環境問題に一言:「日本企業は木を植えて終わり。もっと本業で森を支援して」
(C.W.ニコル・作家)
僕がなぜ日本の森を守るか? これまで同じ質問に何万回も答えたから、もう勘弁して。
僕は故郷のウェールズより長く、半世紀近く日本で暮らして森を見ているが、田中角栄氏が首相だった時代(1970年代)から状況が変わった。森が支配され、大木は切られてカネに換えられた。そんな森を、以前の状態に戻したいのです。
日本企業の森づくりの多くはノーサンキュー。「森を育てています」と宣伝しているが、多くは植えっぱなし。木を植えれば終わり、という考えの企業が多すぎる。とんでもない間違いです。
森を育てるには4世代はかかる。常に森にいて、手を掛ける専門家も必要です。森には間伐が必要ですが、どんな木でも間伐してよいわけではない。道具の使い方の知識も必要。こうした判断ができる人材には、ボランティアではなく、給料を払って続けてもらわなくてはなりません。
企業が森を育てたいなら、例えば間伐材を活用するなどして、森の運営が経済的に可能になるようなかかわり方を考えてほしい。「もっと森を使ってよ」と訴えたい。「使って育ててよ」と。
(日経エコロジー1月号に全文が掲載されています)
【略歴】
C.W.ニコル氏:1940年英国ウェールズ生まれ。カナダで北極生物研究所の技官、エチオピアで猟区の管理官などを経て80年、長野県黒姫に居を定め、荒れた森を購入しながら生態系の復活を試みる。日英関係発展への寄与に対し2005年、英国エリザベス女王から名誉大英勲章を贈られた。
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