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第四次試験
「キルアにも198番が誰だか判んないの?」
「あぁ。ついでに199番もな」

キルアのターゲットは199番で、私と1つ違いだった。
私は本当に聞こえるか聞こえないか位の声で、「つかえねぇな」と呟く。

「おい、聞こえてんぞ」
「あ、マジ?」

ごめんごめん、と心にもない謝罪をする。

「んじゃ、頑張ってね。ゴンとキルア」
「うん」
「落ちんなよ?」
「誰に言ってんのよ」

不敵な笑みを見せて、今度は2人の頭を優しく撫でた。
2人は最初はビクッと反応したが、その後は私にあのぐりぐりをされないと判りジッとしてる。
そこまで痛かったのかしら。

―――――
――――
―――

ゼビル島に着いた私達は、第三次試験の通過が早い順に出発するらしい。
私はクラピカの後に出た。
これからの事を考えようと出発地点に近い木の枝に座る。

欠伸をしていると、下から声をかけられた。

「何してんの?」
「うお。キルアじゃん」

下にいたキルアに若干驚く。

「これからどーしよっかなーって考えてたの」
「ふーん。それなら一緒に行かない?どーせ1人じゃ暇だし」
「うん、いいよ。ターゲットの番号近いし、キルアに着いて行ったらなんか会えそう」

なんだそれ、と呟くキルアのもとに飛びおりる。

「じゃあ島の様子でも探ってみるか」
「賛成」

その後私達は試験の事など忘れて島を探っていた。
だけど、さっきから気になる事がある。

「…キルア」
「あぁ。つけられてる」

ずっと後をつけている。
なんかストーキングされてるみたい。

「ねぇ。やっちゃってよ。いい加減気持ち悪い」
「お前はやんないのかよ」
「ターゲット以外パス~。でもストーカー野郎がターゲットかもよ?」

キルアは暫く考え、やはり狩る事にしたらしい。
急に足を止め、後ろのストーカー野郎に言う。

「出て来いよ。遊ぼうぜ」

その時キルアの顔を覗き込んだら、もの凄く恐ろしい表情をしていた。
そこで私は「あぁ、やっぱりキルアは殺し屋なんだ」と思ってしまう。
私達とは住む世界が違うと、無意識に思ってしまう。

ストーカー野郎は、自分が気付かれてると判っても出てこなかった。
面倒くさいので、また私達は歩き出す。

―――――
――――
―――

「時間の無駄だぜ」

遂に痺れを切らしたのか、キルアが足を止めて言った。

「いくらつけ回しても、俺は隙なんか見せないよ」

そう言ってもストーカー野郎は出てこない。
いい加減イライラしてきた。
心優しい私でももう我慢の限界よ。
ん?心優しくないって?
馬鹿いえ。私はこんなにも優しいじゃない。

「はぁ~」

キルアが長い溜息を吐いた。

「来ないならこっちから行くよ」
「マジで?面倒くさいんだけど」
「仕方ないじゃん」

そんな会話をしつつ、ストーカー野郎の隠れてる茂みに近付く。

「ほんっと嫌なんだよなぁ。どうせ倒したって、1点だろうしさぁ」

キルアが本当に嫌そうな顔をして言う。
私も同感、と隣で相槌をうつ。

その時、誰かがやってきた。
帽子をかぶった2人組だ。
ストーカー野郎が「兄ちゃん!」と言うのできっと受験者にいた3兄弟の奴らだろう。
私達は足を止める。

兄弟は少し言葉を交わしただけで、一番下だと思われるストーカー野郎に殴る蹴るの適度な暴行をはたらく。
そしてまた少し言い争ってから、ストーカー野郎は私達のもとに来た。

「なあ坊主。プレートくれねぇか?大人しく寄こせば何もしない」

一生懸命凶悪な顔を作っているのだろうけど、その似合わない凶悪顔と上ずった声に私は笑いを堪えられず下を向いて大爆笑。
声は出していないから、相手にはビビって下を向いたと思わせてしまった。

「バーカ」

キルアがそう言うと、ストーカー野郎はキレてキルアの鳩尾に蹴りを入れる。
短気なストーカーだこと。

だがキルアは何事もなかったようにポケットに手を突っ込んだまま起き上がる。
どんだけ器用な奴なんだか。
そしてポケットに突っこんでいた手を出し、蹴られた時に奪ったであろうストーカー野郎のプレートを見る。

「あんた器用だね、マジで」
「198番かぁ。俺の欲しい番号と1番違いって事はもしかして199番はそっちの2人のどっちかかな?」

そう言って私に「ん」とか言って198番のプレートを渡してくれる。
おぉ、いい奴。

「私も手伝うよ、キルア」
「サンキュ」

受け取ったプレートをしまい、鉄扇を持ち出す。
桜の絵が描かれた美しい鉄扇で、私の宝物だ。

「私あの体格のいい男やるね」
「あぁ」

私達と兄弟は暫くの間睨み合っていたが、横目で見ていたキルアの目が鋭くなったのが判った。
そしてキルアが目に見えないほどの速さで動く。
私も体格のいい男へと向かう。

「なっ!?」

男の後ろに回り、鉄扇を首に当て動きを封じる。
キルアももう2人の特徴が無いのが特徴の男の動きを封じていた。

「動かないでね。俺の指、ナイフより良く切れるから」

じゃあキャンプとかアウトドアにはもってこいね。
キャンプに一緒に行きたいランキングとかあったら上位でしょうよ。

「貴方も動かないでね?これ、骨の部分尖ってんのよ」

目の前にチラつかせてやると、男は大人しくなった。

「あれぇ?こっちは197番かぁ。もう俺ってこういう勘すっげえ鈍いんだよなぁ」
「じゃあ貴方が199番かな?」

鉄扇を喉に突きつけて、優しぃく問いかける。
男は大人しくプレートを取りだす。
そこには199番と書かれていた。

「ありがとさん」

受け取って離してやる。
プレートをキルアに投げると「サンキュ」と言って受け取った。

「さて、要らないプレートは…」

キルアは197番のプレートを狙う者がいる事に気付いたらしいが、そのまま遠くにブン投げた。
あぁ、可愛そう。

「後3日あるし、頑張ってさがしなよ」
「まぁ今頃、あのプレート狙ってた奴に取られてるだろうけど」

じゃあな、と言い残し、私の手を取りもの凄い速さでその場から離れた。
うお!?頭揺れた!

―――――
――――
―――

「あ~ぁ、つまんなんな~」
「私といるのがつまらないって聞こえてくるんだけど、気のせい?」
「うん。気のせい」

私達は下らない話をしながらただただ歩いた。

「キルアってとことん性格悪いよねぇ。もしくは歪んでる」
「お前にだけは言われたくねぇよ」
「なんで?」

そう言うとキルアは長~い溜息を吐いた。
うわ、失礼な奴。

「ちょ、ま…っ。お前頭撫でんのだけは止めろ!」
「なんでぇ?ホラホラ大人しくしてよぉ。頭蓋骨陥没する位の力で撫でたげる」
「止めろって!」
「遠慮なんてしなくていいよ~」

その後、森に断末魔のような叫びが響き渡った。









「只今を持ちまして第四次試験は終了となります。受験者の皆さまは速やかにスタート地点にお戻りください。是より1時間を猶予時間とさせていただきます。それまでに戻らない場合全て不合格となりますのでご注意ください」

第四次試験が終わり、私達はスタート地点に戻る事になった。
戻ってみると、もう数人の受験者がいた。
だがそこに、ゴンとクラピカとレオリオはいなかった。

「3人はまだなんだ」

そう呟いてから近くの大きな石に座って3人を待つ。

「キルアは座んないの?ここ座る?」

そう言って私は自分の膝をポンポンと叩く。
だがキルアに「い・や・だ」と断られてしまった。
その時岸に止めてあった船から、女の人が出てきた。

「では到着した人からプレートを確認しまーす!」

ヒソカは自分のターゲットのプレートと他3枚のプレートを持っていた。
つまりヒソカのプレートは誰かに盗られたのだろう。
私とキルアはプレートを見せて晴れて合格したが、まだあの3人は来ない。

「あれ?」

女の人が森を見た。私も釣られてみる。
するとそこにはゴン、クラピカ、レオリオの3人がいた。

「うおーい。遅かったねぇ」

石から立ち上がり、3人のもとへ行く。
3人ともなんか全体的にボロボロだ。
なにか遭ったのだろうか?

「どうしたのよ。その傷」

ゴンなんか傷だらけ。
話を聞くと、バーボンと言う蛇使いの罠にかかって大だったそうだ。

「私キルアとで良かったよ」
「なんだよ、急に」

蛇なんかに襲われたら、正気を保てないかも知れないしね。

「クラピカはターゲット誰だったの?」
「トンパだった」
「嘘、マジ!?じゃあトンパは落ちたんだね!いいきみじゃん!」

心の底から喜んでいると、クラピカが呆れ顔で微笑んでいた。

「お前のターゲットは誰だったんだ?」
「んとね、3兄弟の1人だったよ。名前は知らない」

…今思ったけど、私自分の力でプレートゲットしてなくない?
キルアに貰った感じじゃん。
ていうかこの一週間、殆どキルアとお喋りしてただけじゃん。

「大丈夫!体格のいい男からプレート奪ったんだからオーケーさ!」
「…何を言っているんだ?イオ」
「え、あ…うん。何でもないよ、こっちの話さ!」

うぉおお!クラピカに本気で心配そうな顔をして言われた!なんかショック!


イオが頭を力いっぱい撫でるのが定番になりつつある気がする…
しかも今回最後の方、イオキャラ崩壊してたしwww


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