WEDGE OPINION

「日本海」が「東海」になる日
韓国のプロパガンダに無策の日本

下條正男 (しもじょう・まさお)  拓殖大学教授

國學院大學大学院文学研究科博士後期課程修了。1983年、韓国の三星グループ会長秘書室勤務。1994年、市立仁川大学客員教授。1999年から拓殖大学国際開発研究所教授。著書に『日韓歴史克服への道』(展転社)や『竹島は日韓どちらのものか』(文藝春秋)などがある。

WEDGE OPINION

大きな曲がり角を迎えて制度疲労を抱えながら、方向性を見失ったままの日本。今こそ将来を見据えた、大局観のある真摯な議論が必要です。手練れの執筆陣による、タブーを恐れず時流におもねらない“OPINION”を、WEDGE独自の視点で展開します。

»最新記事一覧へ

 また、韓国では「東北アジア歴史財団」という国策機関が組織され、竹島や東海呼称問題だけでなく、慰安婦問題や靖国問題、歴史教科書問題などで日本を非難する対外工作を行っています。さらに、中高生7万人もの会員を擁する「VANK」という団体は、韓国政府の支援を受けながら、国連機関や世界のマスコミや地図会社などに、「竹島は韓国の領土である」、「東海併記を認めよ」という主張を、英文メールで送りつけたりもしているのです。

 日本も、たとえば国家戦略室のようなところが、歴史問題や領土問題を総括的に捉え、戦略的な対策を講じていくべきです。「VANK」のようにウェブを使い、日本の主張を英文で発信していくことも、非常に効果的だと思います。

「国土」は水を溜めるコップの役割

──しかし、日本という島国で、平和な時代に暮らしてきた私たちにとって、領土問題や歴史問題はどうしても生活から縁遠く、若い人はとくに関心を持ちにくいように思います。私たちは、国民としてこの問題をどう受け止め、考えていけばよいのでしょうか。

下條教授 : 日本の国会では、社会保障や消費税の増税など、内政問題については激しい議論が交わされます。しかし領土問題については、まともな議論が行われていません。内政問題というのは、いわばコップの中の水であって、国土はその水を溜めるコップの役割です。

 中国や韓国やロシアなどの外圧によって、コップの形が歪められようとしているのに、日本の多くの政治家は危機感すら抱くことなく、対策を講じようとしていないのが現状です。国会議員の先生の中には、領土問題のような国家主権に関わる問題は「票にならない」として、関心を持たない人が多いようです。領土が侵され続けているというのに、次の選挙のことばかり考えているようでは、政治家を名乗る資格はありません。

 そのような人たちを長年国会に送ってきたのは、有権者である我々です。北方領土(含む南樺太・千島列島)、尖閣諸島、竹島、日本海呼称問題と、危機がそこまで迫っているというのに、私たちはのんきに過ごしてきました。いま日本人は、ますます厳しくなる国際情勢を直視し、目を覚ます必要があります。有権者である皆さんが領土問題に関心を示すことで、心ある国会議員を動かすことができると思います。

previous page
3
「WEDGE OPINION」
このエントリーをはてなブックマークに追加
  • newsing it!
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • mixi チェック
  • livedoor クリップ
  • Delicious
  • Digg submit
  • Furl this page
  • Stumble It!
  • FriendFeedで共有

著者

下條正男(しもじょう・まさお)

拓殖大学教授

國學院大學大学院文学研究科博士後期課程修了。1983年、韓国の三星グループ会長秘書室勤務。1994年、市立仁川大学客員教授。1999年から拓殖大学国際開発研究所教授。著書に『日韓歴史克服への道』(展転社)や『竹島は日韓どちらのものか』(文藝春秋)などがある。

ウェッジからのご案内

WEDGE、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

WEDGE ひととき ウェッジの書籍