宇宙エレベーターの研究状況を生徒に説明する青木義男教授=津市の津工業高校で
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SF小説やアニメに登場し、ロケットに代わる宇宙への輸送手段と考えられている「宇宙エレベーター」の研究に、津市の津工業高校が初めて挑戦する。全国でも取り組んでいる高校は少なく、将来の実現へ向けて生徒たちが知恵をしぼる。
宇宙エレベーターは静止衛星と地球をケーブルで結び、人や物を移動させる技術。実現すればロケットでの移動よりも費用が格段に安く済み、大気汚染や事故の危険も少ないとされる。
かつては無理だと考えられていたが、新素材の発見で理論上は可能に。今年二月、大手ゼネコンの「大林組」が二〇五〇年までに建設する構想を発表し、一気に現実味を帯びてきた。
津工業高は、電子科で選択制の「課題研究」の一テーマに設け、五月から週一回、四時間の授業を始める。ロープやベルトを伝う独自のロボットを開発し、国内の競技大会出場を目指す。担当の長谷川剛紀教諭は「宇宙というテーマは高校生にはでかすぎる話ではあるが、夢がないと技術者は育たない」と力説する。
宇宙エレベーター協会(東京)副会長を務める青木義男・日大理工学部教授からも随時指導を受ける。青木教授は津工業高を訪れ、生徒九十人に理論や研究の現状を解説。「まだ決まった形はなく、若い人の力でぜひ世界一を目指してほしい」と呼び掛けた。
電子研究部でレスキューロボットの研究をしている長野裕樹君(17)=三年=は「耐久性の問題やプログラムのことなど共通する部分が多く、興味がわいてきた」と話していた。
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