お野菜ざくざく切って、お肉？や、お肉……？や、よくわかんないものも一緒に大鍋に入れて。
　翠が用意してる材料は時々わかんない。大丈夫なんだろうけど。
「はい、ありがとうございます。今日のりがいないから助かりますよ」
「こういうとき、いつも、蒼かジュンを捕まえるんじゃない？」
「あいつらけっこう神経張ってましてね。ぱっと見ると居ないんですよ」
　翠はべっと舌を出してみせた。
「翠は偉いのね。毎日ちゃんとお仕事できるって、大人よ」
「ほめても一品増えたりなんかしないですよ〜だ」
「ついでだから、なにかあったら手伝うのよ」
「お米かき回しといてですぅ」
　炊けてた炊飯器あけて、しゃもじでお米ひっくり返し。
　くっつかないしゃもじだから安心。　
「今日はお米きらきらしてるのよ。お水ぴったりだったのかしら」
「今日も！ですよ！ふーんだ」
　にっこり翠。

　ひと段落して、弱火にしたお鍋を見ながら、キッチンでお茶一杯。
「なんで、翠はお料理はじめたんだっけ？　ずっとやってたっけ？」
「や〜もう。女の子ですもの」
「私も女の子なんだけど」
「カナはキッチン爆発させましたからね」
「させてないもん！？　それはやったことないのよ！！」
「冗談冗談。まーその、うちはやんない奴ばっかりですし、誰かがのりのお手伝いしてあげないとかわいそうですし。私も、お世話してあげるの、好きですし」
「えらいえらい」
「ほ、ほめんじゃないですぅ……」
　うつむいて、両手で持った湯のみで顔隠す翠。
「うんうん。翠はいいお嫁さんになれるのよ」
「その理屈だと、カナはいいお嫁さんになれないですが」
「かしらー！？」
「ほほほほほ」
　なんともくだらない話をしてる、晩ご飯前。