紅く輝く瞳
「次は私が行こう」
クラピカが言った。
相手は筋肉が凄い男。しかも体色が青。そして凄い顔。
格好良い方ではない。例えるなら整形に失敗した感じ。
あ。クラピカがいなくなったら、一体誰の後ろにいれば…。
そっとキルアの後ろに隠れる。
「どうしたんだよ」
「動かないでよ。絶壁の下を見せないで」
「ふぅん。高所恐怖症ねぇ」
キルアは意地悪そうに笑う。そして少し横にずれやがった。
「ちょ!?戻って!」
「はいはい」
仕方ないな、などと言いながらもとの位置に戻る。
キルアが逃げない様に後ろから抱きつく。
膝立ちだからちょうどお腹に手が回る感じになった。
「ちょ!?」
「逃げられたら困るのよ」
私はクラピカの方を見る。
ギャハハとありがちな笑い声を上げている男を冷静にジッと見ていた。
「これを見ろ。俺は今まで19人殺したが、19って数はキリが悪くてイライラしてたんだ。20人目に会えて嬉しいよ。
俺は命のやり取りじゃなきゃ、満足できねぇ。半端な勝負は受けねぇぜ」
そしてまた、ギャハハと笑う。騒がしい奴だこと。
「血を。臓物を。苦痛を!」
私は軽く、否かなり引いていた。トンパより苦手なタイプかも。
「良いだろう。勝負の方法を決めてくれ。それに従おう」
その答えに驚いたようだ。
自分が怖くないのか?みたいな顔をしている。
「いい度胸だな。それならば俺も相手が負けを認めるか死ぬかするまで戦うデスマッチを提案する。ただし、例えお前が途中で負けを宣言してもそこで俺が攻撃を止めるなんて望みは持たない事だな」
そしてまたまたギャハハと笑う。
「ねぇキルア。あいつギャハハって笑えば強く見えるって思ってんの?正直マジで引く」
「さぁな」
私らがそんな会話をしている間もずっと笑ってる。
よく息が続くわね。そこに吃驚したわ。
「判った。それでいい」
そう言うと、男の笑いが止まった。
クラピカは上に羽織っていた服を脱ぐ。
「始めようか」
男は少し考えてから、武器は禁止だ、と言った。
クラピカはそれに従い木刀のようなものを地面に置く。
「後は何かあるか?なければもう始めたいんだが」
その言葉に間抜けな声を出す男。そしてまた考え出す。なにか考えついたのか、ニヤリと笑う。
「おいおい、大丈夫かよクラピカは。見るからにやばそうだぜ」
レオリオが呟く。
どこがなのかしら。私にはあの男が人を殺すどころか、殴る度胸もないただの嘘吐き野郎にしか見えないわよ。
キルアも同じ事を思ってるらしく、呆れ顔だった。
男は高く高くジャンプすると、クラピカに殴りかかる。
クラピカは余裕で避けた。
「うわぁお」
「ずげぇ」
「床を素手で砕きやがった」
私とトンパとレオリオはそう口々に言う。
レオリオの言葉の通り、男は床を砕いた。
そして床を砕いた時の瓦礫から手を抜くと、男は背中を私達に向けた。
男の背中にあったのは、蜘蛛の刺青。
只の蜘蛛ではない。
12本足の蜘蛛の刺青だった。
「12本の足を持つ蜘蛛の刺青…あれは…」
「あぁ。知ってるぜ。ハンターを目指す者ならだれでも耳にした事ぐらいあるだろう。
極悪非道と悪妙高い盗賊団、幻影旅団メンバーの証だ」
だから何なのよ、とレオリオに問う。
レオリオは知らないのか、と言って訳を話してくれる。
「クラピカの仲間を殺したんだよ。そいつらが」
「え?」
思わず聞き返してしまう。
クラピカを見ると、攻撃を避けた後の膝をついている格好のままだった。
キルアを抱き締める腕に力が入る。
男はクラピカを見た。
なんか勝負ありって顔をしている。
俯きながらも立ち上がるクラピカ。
「どうした。声も出ないか?
俺様は旅団四天王の1人、マジタニ。一発目は挨拶代わりだ。
負けを認めるなら今だぜ。今なら俺様もそんなに―――」
顔を上げた時、クラピカの瞳は紅かった。
それはそれは、燃えるような紅。
「なに?なんだ?お、お前…」
マジタニがうろたえていると、クラピカが視界から消えたらしい。
でも私達には見えていた。
クラピカは凄い速さでマジタニに接近していたのだ。
「ぐぉ!」
下からマジタニの顔を掴み上げる。
そして、右の手を固く握りしめ、マジタニを地面に殴りつけた。
女の子みたいだが、意外と強いんだ。クラピカって。
「忠告しよう。1つ。本物の幻影旅団の証には、蜘蛛の中に団員ナンバーが刻まれている。
2つ。奴らは殺した人間の数なんか、いちいち数えちゃいない。
3つ。二度と旅団の名をかたらぬ事だ。さもないと、私がお前を殺す」
殺す、と言った時にクラピカの紅の瞳が光を増した。
その瞳をどこかで見た気がする。
幼い頃、綺麗な瞳だと思って見ていた気がするのだ。
この時のクラピカカッコいいですよね!
さて、ここでやっとクラピカの過去を知ったイオちゃん
キルアを抱き締めていた腕をきつくしたのは
感情移入(?)しちゃったからですね
イオは意外と優しいですww
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