過熱する韓国への言語挑発、新指導者正恩氏のイメージ強化狙いか
[ソウル 26日 ロイター] 韓国の李明博大統領を「ネズミ」と呼び、同国の首都ソウルを「焦土化する」と威嚇するなど、北朝鮮メディアの言語挑発が過熱する中、これらの挑発は主に、新指導者である金正恩氏のイメージを北朝鮮国内で高めるために行われているとの見方がある。
李大統領は、北朝鮮の故金日成主席の生誕100周年記念行事で使われた資金について、北朝鮮住民の食糧に充てるべきだったと述べたほか、失敗に終わった北朝鮮のロケット発射は資金の無駄だったと非難していた。
現在はソウルで暮らす脱北者のChang Hae-song氏は、「北朝鮮のメディアは、食糧不足の問題を忘れさせるため、国外の話題に国民の注意をそらそうとしている」と述べた。同氏は北朝鮮では国営テレビのレポーターやドラマの脚本家を務めていた。
北朝鮮では、3G回線を利用した携帯電話の加入者が約100万人に上り、韓国から持ち込まれたドラマのDVDなどを通じ、国民は韓国の生活水準の高さについて知ることができる。
2002年に韓国に到着した北朝鮮の元政府当局者、Sohn Jung-hoon氏は「もちろん、北朝鮮にいても国外での出来事は耳に入ってくる」と指摘。しかし、「それでも昔からの考え方を変えることは難しい」とし、当局は「洗脳をやめず、貧困は敵がもたらしたものだと言い続けている」と述べた。
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