第三次試験
第三次試験の試験会場は滅茶苦茶高い塔だった。
冗談じゃなくて、マジで高い。
はは、誰か冗談って言ってよ。
「どうした、イオ」
「べ、別に」
私は今、クラピカの後ろに隠れてる。
首に顔を埋め、絶対周りは見まいとしている真っ最中だ。
「高い所が怖いのか?昨日は夜空を見ていたじゃないか」
「あれは下見てなかったもん!それに夜空に気をとられてたし!
私、下を見るのが怖いのよ。景色は好きだけどね」
「なんだそれは…」
その時、突風と言っても過言ではない風が吹いた。
その風がこの塔の高さを物語り、急激に怖くなる。
三次試験の内容は『72時間で生きてこの塔を下りてくる事』らしい。
そんなの簡単だ、と言って絶壁を降りて行ったロッククライマーは、気色悪い怪鳥に食われてしまった。
自惚れしすぎ。
私が直接見た訳ではないわよ。
最初は声だけで、後から聞いたのだ。
下を覗くなんてそんな恐ろしい事できっかよ。
話を戻すが、どうやって降りるのだろうか。
見た所、塔のどこにも入口は無い。
側面を使って降りて行けば、あの怪鳥に食われる。
ていうかその前に無理だし。
そんな事を考えていたら、ある事に気がついた。
人数が減っている。
「クラピカ。私ちょっと調べてくる」
「なにを?」
その問いに答えず中心部分に足を進める。
皆から少し離れた所に来た時…――――
「きゃっ!」
女の子らしい悲鳴をあげ、落とし穴の様な所に落ちて行った。
落ちた先にはちゃんと床があり、上手く着地が出来た。
「…なによここ」
私の他には誰もいなかった。
周りを観察してみると、こんな事が書かれたプレートが壁にかかっていた。
『君達6人はここらかゴールまでの道のりを多数決で乗り越えなければならない。』
そのプレートの前には机が置いてあり、その上に6個の時計の様なものが置いてあった。
6人揃わないと、ここからは進めないって事ね。
時計を1つ手につけ、壁に寄りかかり待つことにした。
…暇ねぇ。
―――――
――――
―――
暫くすると天井から何やら物音がした。
天井に穴があき落ちてきたのはゴン一行。
これで5人になった。
「イオ!」
クラピカが私を見て驚く。
「突然居なくなるから心配したぞ」
「ごめんごめん。落ちちゃったんだよ」
ニヒヒ、と笑い誤魔化してみる。
クラピカは呆れたように笑った。
おぉ、女の子みたいで可愛い。
「イオじゃん」
「キ~ル~ア~」
近寄ってきたキルアの頭をワシワシと撫でる。
うわ、とキルアは嫌がるがそれでも止めない。
「どうしたんだよ!」
「別にぃ」
そんな事をしていると、ゴンがあの時計に気付いた。
「皆、それつけて。6人がつけないとここからは進めないっぽくて」
その時、部屋の天井についていたスピーカーから声がした。
≪その通り!≫
「誰だ!」
≪私の名はリッポー。刑務所署長兼第三次試験の試験管だ≫
そこからは色々と説明してくれた。
私達が選んだのは『多数決の道』だそうだ。
クリアするには互いの協力が絶対必要らしい。
そしてやはり、6人揃わなきゃ始まらないという。
スピーカーからの声が止んだ。
あちらが切ったのだろう。
「あと1人来なきゃ始まんないってさ。どうする?」
私の問いかけに仕方ないと言いたげな顔で、クラピカが「待つしかないだろう」と言った。
―――――
――――
―――
あれから2時間が過ぎた。
暇な私達は各々好きな事をして暇を潰している。
ゴンはキルアのスケボを借りて乗ってるし、
キルアはゴンの釣竿を借りて遊んでる。
いいなぁ。私もスケボで遊びたい。
「あぁ!もう!」
いきなりレオリオが叫んだ。
どうしたというのだろうか。
暇すぎて頭がおかしくなったとか?
「レオリオ…頭大丈夫?」
「ていうかマジで心配そうな顔すんな!どういう意味だ!」
「そういう意味よ。理解できなかった?」
「お前なぁ。少しは緊張感持てよ。あれから2時間だぞ!もしかしたら、皆別ルートで行っちまったんじゃねぇのか!?」
「落ち着きなさいよ。そんなこと言っても変わんないわ。うっさいだけよ」
「でもよ、このまま72時間経ったらどうすんだよ!
レオリオがそう言ってる時に、何やらまた天井から物音が聞こえた。
ゴンもクラピカもそれに気付いたようで、レオリオに静かにというポーズをする。
石畳が回転する。降りてきたのは…
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