つなぐ 希望の木
災難を乗り越えてきた木々を、都内に訪ねた。
【社会】6億円貢ぐ 送金350回 キャバクラ女性「がん治療費を、会えないけど」勤務先の金をだまし取ったとして、警視庁が十一日に電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕した埼玉県朝霞市の元会社員栗田守紀(もりとし)容疑者(33)は、キャバクラの女性店員(30)に総額約六億円を送金していた。「がんで闘病中」と治療費を求める女性の言葉を信じ、ほとんど会うこともなく約七年間にわたり計三百五十回以上、金を振り込んでいた。 警視庁によると、栗田容疑者は二〇〇〇年からゴム製造会社「シバタ」(東京都中央区)の経理部に所属。逮捕容疑では、自ら管理する会社の口座から二億三千万円を自分の口座に送金し、だまし取ったとされる。 シバタ関係者や訴訟記録によると、栗田容疑者は〇一年ごろ、葛飾区のJR亀有駅前のキャバクラで、当時二十歳の女性店員と知り合った。何度も店に通い、〇二年からは月に数回デートをするようになった。 〇三年ごろには、女性から「胃がんになった」と相談され、医療費として女性の口座に振り込みを始めた。〇四年からは「面会謝絶になった」と言われ、女性にほとんど会えなくなった。〇六年以降はメールのやりとりだけの関係だった。 犯行が発覚する一〇年七月まで、振り込みを続け、最終的に会社からだまし取った六億三千九百万円のうち、女性への振り込みは五億九千四百万円に上った。警視庁は公訴時効(七年)にかかる約一億円を除き、立件する方針だ。 女性はメールで「個室に入るので金がかかる」「無菌室を使ったので支払いが高額になる」などと、月に何度も金を要求した。栗田容疑者が請求書を見せるよう言うと「疑われたら生きている意味がない、自殺する」とごまかしていた。 発覚直後、栗田容疑者は女性に「会社の金を横領していた」と告白した。「自首する前に会いたい」。だが、女性は面会を断る一方で「最後に千三百万円お願いできないかな」などと要求した。 会社側が確認したところ、女性に入通院の記録はなく病気の話はうそと判明した。栗田容疑者がただすとメールで「本当に本当にごめんなさい」。以後、連絡が取れなくなった。 女性は「闘病中」と説明していた間、新宿の高級マンションを借りて住み、金は旅行や飲食などに使ったという。シバタの担当弁護士は「女性からも回収を試みたが、ほとんど使われて残っていなかった」としている。 栗田容疑者は、女性を相手取った民事訴訟(既に和解)の中で「普通に考えると不自然だが、当時は病気のことも治療のことも信じていた」と陳述した。女性は「認めます、済みませんでした」と謝罪している。 PR情報
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