グーグルが25日、噂されていたオンラインストレージサービス「Googleドライブ」を発表した。無料で5GBのクラウドストレージを利用でき、他のGoogleサービスと連携して多様な利用も可能とする。
「クラウド」という言葉が一般にも広まり始めた頃から、さまざまなオンラインストレージサービスが開発され、公開されてきた。中でも「人気がある」と報じられる「Dropbox」と、新たに発表された「Googleドライブ」の中身を比較してみよう。
1)使えるファイルは?
Googleドライブは、既存のGoogleドキュメントの機能が拡張されたものとなる。Googleドキュメントで利用可能な文書やスプレッドシートに加え、アドビシステムズのフォトショップやイラストレーターなど、計30種類以上のファイル形式に対応するという。
Dropboxでは基本的に「ファイル形式は問わない」となっている。文書や動画、写真など「何でも」保存できるという点が売りのひとつだ。
2)最大容量は?
Googleドライブは5GBが無料で利用でき、月額2.49ドル(約203円)で25GB、4.99ドル(約406円)で100GBに増量できる。最大容量は16TBで、月額799.99ドル(約6万5千円)だ。
さらに、Googleドライブを有料プランにするだけで、自動的にGメールの容量が25GBに増量される特典もある。
一方のDropboxは、無料プランで2GBが利用可能。Googleドライブに比べると半分未満の容量となる。
ただし、Dropboxを「友達」に紹介するごとに500MB(約0.5GB)の追加容量がもらえ、最大18GBまで増量が可能だ。
有料プランは50GBが月額9.99ドル(約813円)、100GBが月額19.99ドル(約1,626円)となっている。いずれのプランでも、「友達」紹介による500MBずつの増量は可能だ。
また昨年から始まった「Dropbox for Teams」では、容量1000GB(約1TB)が年間795ドル(約6万5千円)で利用できる。同料金で5人まで利用でき、1人追加につき年間125ドルを支払う仕組みで、ビジネス向けの利用を想定している。最大容量の上限は特に設けられておらず、「無制限」だ。
3)対応デバイス
GoogleドライブもDropboxも、WindowsとMac向けのデスクトップ用アプリ、そしてAndroid向けアプリとiOS向けアプリが利用可能(GoogleドライブのiOS向けアプリは開発途中)。さらにDropboxでは、Linux向けのデスクトップ用アプリやブラックベリー向けアプリも用意されている。
どちらのサービスでも、各デバイスと同期させることができ、端末に縛られない自由な利用ができる。
4)シェア方法
GoogleドライブはGoogleドキュメントの進化型となるので、ファイルの共有は他のGoogleアカウント保有者と可能だ。しかしGoogleアカウントを持っていない人とはシェアできない。
Dropboxは最近始まった「リンクシェア」サービスにより、Dropboxユーザーではない人にも「リンク」を送るだけで、Dropbox内のファイルのシェアが可能となった。ただしファイルの閲覧とダウンロードのみで、編集権をもつのはDropboxユーザーに限られる。
5)グーグルが主張する「強み」
1)〜4)では、どちらのサービスも同等、もしくはDropboxの方が多彩な利用が可能な様子だった。しかしGoogleならではの強みもある。
グーグルがGoogleドライブの強みとして強調しているのが、「ファイルの検索機能」と「他サービスとの連携」だ。
ファイルの検索は、グーグルが誇る検索機能を活かしたもの。ファイル名や種類、所有者で、目的のファイルを探すことが出来る。またOCR(光学式文字認識)を使い、スキャンされた文書の画像から文字列を認識し、その文字列で検索することも可能だ。英語には対応済みで、日本語もまもなく対応の予定だという。
また多様なサービスを展開するグーグルならではの強みが、他サービスとの連携といえる。例えば、Googleドライブに保存した写真を「Google+(グーグルプラス)」で共有できたり、ファイルの変更情報をGmailを通じて通知することなどが可能という。
シームレスに様々なサービスを利用できる点は、ユーザーの自由度を高めるので、喜ばれる可能性が高い。1つのアカウントで様々な情報を取り扱うことから、セキュリティに留意することを忘れなければ、Googleサービスを常々利用している人々にとっては使いやすいツールとなりそうだ。