バンクーバーで仕事にありつけない日本人が増えています。ワーキングホリディ制度を利用して仕事をしながら海外経験を積むという夢も現実には高い壁が待ち構えています。そんなこともあり、高い人気を誇ってきた日本からカナダへのワーキングホリディビザも募集枠に届かないほどの落ち込みとなってきています。
もちろん、仕事がないという口コミが気持ちを萎えさせているだけではなく、海外で1年間過ごすという飛び出す勇気へのモチベーションも下がってきているように思えます。
多少の英語が出来ても極めて少ない募集に応募者殺到では勝ち抜けるチャンスはあまりにも厳しすぎるでしょう。私は日本人のそのような応募者に口を酸っぱくして言い続けていることがあります。バンクーバーで仕事を探しても募集1名に応募が何十人。そこを勝ち抜くには1番になるしかないと。たった一人しか採用されないのですからそれこそ2番ではダメなのです。
では1番と2番の差は何か、といえば私の判断基準は「中身のあるパッション」だと思います。パッションは持っていると訴える人は多いのですが、私は採用の際、「空パッション」か「身の詰まったパッション」か見分けます。
「経験はないですが、頑張ります」と答えた人は大概アウトです。職の応募をしてこの会社に入ったら頑張りますというのは都合が良すぎます。せめて、その募集先の仕事を出来るだけ調べ上げ、業務内容の一定の想定をした上でこのような内容なら実務経験はないですが、調べたり自分でやってみたりしましたが、こなせる自信があります」ぐらいは欲しいものです。
この例え話はバンクーバーだけではなく、日本国内でも同じ事がおきつつあるのではないかと思います。「楽しい職場」「やりがいのある仕事」「スキルが身につく仕事」などの募集はどんどん少なくなっていくでしょう。大量募集している会社は一昔前なら急成長している会社という見方も出来ましたが今では人遣いが荒く、退職者が多い会社と見るほうが正解です。
例えば金融機関の新卒者の募集は例年極めて多いのですが、あれは2-3年で辞める離職率の高さ故のバランスだと考えたほうが良いと思います。言い方を変えるならば「種の保存」だということです。会社という組織を維持するのに○○人の細胞がいる。その細胞には定年や離職者という新陳代謝が常に起きている。そのためにそれを補うのが採用である、と。
私が採用面接していると同じような顔と判を押したような決まりきった返事をした方よりも印象に残る熱い思いを語ってくれた方が決め手になると思います。日本人はハウツーモノに感化されすぎた気がします。結果として皆同じになってしまい、マニュアル仕事をさせるには適していますが、クリエイティブな仕事をさせるにはほとんど適任がいない、という事になってきたと思います。
若者の仕事が見つからないというのはまさに日本全体でミスマッチが生じ始めているということではないでしょうか?
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カナダ在住の経営者。海外居住者ならではの視点で日本人を考察。