留所で路線バスを待っていた子どもたちだった。京都府亀岡市で集団登校中の児童ら10人が死傷した事故が起きたばかり。学校関係者らは情報収集や安全対策の確認に追われた。
「ドーン」。現場近くに住む女性(23)は音と揺れに「地震か」と、家を飛び出した。道では悲鳴が上がり、はねられた館山小1年の山田晃正(こうせい)君(6)の母親とみられる女性が「晃正、晃正!」と叫んでいた。
晃正君は車の下にすっぽりはまっていた。集まってきた住民らが車を持ち上げ、助け出したが、ぐったりしていた。
別の近所の女性(65)によると、その脇では運転していた大河原央徹容疑者(20)とみられる男が土下座して「ごめんなさい」と繰り返していた。近くにいた人には「仕事のことばかり考えていた」と、うなだれて話したという。女性は「この辺りはいつも車がスピードを出していて危ないと思っていた。雨の中、子どもにすがる母親の姿が見ていられなかった」と話した。
現場は、海岸沿いから館山市の中心部に向かう県道257号(房総フラワーライン)のバス停前で、緩やかな右カーブ。周囲には畑や住宅が点在し、見通しは悪くないが、事故当時は雨が降りしきっていた。歩道やガードレールもなかった。
バス停には児童4人が一列に並び、母親2人が付き添って路線バスを待っていた。そこに市中心部に向けて走ってきた軽乗用車が突っ込んできたという。
晃正君をはねた車はそのまま約25メートル走り、民家の庭先で止まった。現場には下敷きになったランドセルが残り、中央分離帯には飛ばされたバス停の看板が倒れていた。
学校関係者によると、無事だった小学1年の男女、3年の女児は後続の別のバスで登校した。
館山市教育委員会によると、市内にはバス通学をしている小学校が館山小を含め3校、中学校が2校ある。このうちの神戸(かんべ)小では2010年9月、バス停で待っていた下校中の児童約10人の列に乗用車が突っ込み、児童4人と乗用車の同乗者の計5人が重傷などのけがを負う事故も起きた。市教委は事故後、市内の全小中学校に安全指導の徹底を求める通知を出していた。
同市では学校の統合が進み、遠距離通学になった児童や生徒に、バス通学に対する補助金を支給している。館山小は補助金の対象外だが、保護者の判断でバス通学が認められ、全校児童の約15%にあたる74人がバス通学をしていた。現場と小学校は約2.8キロの道のり。