大橋の獅子舞
祭名称 大橋 三匹獅子 (一人立三匹獅子舞、千葉県松戸市)
神社名称 胡録神社 (正式には、“録”に“たけかんむり”が付く)
祭 神 面足倶推命

「大橋 三匹獅子」虎の巻によれば、大橋胡録神社の創建は1500年頃。その後、徳川家康の直臣の秋山越前守虎康(1552〜1607)が数々の戦闘で殺伐した多くの将兵の霊を弔うために、出家し日楽上人と称し、了修山本源寺を建立、その守護神に大録天宮を祀ったのが現在の胡録神社と伝える。
面足倶推命の名前の神は見あたらず、日本書紀の面足尊(おのだるのみこと)・惶根尊、古事記の於母陀流神(おもだるのかみ)・阿夜訶志古泥神ではないかと思われる。
面足尊は、神代七代の第六代の神で、大地の表面が完成した意味で、不足することなく具わり、満足を意味する神名ともいう。本地垂迹に説かれる第六の魔王・第六天に擬せられており、神仏分離以降第六天神神社・面足神社などに改称した神社が多い。
虎の巻の「大録天(宮)」と面足尊の「第六天」の読みが同じであり、面足倶推命は面足尊をいうと思われる。
祭内容  獅子舞の起源の詳細は不明。150年ほど昔に、この地方一円に悪病が流行した折、その平癒と秋の収穫を祈願したのが始まりとされている。それが慣例となり、村に済む息子に限って舞うことが半義務づけられている。
獅子舞保存会が結成され、10月28〜29日の祭礼で獅子舞を奉納している。
昭和44年に松戸市の無形文化財に指定された。

 獅子は、前獅子・中獅子・後獅子と呼ばれる一人立三匹、猿(道化)が加わり、4〜5の笛と謡手により舞う。
 獅子頭は龍頭型、後獅子には巻角、前獅子には真っ直ぐな角が付く。腰に腰鼓(羯鼓)を付け叩きながら舞う。腰鼓の大きさは、後−前−中の順に小さい。衣装は、唐草模様の一重の剣道着と山袴に白足袋。獅子頭の顎の下から腰あたりまでの後・前獅子は濃紺の薄絹、中獅子は赤の薄絹を垂らす。帯に五色の御幣を付ける。舞手は村民が伝承し、若手に引き継がれる。
 舞う場所は、拝殿前に「獅子」と書かれた高張り提灯を2個を立て、2個の花笠を置き、敷いた薄縁の上で舞う。
 獅子は、社務所で準備し、社殿で捧げられていた獅子頭を着け、舞台へ入る。

 舞いは、28日、29日の19.30頃から行われ、28日は、「宿入り」と呼ばれる、宿の家の厩の馬を誉める舞い。29日は、「神前の獅子舞」と呼ばれる、神社の建物の立派なことと、建物を建てた大工の腕を誉める舞い。
 猿は、昔の色々なおもちゃを染め抜いた赤い上下に、赤く太い襷と同じ帯を締め、御幣や鈴を付ける。獅子と一緒に舞う猿の舞いは、安産と良縁のまじないで、昔は若い女性に抱きついて御利益を授けたという。また、みかんや菓子などを集まった子供たちにおどけた動作で配る。この効果で、子供の見物が多い。舞いの最後に、神前に供えられた御下がりという柿が投げられるという。
 舞いは、19.30〜の夜に行われるが、その由来は不明で昔からの慣習だという。
 (参考資料:大橋獅子保存会発行「大橋 三匹獅子」など)
開催場所・日時
 開催場所:千葉県松戸市大橋769:胡録神社 (雨天の場合は、隣の大橋集会所で実施。徒歩2分)
 日 時:10月28〜29日
日 時 午前中 19.30頃〜
28日 御前水(神事) 獅子舞 (露店なし)
29日 獅子舞 (露店でるらしい)
 アクセス
  GJR常磐線松戸駅−京成バス市川行「松51」(西口5番乗り場)・胡録神社下車−徒歩0分
大橋の地図
問い合わせ先  松戸市役所社会教育課:電話:047−366−7462
 大橋獅子保存会オフィシャルサイト:http://www.shishimai.org/
参考資料 大橋獅子保存会発行「大橋 三匹獅子」
松戸市教育委員会編纂「千葉県松戸市の三匹獅子舞」
 温暖化のせいか、見物に行った2006年10月の28日は、あと2〜3日で11月だというのに薄手の長袖シャツで十分なほど暖かい夜であった。29日は雨の予報で28日に行ったが、結局29日も朝は降られたが、獅子舞のある夜は晴れた。
 JR松戸駅からのバスは、胡録神社の鳥居の脇にバス停があり、長い参道を通って30段ほどの石段を登った小高い丘の上に神社はあった。近所は民家が密集しているが、境内は広い。この日は土曜日であったが本祭は29日とのことで、外来者は少なかったが多くの地元の人で賑わった。29日には露店もでるという。
 松戸市にも昔は多くの獅子舞があったというが、現在は和名ヶ谷、上本郷と大橋の3ヵ所のみとなった。大橋では、近年、若い人の参加を増やし後継者作りに尽力しているという。古い伝統芸能が残るのは、非常に嬉しいことである。
敷いた薄縁で獅子は舞う。会場は多くの裸電球で照らされ、十分な明るさがある 舞いは、お茶をはさんで行われる
社殿の前に「獅子」と書いた高張り提灯を立て、花笠を置く。敷いた薄縁の社殿側に4人の笛と謡手が座る。会場は多くの裸電球で照らされ、十分な明るさがある。 舞いは、途中でのお茶をはさんで行われる。所作は、立ったまま左右に手を振り上げるなどで、猿も一緒に舞うこともある。
手前の後ろ向きの手ぬぐいで頬被りした4人が笛の囃子手。
猿は、みかんや菓子を配るのに忙しい
獅子の舞いは比較的おとなしく、動きの多い猿に注目が集まる。猿は、赤いびんざさら(注)を鳴らしながら獅子の舞いに合わせたり一緒に踊ることもあるが、みかんや菓子を子供に配る時間が多い。びんざさらは、20枚ほどの15cm×5cmほどの小板を紐で束ねたもので、ばさっ、ばさっと板を叩き合わすと音が出る。猿の面は、全体が朱塗りで金色の目と歯で、安産と良縁が授かりそうな愛嬌のある顔立ちをしている。
注)“ささら”は、編木・拍板・拍木板・佐々良・笹良などの字があてられている楽器で、最も原始的なものとされている。
種類は、すりざさら・えぶりずりささら・びんざさら・板ざさら・棒ざさらなどと呼ばれるものがある。
ささらは、獅子舞の道化や花笠が使うケースが多い。

“びんざさら”は板ざさらとも呼ばれ、15×3cm・厚さ1cmほどの短冊形の竹や木片を108枚(20〜50枚のものもある)の一端を紐で束ね、両手で両端を握り、開いたりつぼめたりして音を出す。竹板のものは、音が冴える枯竹を使う。昔は、囲炉裏の天井の煤が付き乾燥した“すす竹”が使われた。材料は、石や鉄片のものもある。
108枚は、数珠の数の108珠と同じで、108の煩悩を消滅させる功徳があるとされる。
また、江戸時代の旅の放浪芸人が、商売の売り口上を述べるときに使った南京玉すだれもびんざさらである。

すりざさらは棒ささらとも呼ばれ、溝を彫り込んだ木製の棒を、細い棒や先を割った竹などで擦って音を出す。2本の先を割った竹どうしを叩いて音を出す方法もある。
PageTop    Home
This Page Since 10 of November 20006 go
inserted by FC2 system