震災がれき処理 現地で減量の新装置開発
東日本大震災で発生した木材などのがれきを炭にする装置を金沢市の企業が開発した。がれきが山積みの現場にトラックで運んで設置できるのが特徴。7〜8時間で1トンを処理し、重さは4分の1、体積は2分の1以下に。煙を出さず、電気や化石燃料も使わない。広域処理が難航する中、技術で復興を後押しする。(押川恵理子)
農業や環境関連の装置を手掛ける明和工業が開発した。岩手、宮城、福島3県の沿岸で発生したがれきは推計2252万トンに上るが、再利用や処理をしたのは6・3%。同社には被災地で処理を請け負う企業から問い合わせが相次ぐ。
装置は列車の貨物コンテナを再利用し、大きさは幅2.4メートル、奥行き3.7メートル、排気用の煙突を含めた高さは5メートル。鉄骨やコンクリートを取り除いた木材中心のがれきをまきで燃やし、発生したガスの熱で炭にしていく。まきにもがれきを使う。価格は1台960万円。
同社によると、懸念される放射能汚染も、放射性セシウムの沸点より低い400度以下の温度で燃焼するため、セシウムは気化せず炭に閉じ込められ、炭を適正に管理すれば拡散しない。炭化は焼却に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量が半分以下に抑えられ、メタンガスも発生しない。
震災直後から開発に着手し、中心となった技術者の芳賀聖さん(32)は仙台市出身。がれきが積まれ景色が一変した故郷の復興を願い、改良を重ねてきた。
明和工業は金沢市を通じて岩手県大槌町にまきストーブ6台を提供。今回も第1号を被災自治体に贈ることを検討している。北野滋社長(61)は「被災地で分散してがれきの処理を進められる。雇用も生まれる」と話す。
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