性的暴行の加害者、釈放後に報復殺人

 「逃亡の恐れがない」などとして、裁判所が逮捕状請求を却下した性的暴行事件の加害者が、被害女性をめった刺しにして殺害する事件が起きた。

 ソウル衿川署は、過去に同居していた中国出身の朝鮮族の女性(42)を21日未明に32回にわたり刺して殺害したとして、同日午後に朝鮮族の男(43)を殺人の疑いで逮捕した。

 調べによると、加害者と被害者は昨年9月から5カ月にわたり同居してきたが、被害者の女性は加害者に経済的能力がないことを理由に別れ話を切り出し「今まで使った生活費を返せ」と要求した。その後も2人の間では言い争いが絶えず、被害者は加害者宅に先月21日から4日間にわたり監禁された。

 加害者宅から脱出した被害者は、警察に「監禁中に2回、性的暴行を受けた」と被害を訴えた。これに対し、加害者は「合意に基づき、1回の性行為を持った」と反論した。警察は女性の体に残された傷やメールのやりとりなどから、被害者の主張は信用できるとして、監禁と強姦(ごうかん)の疑いで、加害者を緊急逮捕し、今月2日に逮捕状を請求した。

 しかし、ソウル南部地裁は今月3日「証拠隠滅や逃走の恐れがなく、双方の主張が食い違っている」という理由で、逮捕状請求を却下した。警察から釈放された加害者は、その後も被害者と金銭問題で対立。加害者は今月21日、被害者を訪ね、持参した凶器で刺殺した。犯行直後、加害者は現場から逃走したが、京畿道水原市の知人宅に潜伏しているところを同日午後に逮捕された。

 被害者のおばは「めいは脱出後、警察に被害届けを提出し、報復を恐れて済州島の親戚宅に隠れていた。警察が加害者を捕まえたというので帰ってきたが、判事が加害者の釈放を認めるとは話にならない」と憤った。

 逮捕状請求を審査した担当判事は「当時2人は愛人関係にあり、加害者が犯行を否認するなど、2人の主張に一致しない部分があるため、請求を却下した」と説明した。

イ・ジュンウ記者
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