不自由なニ択
「いんじゃない?こいつの事なんて信用できないし、2勝2敗になったら、任せらんないでしょ。つってもこいつがこの試合に勝てる筈無いけど」
最後の一言が聞こえない様に言う。
もう誰だって良いわよ。どうせ私はなにも出来ないし。
早く終わんないかしら。
真ん中のバトルフィールドらしき所へ行く為の道が現れる。
あれ、今気付いたけど、私達が立ってる場所…高くない?
だって下の方真っ暗よ?しかも道せまくない?
良かった、100番は抜けるルールで。
「ク、クラピカ…」
「ん?あ、高いからな、ここ」
冷や汗を流しながらクラピカを見たら、そう言われた。
呑気に言ってる場合じゃねぇよ。
私は怖いのでクラピカの後ろに隠れ、外でやっていたように顔を隠す。
道がフィールドと繋がった。
早く移動したい。終わりにしてくれ。
トンパがフィールド内に立った。
クラピカとレオリオが「意外だった」と口を揃えて言っている。
トンパと勝負相手の勝負方法は、デスマッチ。
片方が死ぬまで戦い続けるらしい。
だが、始まった瞬間の事だった。
「ま、参ったぁあ!」
トンパはそう言い、手と頭を地面につける、世に言う土下座を繰り出した。
私達はそれはもう驚いた。あんなに自信満々だったのに、結局これかよ。
「もしかして、参ったって…言ったの?」
「待ったの間違いだろう?」
「そう信じたいわね」
相手も驚いて止まってしまっている。
私は心で相手の男に語りかけた。
これはデスマッチ。片方が死ぬまで続くのよ。
だから、良いのよ。殺っちゃって。
まぁ、聞こえる筈ないんだけど。
「俺が負けを認めれば、そっちの勝ちだろう?参った。俺の負けだ」
私達が呆然とする中で、男は言った。
あちらが後2勝すれば、先にも進めず、戻る事も出来ず、ここで残り時間を過ごすことになるらしい。
私にとっては地獄、とでも言っておこうか。
「いやぁ、面目ない。近くで見ると強そうなんだもんなぁ」
「今ハッキリ判ったぜ!テメェが他人の足を引っ張ってばかりの、クズ野郎ってことがなぁ!」
そう言ってレオリオはトンパの胸倉をつかみ上げた。
なにか他の言い訳を言うかと思ったが、トンパは意外な事にそれを認めた。
「その通りさ。俺はずっとそうして来た。そしてこれからも、そうしていくつもりだ」
若者が夢を断たれた時の、絶望に満ちた顔が見たいんだと。
そしてハンターになる気もないらしい。
奇特な趣味だこと。実に不愉快な男ね。
レオリオがトンパを殴ろうとしたが、クラピカに止められて、渋々止めた。
「でもさ。時間稼ぎがあいつらの狙いだったら、おっちゃんの選択は正解だったかもよ」
キルアが言った。私にも、クラピカにも判らなかったらしい。
勿論その他もだ。
「あの坊主頭。おそらく元軍人か傭兵だよ。
戦ってたら、まず最初に喉を潰されて、参ったって言えない様にされてたね。
後は死なない程度に拷問されてたよ。残り時間ず~と」
その言葉を聞いて、トンパは顔面蒼白になった。
「そうされてりゃよかったのに…。なんで降参なんてしたのよクズ」
「なんか違う意味で降参した事を怒ってない?」
キルアにそう言われる。
確かに皆とはちょっと違う意味で怒ってるわね。
なんでボコられて来なかったのよ。
腫れた顔見て大爆笑してあげようと思ったのに。
次はゴンが行くことになった。
ゴンの相手はどちらかと言うと肉体派ではなく頭脳派っぽい。
勝負内容は、火のついた蝋燭を持ち、先に消えた方が負けというルール。
ゴンはあっさりそれを受け入れた。
「それじゃ、どっちの蝋燭がいいか、決めてくれ」
相手が見せてきたのは、蝋燭。
だが、長さが違う。1つは長く、もう1つは短い蝋燭だ。
長い蝋燭なら○、短い蝋燭なら×を押すらしい。
忘れてた。これって多数決なのよね。
「ゆっくり決めてもらっていいよ。多数決って言っても、ここでは相談は自由だし」
相手は座りこんだ。これも時間稼ぎってことかもね。
私達はゴンに選択を任せることにし、ゴンは長い方を取った。
最初は普通に燃えてるだけだった。
下から吹いてくる風のせいで、下手に動く事も出来ない。
ゴンも私も。
なんで下から風がくんのよ。
ゴンが相手をチラチラ見てる。
相手は何もしないよ、と言った。
「だって、もうしてあるし」
そう言ったのと同時に、ゴンの蝋燭の火が大きくなった。
私も高さなんて忘れてゴンを見る。
きっと蝋燭の中に火薬か何かをいれたのだろう。
卑怯って、こういう人の事を言うのかしら?
ゴンの蝋燭はどんどん溶けていき、あと2,3分持つか持たないか位の長さになった。
だがゴンは、溶けていく蝋燭を見て、暫く考えた後、ニィっと笑う。
それはもう満面の笑みだ。
「火の勢いが強いって事は」
ゴンは蝋燭を地面に置いた。
「ちょっとの風じゃ、消えないって事だよね」
そして自慢の素早い走りで相手のもとまで走ると、男の蝋燭の火を息でフッと消す。
男は驚いたまま、動かない。
そんな男にピースして、ゴンは言った。
「勝ち!」
ピンチをチャンスに変えるだなんて、素直に凄いと思うわ。
頭がいいのね。
あぁ、イオの性格が…
説明遅れましたが、イオは性格がここぞとばかりに悪いんです;
ご了承ください^^;
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