仲間割れ
私は本棚から本を1冊取り、レオリオから離れた場所に座った。
いや、別に怒ってなんか無いわよ。ただ気まずいだけ。
ゴンはキルアにスケボーのカッコいい降り方を教わっていた。
「あ。私もやりたい」
「やる?」
退屈なのでやってみることにした。
「前足の踏み込みを躊躇すると、怪我するぜ」
「判ったわ」
私は置かれたスケボーに、片足ずつ乗せる。
バランスがとれるようになった時、あっちのクラピカ、レオリオ、トンパが揉めてるのが見えた。
私があちらを見ている事に気付いたキルアが、ちょんちょんと突いてくる。
「何よ」
キルアは悪戯っ子のような笑みで、トンパを指差した。あぁ、成程ね。
キルアの考えている事が判り、私も口の両端を釣り上げて笑う。
私は全身全霊の集中力で、そのスケボーをトンパに向けて飛ばした。
スケボーはトンパの髪を掠り、そのまま飛んで行った。ちぃ。惜しい。
「ごめんなさいねぇ、トンパさん。ミスっちゃった」
「お、おぅ」
冷や汗だらだらのトンパに笑いながら言う。
後ろでキルアが「性格悪っ」と呟いたのが聞こえたが、聞かなかった振りを決め込む。
「やだ、汗凄いですよ?大丈夫ですかぁ?」
そんな事を言いながらも、心の中では大爆笑をしていた。
なに、あの顔。マジでウケる。
時間は過ぎて、朝の日の出の時刻。
私は目が覚めてしまった。原因はレオリオの鼾。
10代だと言っていたが、若さが感じられない格好で寝てるし。
「ん?キルア起きてたの?」
「まぁね」
私は僅かな光がある所に本を持っていき、読み始めた。
ここにいる間に、ここの本を全部読むと目標を立てているので寝てる暇などないのだ。
「眠れないのか?」
キルアのものではないその声に、一瞬驚く。
その声の主はクラピカだった。
「別に。俺、2,3日寝なくても平気だから」
「私は只目が覚めただけ」
クラピカを見ずに答える。忙しいんだって、読書に。
「もう朝だよな」
「あぁ」
キルアは朝だ、という事を確認した後、ゴンに枕を投げた。
おいおい。起こすにしても、もっと優しい起こし方ってもんがあるでしょーが。
だがゴンは投げつけられた枕をキャッチした。
それどころか投げ返した。
まぁ、ゴンは起きていたんだけどね。
2人はまくら投げを始め、その騒がしさにレオリオも起きてしまった。
二度寝しようとしたレオリオだが、トンパの足の臭さで目が覚めたようだ。
その様子にキルアもゴンも私もクラピカでさえも笑った。
それからはずっと、各々やりたい事をやって時間を潰した。
私は本を読み続けただけだけどね。
そして遂に50時間が経過した。
扉が開くと、ゴンが一番に飛びだした。
色々と大変な道を通り抜け、最後に辿り着いたのは小部屋とほぼ同じくらいの広さの空間。
心の準備はいいかという質問にトンパ以外が「いい」と答えた。
≪それでは、道を選んでください。選択は2つ。
6人で行けるが、長く困難な道。
もう1つは3人しか行けないが、短く簡単な道。
因みに長く困難な道は、どんなに急いでも45時間はかかります。短く簡単な道はおよそ3分程でゴールにつきます。
長く困難な道なら○、短く簡単な道は×を押してください。
×の場合、壁に設置された手錠に3人が繋がれた時点で扉が開きます。繋がれた2人は時間切れまでここを動けません≫
誰が話してるか知らないが、淡々と説明を述べていく。
つまり、仲間うちで争えって事?
「試験管も準備がいいね」
キルアがそう言う。
意味がよく判らず、私はキルアを見た。
「古今東西、ありとあらゆる武器を揃えてくれてるぜ」
「やっぱりこれを使って戦えって事なのかしら」
レオリオは○を押すらしい。でも残る気もないらしい。
ゴンは×を押すと言った。やはり皆で行きたいからだという。
そんな話し合いの最中、レオリオに斧が振り下ろされた。
間一髪で避け、その犯人トンパに食ってかかる。
そのまま2人は戦いだし、キルアも戦う気満々になってしまった。
焦るクラピカと私。
出来れば皆とは戦いたくなんて無いのよ。
そんな事を知ってか知らずか、レオリオとトンパの争いは激しさを増す。
そしてついに、ゴンが斧を手にした。
――――
―――
制限時間ぎりぎりの時、ゴールにたどり着いたのはゴン、クラピカ、キルアの3人。
アナウンスで3人の名前が呼ばれ、正式にゴールが認められる。
私達はと言うと…――
「俺もだ…っ」
トンパと争いながらレオリオが言う。
私はその2人の後ろなので進めないのだ。
私達3人もアナウンスで名前を言われ、正式にゴール。
「手は肉刺だらけだけど、6人そろってタワーを攻略出来た。ホント、ゴンのお陰だな!」
レオリオはそう言うと、ゴンの頭を撫で回した。
どうやって6人そろってゴール出来たかというと、
長く困難な道から入りって壁に穴を開け、短くて簡単な道へ入ったのだ。
置いてあった斧や槍などを使えば壁はどんどん崩れていくと、ゴンが気がついて、50分以上かけて穴をあけた。
と言う事。
この話はハラハラした;
ホントドキドキできたwww
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