亀岡署 被害者の連絡先を伝える4月26日 4時7分
京都府亀岡市で登校中の小学生の列に軽自動車が突っ込み、10人が死傷した事故で、警察が、被害者全員や親族などの連絡先を逮捕された18歳の少年の父親に伝えていたことが分かりました。
少年の父親が、亡くなった女性の携帯電話に連絡して事態が発覚したということで、遺族は強く反発しています。
今月23日の朝、亀岡市篠町の道路で集団登校していた小学生の列に軽自動車が突っ込み、小学2年生の小谷真緒さん(7)と、別の児童の保護者の松村幸姫さん(26)の2人が死亡し、8人が重軽傷を負いました。
無免許で運転し、事故を起こしたとして、亀岡市の無職の18歳の少年が逮捕されましたが、亀岡警察署の警察官が、少年の父親の求めに応じて事故の翌日、死亡した2人とけがをした8人の名前や住所、それに携帯電話の番号や親族の連絡先を伝えていたことが分かりました。
亡くなった松村さんの夫や親族によりますと、松村さんの携帯電話に25日午後までに少なくとも3回の着信履歴があり、気付いた松村さんの親族がかけ直したところ、少年の父親が「謝罪したい。告別式に参列したい」と話したうえで、「連絡先は警察から聞いた」と説明したということです。
松村さんの親族が警察にただしたところ、亀岡警察署の大棚吉一署長らが25日夜、自宅を訪れ、署員が亡くなった2人の個人情報を逮捕された少年の父親に伝えたことを認めたうえで、謝罪したということです。
また、小谷さんの親族に対しては、京都府警察本部犯罪被害者支援室の担当者が謝罪したということです。
松村さんの夫は「警察は被害者ではなく、加害者側を守ろうとしているようにも思える」と話し、強く反発しています。
26日未明、記者会見した大棚署長は「ご遺族の感情を逆なでし、配慮が足りない行動だとつくづく思い、全面的に私たちのミスで本当に心からおわびいたします」と述べました。
そのうえで「少年の父から『謝罪したい、被害者の連絡先を教えてほしい』という強い求めがあり、署員が応じてしまったようだ」と述べる一方、詳しいことは調査中で明らかにできないと述べました。
今回の事態について京都府警察本部は「監察部門において事実関係を調査中であり、その結果に基づき、厳正に対処します」というコメントを出しています。
被害者の家族“何を信じたらいいのか”
亡くなった松村幸姫さん(26)の夫の晶史さんは「きのう午後逮捕された少年の父親から『謝罪したい、告別式に参列したい』と連絡があった。なぜ妻の携帯番号を知ったかと聞いたら、警察から聞いたと言っていた。警察がそんなことをするはずがないと思い、警察に説明を求めたところ、夜になって署長らが来て謝罪をした」と話しています。
そのうえで晶史さんは「署長から『部下が勝手にやったことで知らなかった。警察官の処分はしますからそれで許してください』と言われて憤りを感じた。警察は被害者ではなく、加害者側を守ろうとしているようにも思え、何を信じたらいいのか分からない」と話していました。
松村幸姫さんの父親の中江美則さんは「娘の携帯が鳴ることはお悔やみのメール以外になかったのに、電話が鳴って不思議に思った。なぜ娘の携帯番号に加害者側の着信記録が残されなくてはならないのか納得できない。はじめのうちは警察がまさかそういうことをするとは思っていなかったので、信じられない」と話しました。
さらに中江さんは「娘の葬儀を無事に執り行いたいと思い、逮捕された少年の側の情報は知りたくてもあえてこちらから警察には聞かなかったのに、被害者側の個人情報は勝手に警察から流されてしまった。警察にすがる思いを抱いていただけに憤りを感じる」と話していました。
少年の伯父“逆なでし申し訳ない”
逮捕された18歳の少年の伯父は「少年の父親が、松村さんの遺族に対して、電話で心からおわびする気持ちと葬儀や告別式に参加させていただきたいということを伝えましたが、厳しい言葉で断られたと聞いています。遺族の方のお気持ちを逆なでするような結果を招いてしまい、本当に心苦しく、誠に申し訳ありません」と話していました。
▽ 少年“前夜から約10時間運転” (4月25日 4時2分)
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