原種バラ・・・
ロサキネンシス スポンタネア MEMO 『幻の植物』と言われるロサキネンシス スポンタネア。 先日、私は原種バラを調べていく内に、花形や花色がピンクから濃赤色への移り具合がとても興味があり、ロサキネンシス スポンタネアを入手しました。 入手後、1970年代後半からの中国の開放政策後、1983年に日本人ナチュラリスト(プラントハンター)荻巣樹徳(おぎすみきのり)氏により四川省で再発見されたということを知るのです。 ロサキネンシスは日本名 コウシンバラと言われ、庚申日(60日毎)に開花するという四季咲き性を持った原種バラで、1800年後半にかけヨーロッパに導入されていきました。 この結果、四季咲き性を受け継いだ、鮮やかな色彩のバラが次々と生み出されて行きます。 そして、1867年「ラ・フランス」の誕生によって、現在のモダンローズ時代(現在のバラ)が作り出され、バラの世界が広がっていくのです。 ロサキネンシス スポンタネアはこのコウシンバラの変種(突然変異体)と言われ、1884年、アイルランドのオーガスティン・ヘンリー(Henry Augustine )が、中国四川省で発見し、標本をキュー植物園に送ったと言われています。 その後、1910年、屋久島のウィルソン株にその名を残すイギリスのアーネスト・ヘンリー・ウィルソン(Ernest Henry Wilson)によって発見され、その野生種のバラは名前をロサキネンシス スポンタネアと学名が与えられました。 しかし、大切なこのバラがイギリスから消えてなくなり、再収集を試みましたが、中国の政治状況の不安定さも手伝い、80年ほど見つけられないまま『幻の植物』と言われるようになったのです。 中国開放政策の中、四川省の山奥を駆け回る日本人プラントハンターの荻巣樹徳氏の偉業が一躍、脚光を浴びることとなりました。 荻巣氏は1983年、この種を中国四川省山奥にて再発見した業績で、1995年英国王立園芸協会ヴィーチ賞(VMM)を受賞しています。 私はこのドラマとも言える、荻巣氏や先人のプラントハンター達の植物に対する情熱に思いを馳せるワクワク感にしたる幸せが、楽しくてしょうがないのです。 また、ロサキネンシス スポンタネアの花色が開花ステージの進行とともにピンクから赤へと変わる不思議さも特筆に値するものです。 解明してみれば、アントシアニンという花色素が紫外線を受けることにより合成され花色が濃くなるためと言うことらしいのです。 こんなことを調べるのも、ワクワク感を助長させるものなんですよね。 秘密基地の原種バラ達はこれから、精一杯の生長をしてもらうため、見守っていきたいと思っています。 |
【参考文献】 ・バラ 鈴木せつ子 著(誠文堂新光社) ・バラの誕生 大場秀章 著(中公新書) |
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