日本の鉄鋼最大手、新日本製鉄はこのほど、韓国鉄鋼大手ポスコなどが変圧器などに使う高性能鋼板の製造技術を不正に取得したとして不正競争防止法(営業秘密不正取得行為)に基づく民事訴訟を東京地裁に起こした。新日鉄は、1000億円の損害賠償と高性能鋼板の販売差し止めを求めている。25日付日本経済新聞が報じた。
新日鉄は、ポスコの設立初期から戦略的提携関係にあり、ポスコの株式を約5%保有している。このため、今回の提訴で、新日鉄とポスコの友好的関係にひびが入るのではないかとの見方もある。新日鉄は米国でもポスコを提訴した。
新日鉄はポスコの高性能の電磁鋼板が特許を侵害していると主張した。電磁鋼板は、変圧器や発電機などに使用されるモーターコアの材料で、新日鉄とポスコが世界市場を二分している。これに先立ち、新日鉄は昨年10月、ポスコに抗議文書を送っていた。
ポスコは「電磁鋼板は1990年代にポスコが自社技術で開発した製品で、新日鉄の技術とは全く異なる方式で生産されている」とし、特許侵害を強く否定した。鉄鋼業界は、新日鉄が高付加価値製品の電磁鋼板市場を守るために取った苦肉の策ではないかと分析している。
新日鉄は昨年第4四半期に赤字に転落するなど、鉄鋼の供給過剰による業績不振に苦しんでいる。鉄鋼業界関係者は「訴訟で賠償金を受け取ることが目的ではなく、ポスコにダメージを与え、環境対策ブームで好調な電磁鋼板市場を先取りしようという狙いがあるのではないか」と述べた。