'12/4/23
緊急停止作業中に突然爆発
三井化学岩国大竹工場で22日起きた爆発事故は、プラントを緊急停止させる作業中に発生した。原因究明はこれからだが、可燃性の強い物質を生み出す酸化反応タンク付近で何らかのトラブルが起きた可能性が高いとみられる。
爆発の3時間近く前の21日午後11時半ごろ、工場内に「シャットダウンせよ」という緊急の放送が鳴り響いた。各プラントで必要な蒸気を供給する設備にトラブルがあり、構内の7割のプラントが緊急停止に入った。
爆発が起きたレゾルシンプラントでは、作業員が約30メートル離れた計器室で停止のために自動弁の開閉や窒素の注入などを始めるボタンを押した。その後、死亡した砂川翔太さんがプラント内に入り、完全に停止させるために手動でバルブを閉める作業などに当たっていたとみられる。
同社によると、爆発の際には、停止のための作業がほぼ完了していた可能性もある。なぜ、突然の大爆発につながったのか、現時点では不明だ。
爆発したプラントでは自動車タイヤのゴム用接着剤などに使われるレゾルシンを生産する過程で、可燃性が高い物質ができる酸化工程がある。「爆発は酸化過程に出る過酸化物が影響した可能性がある」。爆発直後、現場に駆け付けた原茂執行役員工場長は話した。
ただ、タンク内で爆発したのか、タンク外に何かの原因で可燃性物質が漏れて爆発につながったのかなどは「調査してみないと分からない」とした。
中国地方では昨年11月、東ソー南陽事業所(周南市)で1人が死亡する爆発事故が起きたばかり。三井化学の岩国大竹工場でも1984年、爆発事故が起きた。けが人はいなかったが、静電気による発火が原因という。
同社によると、引火リスクを下げるため構内の移動はすべて徒歩か自転車。静電気対策などに神経を使ってきた。同社は鎮火が確認され次第、本格的に原因調査を始める。田中稔一社長は「社内の事故調査委員会の結果を踏まえて、徹底して対応する」と話した。