呆気ない最期
キルアの相手は『ばらし屋』ジョネス。
大量殺人犯で特徴は異常なまでの握力。
レオリオは止めたが、キルアは恐れる事なく向かって行く。
私はその勝負を遠くから見ることにした。
だってなんだか皆に近寄りがたいし…。
「勝負の方法は?」
「勝負?勘違いするな。これから行われるのは一方的な惨殺だ。
試験も俺には興味がない。お前はただ、泣き叫んでいればいい」
「そっ。オッケー。死んだ方が負けで良いね」
脅した筈なのに全く恐れていないキルアにジョネスは少々驚いたようだ。
あぁキルア相手にデスマッチとは可哀想に。
ジョネスは右手をキルアに向ける。
「お前の亡骸…俺様がこの手でバラバラに――」
その言葉を言い終わる前に、キルアは動いた。
私には只キルアがジョネスを横切ったようにしか見えなかったが、実際は違う。
ジョネスの右胸に穴が開いていて、そこから少しだけ血が流れ出していた。
「あ、何だ…?なんだか…寒い」
ジョネスはそう言って穴を押さえ、キルアを見る。
キルアの手には、何かが掴まれていた。
それはジョネスの心臓。いまだ脈打っている。
「それ、俺の…返して」
だが、その心臓は動くのを止めてしまった。
それを見届けたジョネスは倒れて、そのまま動く事は無かった。
キルアは何事もなかったように帰って来る。
「アイツ…何者なんだ?」
レオリオが呟く。それにゴンが答えた。
「そっか。知らないんだね。キルアは暗殺一家のエリートなんだよ」
「暗殺一家のエリート!?」
レオリオが驚いているうちに、キルアが帰ってきた。
「ただいま」
キルアにそう言われ、あからさまにビビるレオリオ。
そんなレオリオをみて、キルアは不思議そうな顔をする。
しかも急に敬語で話し出したし。
私達は賭けに負けた分の50時間を小部屋で過ごすことになった。
でも、小部屋と言っても必要な物や、暇が潰せる物も置いてある。
「キルア」
「あ?」
クラピカがキルアに声をかけた。なんか珍しい光景ね。
「さっきの技は一体どうやったんだ?相手の心臓を一瞬で奪っただろう?」
「あぁ、あれ?別に技って程のもんじゃないよ。ただ抜き取っただけだ」
「抜き取った?」
「ただしちょっと、自分の肉体を操作して抜き取りやすくしたけど」
そう言ってキルアは自分の手を皆に見せるように上げ、種を明かしてくれる。
どうやったのかは知らないが、キルアの指の爪が尖った。危なそうな手ね。
「でも親父はもっと上手く盗むぜ。抜き取る時、血が1滴も出ないんだ」
頼もしい限りね。味方のうちは、だけど。
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