新日鉄とポスコの蜜月関係が壊れた理由

 26日付日本経済新聞は、韓国鉄鋼大手のポスコを相手取り特許訴訟を起こした新日本製鉄が、ポスコの特許侵害に関する確実な証拠を確保したと報じた。新日鉄は本格的な訴訟を控え、メディアを利用し、機先を制した格好だ。

 同紙によると、新日鉄は1990年代にポスコが電磁鋼板製品を発売した当時から新日鉄の技術を利用していると疑い、複数回の警告を行ったが、決定的な証拠をつかむことができなかった。電磁鋼板は発電機やモーターの鉄芯に使われる高付加価値の鋼板だ。新日鉄は2007年に韓国・大邱地検がポスコの関連技術を中国企業に流出させたとして、ポスコの元研究員を起訴した裁判で、特許侵害の証拠をつかんだと主張した。

 同紙によると、ポスコの元研究員は当時の裁判で、中国に流出した技術はポスコの独自技術ではなく、新日鉄の技術だと主張したとされ、新日鉄は裁判記録を分析し、ポスコに技術を漏らした元自社幹部を特定したという。新日鉄は昨年12月、日本の裁判所に証拠保全を申し立て、日本の司法当局は元幹部の自宅の家宅捜索を行い、特許関連書類、元幹部とポスコの関係を裏付ける文書を押収したとされる。

 一方、ポスコは「あきれる内容だ」といった反応だ。同社関係者は「当時の裁判でポスコの元研究員が有罪判決を受けたのは、元研究員が流出させようとした技術がポスコの独自技術だと裁判所が認めたことを示している」と指摘した。韓国鉄鋼業界の関係者は「新日鉄が訴訟を有利に展開するため、メディアを利用しているのではないか」と述べた。

 日本では、両社の経営陣の世代交代が訴訟の背景にあるとの分析も聞かれる。ポスコ創業者の朴泰俊(パク・テジュン)名誉会長が昨年12月に死去し、両社をつなぐ人脈が切れたとの見方だ。新日鉄が長期にわたり訴訟準備を進め、朴名誉会長の死去を受け、行動を起こしたとの見方もある。日経産業新聞は「両社がこれまでの蜜月関係を取り戻すのは難しいのではないか」と報じた。

 また、世界的な金融危機以降、電子、自動車、鉄鋼などの分野で韓国に押され始めた日本企業が、技術を盾に本格的な対応に乗り出したという分析もある。ソニーなど日本を代表する企業が韓国企業に圧倒され続けていることに対する被害意識や反省が台頭しているとの見方だ。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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