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今回は短いです……
Chapter1 ~帰還、アルザス~

 第6管理世界 アルザス地方


 日が沈み始る夕刻、少数民族『ル・ルシエ』の住む里より少し離れた

 森の中にある木々に囲まれた空間に、小さな亀裂が穿たれた。

 その虚空に穿たれた亀裂は徐々に拡張していき、やがて大の大人一人を

 丸々飲み込む程の大きく黒い穴として現世に顕現され、その穴の中に一人

 の少女のシルエットがゆっくりと浮かび上がってくる。

 そして、その少女のシルエットがハッキリとこの世界に浮かび上がると

 同時に少女は穴から投げ出され、地面に倒れこむとその後に続く様に

 4つのマテリアが落ち、黒い穴は初めから無かったかの様に掻き消えた。
 

「うう、転移……成功したのかな?」

 
 倒れこんだ身体を起こして、現状を確認する為か辺りを見渡す少女キャロ。

 
「―――うん、間違いないよね。ここはアルザスにあるルシエの里の近くの森の中……

 わたしがあの世界に飛ばされた場所、二年前の事だけどよく覚えてる」


 正確にアルザスへと帰って来れた事を確信して、キャロはまず周囲に落ちている

 帰る為に使った4つのマテリアを拾い集め、虹色のマテリアを除く三つのマテリアを

 ポーチに仕舞った。


「……このヒュージマテリアだけは、封印処理をしておいてから仕舞わないと」


 虹色のマテリアにキャロは慎重にかつ厳重に封印処理を施すと、先程のマテリア

 と同じくポーチの中へと入れておく。

 
「後は……、肉体年齢もちゃんと飛ばされた当初の5歳の頃に戻っているから、こっちの

 時間軸も飛ばされた日の筈だし、里の皆にも気付かれないよね」


 この世界への帰還だけならば、キャロは水の上を歩く為に使った『みず』のマテリア

 帰還の要である『くうかん』のマテリア、そしてこれらのマテリアの力を増幅させる

 為に使った究極のマテリアの一つ、虹色のヒュージマテリアの三つだけでよかった。

 しかし、仮にそのままこちらの世界に戻ってきてしまうと、当然数年の時間が流れている

 事は容易に想像でき、下手すれば竜の巫女が行方不明と言う大問題になっている

 可能性もあり、確実に面倒事になるのは一目瞭然だった。

 そこでキャロはこの問題を解決する為に、帰還術式に使用するマテリアに更に一つ

 『じかん』のマテリアを追加する事によって、飛ばされた当初の時間軸に戻る様に

 ブーゲンハーゲンの協力の下、調整をしたのだった。

 その結果、キャロは見事飛ばされた当初のアルザスへ帰還する事に成功して、副作用

 として、肉体年齢も飛ばされた当時の5歳に戻ったのであった。

 まあそれでも完全に同じ時間とはいかず、8時間程度の時間のズレはあった

 様だが、それは許容範囲だろう。 


 ―――閑話休題―――

 
 一通り、自身の現状を確認したキャロがクラウド達から渡された道具袋を

 手に抱えた時だった。


「キュクルーーー!!」


 そんな鳴き声と共に、キャロに向かって一直線に白い幼竜が飛び込んだ。

 急な出来事にも関わらず、キャロは空いてる手でしっかりと飛び込んできた

 白い幼竜を受け止めると、しっかりとそのまま抱きしめた。


「フリード! 久しぶり~、会いたかったよ!」


 フリードからしてみれば、それ程時間は経っていないであろうがキャロから

 してみれば、実に二年ぶりでそれも卵から育てた家族同然の竜との再会

 なのだから、嬉しくない筈などなかった。  
 
  
 そんなこんなで、感動?の再会を果たした少女と竜はじゃれ合いを程々に

 済まして、荷物を手に素早く誰にも見つからない様にルシエの里に

 ある家へと帰り、疲れていたので投げ渡された荷物整理は明日で

 いいやっと結論付け、キャロは食事と就寝準備を手早く済ませる。


「よし、それじゃ今日はもう寝よっかフリード」

「キュク~」


 久しぶりにフリードを抱え、一緒にベッドの中に潜る。


「―――そう言えば、もう直ぐ竜召喚の儀式なんだよね。

 失敗しない様に頑張らなきゃ……」 

「キュクル~」


 そんな想いを胸に、キャロの意識は深い眠りへと落ちていった。
こんばんわ、Chapter1投下完了です。
今回、オリジナルマテリアが二つ程出ましたが、この辺りの事は後で設定編を出す予定ですので、そこで説明します。
あと、参考程度にChapter1終了時のキャロのFFⅦ風ステータスを下に記載

名前:キャロ・ル・ルシエ 性別:女性

LV:88 HP:5920 MP:999 

力:82 素早さ:235 体力:72 

魔力:255 精神:245 運:255

武器:プリンセスガード

腕輪:ミネルバブレス

アクセサリー:リボン

とまあ、現時点でのキャロのステータスはFFⅦキャラのステータスと比べると、HP・力・体力が圧倒的に少なく、魔力等のステータスが高いという風になっています。でも、この先当然物語が進むにつれてキャロも成長していきますのでどういう風に強くなっていくのかお楽しみにw
それでは、次回Chapter2でお会いしましょう。


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