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多数決の道
「トンパさん!」
「なぁんだ」
「おっさんかよ」

あの新人潰しのトンパさんだった。
うっへぇ。こいつ嫌いなんだけど、私。
皆同じようで、半眼でトンパを見ている。

「早くその時計つけてよ。時間ないんだからさ」
「嬢ちゃん、そんなキャラだったっけ?」
「キャラぁ?意味わっかんない事言ってないで」

トンパは私に急かされながら時計をつけた。
すると、先に進める扉が開く。
だが、その向こうにも扉。
なんと無駄な2重構造…。

このドアを開けるか、それとも開けないかと書いてある。
開けるなら、○を選べという。
ここからもう多数決な訳?
凄く面倒くさい道かもね。

時計に備え付けられた○ボタンを押す。
すると扉のプレートに○5、×1と出た。

「誰だ?×押したの」
「あっはは。すまんすまん、俺だ。間違って押しちまった」
「ふざけんなよおっさん!目がいかれてんのか?」
「だから間違っただけだって」
「どうしたら○と×を間違えるんだよ!」

なんか凄く小さな事で凄く下らない事をし始める。
ゴンが止めに入った。

「行きましょうよ、レオリオ。そいつと争う時間が惜しいわ」
「そうそう。仮にそいつが全部逆らってもさぁ、俺達がまとまってればいいんだろう?」

私とキルアはそう言って開いたドアを進む。
その後をクラピカとゴンも続いた。
レオリオも渋々離し、こちらにやってくる。
扉を出てすぐの所は別れ道だった。
左右に道があるが、柵があり、まだ進めない。

右の場合は○、左の場合は×を押せ。
とのことだ。
ここでは○は4人、×が2人だった。

「はぁ!?なんで右なんだよ!こういう時は左だろ!普通!」
「押し付けがましいわね。まぁ、確かに行動学からの検知からも人は迷ったり、別れ道を選ぶ時は、無意識に左を選ぶケースが多いみたいだけど」
「それ俺も聞いたことある」

ちょっと待て!とレオリオが言う。

「それじゃ計算があわねぇぞ!お前らどっちを押したんだ!?」

クラピカ、キルア、私の順で歩き出しながら答えた。

「右」
「右」
「同じく右」

平然と言う私らにレオリオは「お前ら…」と言う。
するとトンパが、右を選択した理由をレオリオに説明した。

「だからこそ右なんだよ。試験管の裏をかくならな。試験官が左の法則を知っていれば、左の道を難しくするだろう?」

レオリオはトンパに説明されたのが嫌だったのか、悔しそうに顔を歪めた。

暫く進むと今度は床がなく、出っ張っている所に来た。
そして向こう側にもこちらと同じようになっていて、その2つの間に正方形の形をした、場所がある。

「見ろよ、あそこ」

キルアが顎で指す。
向こう側の出っ張りに、怪しい5人がいた。
そのうちの1人が纏っていた布を脱ぐ。

≪諸君。説明しよう≫

またスピーカーから声が聞こえた。
この人は私達を監視してるのかしら。
だとしたらそうとうな暇人ね。

≪諸君らの前にいるのは、このトリックタワーに幽閉された囚人達だ。
彼らは同時に、審査委員会から正式に任命を受けた雇われ試験管でもある。
諸君らにはここでこの5人と戦ってもらう。
勝負は1対1。各自1回しか戦えない。
戦い方は自由。引き分けはなし。相手に負けを認めさせたら勝ちとする。
そしてそちらの100番は抜けてもらう≫

はぁ!?とレオリオが叫ぶ。
5人じゃないと多数決にならないから、という事だ。
そもそも最初から5人にすれば良かったのに。
それに長い。長くてほぼ覚えていない。
私、記憶力に自信無いのよねぇ。

「ていうか、諸君諸君ってうっさいのよ」

誰にも聞こえない様に私は呟いた。
すると、向こう側の男が言う。

「順番は自由に決めてもらって結構。諸君らは多数決、つまり3勝以上すればここから出られる。ルールは極めて単純だ」

お前も諸君と言うか、この野郎。

スピーカー男が言うには、私らを足止めしたら1時間につき1年刑期が減るらしい。
あいつらは時間稼ぎをしてくるかもね。
私達にも時間制限があるから、早めに終わらせたいところだ。

「さあ、1番は俺だ。そちらも選ばれよ」

なんで終始上から目線なのよ、こいつ。

「どうする?戦い方が自由って事は、裏を返せば何でもありって事だぜ」
「何を仕掛けてくるか判らねぇってことか」

そうなると、初戦はリスクが大きいわね。
相手の出方が判んないんだし。

「私が行―――」
「否、俺が行こう」

クラピカの言葉を遮ってトンパが言った。
何言ってんのよこいつ。

「ねぇ。クラピカが言ってる最中に横から言わないでくれない?
しっかりブチ殺しちゃうから」
「うっかりだろ。それを言うなら」

キルアに突っ込まれた!
なんか負けた気分…。

「毒味役として俺が相手の出方を伺おう。さっきの詫びもかねてな」
「おい、本気か?」

さっきまで険悪な仲だったレオリオがそう言う。
あんたら本当は仲良いんじゃない?
本とかでそういうの、良くあるじゃない。
イオがボケキャラに…!
まあ置いといて、イオはこの戦いに参加できません;
参加させたかった…!


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