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prologue 桜吹雪の止んだ日

私の家は沢山の桜に囲まれていた。


春になると桜吹雪が舞い、とても綺麗なのを今でも鮮明に覚えている。





桜の見える庭の縁側は私の大好きな場所で、弟との唯一の思い出の場所。




春には、散る花弁を取って遊んだ。

夏には、その木の下で水遊びをした。

秋には、桜の落ち葉でたき火をした。

冬には、木の下に雪だるまを作った。




とても楽しくて、幸せな日々。


なのに、あの日に全て終わってしまった。





家は紅の炎に包まれ、大好きだった縁側も、桜の木も、全て灰になった。



「リク!どこなの!?」



燃える屋敷を走りまわり、弟の姿を探した。
必死に探し、やっと見つけた弟は重そうなタンスと畳の間に挟まれていた。



「リク!」
「姉…さん…」



元気だった弟とは思えないほど弱々しい声。
助けようと近づくと私と弟を引き裂くように、その間に火を纏った柱が落ちてくる。



「っ」



それでも助けに行こうとすると、誰かに腕を掴まれ止められた。
近所に住んでいた優しいおじさんだ。



「後はおじさんに任せなさい!」
「嫌!離せ!」



これでもかと暴れたが力が強く、私にはそれを振りほどく事が出来なかった。

が、その時、





―――ガシャンッ!





という音がした。

嫌な感じがして弟の方を見ると、弟は見えなかった。


正確に言えば、燃えた瓦礫で見えなくなった。

















その後、顔も判らぬ程焼けた弟の亡骸を見て、私は何もする事が出来なかった。

泣くことすら、出来なかった。



弟の墓は庭に生えた桜の木の下に作った。







――――…姉、さん







弟は私を呼んだ後に…――――






「あぁもう!!!」




私はそう言って考える事を止めた。

そして静かに花束を弟の墓に置く。


それはアリウムという紫の花。
花言葉が気に入ったので買ってきたのだった。


「またここに来ていたのか」


いつの間にか私の背後にいたおじさんが私にそういう。

私はずっと無言のままで墓を見詰める。


「行くのか?ハンター試験とやらに」
「はい、行きます。私にはお金が必要ですから」


そう言うとおじさんは困った様な表情を浮かべる。
その意味する事は知っていたが、あえて知らんぷりをした。




私には、金がいる。




そう言い聞かせて、私は慣れた家を後にした。












アリウム 花言葉は「無限の悲しみ」











 
なんかやっぱり駄作まっしぐら…

こんなですが、宜しくお願いします!


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