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横須賀会場開催結果


印刷用ページを表示する 掲載日:2012年2月21日

1 概要 

 
日時

平成24年1月20日(金曜日)19時から21時

会場

横須賀市立総合福祉会館 5階ホール

参加者数270人

会場の様子

プログラム

  • 開会
  • あいさつ
  • 震災がれきの受入に関する県の対応について
  • 知事によるがれき処理の調査に関するDVDの放映
  • 被災地からの声
  • 参加者の皆様と知事との意見交換
  • 閉会

2 資料

  1. 黒岩知事との対話の広場資料 [PDFファイル/1.39MB]
  2. 岩手県の災害廃棄物 あの時から10ヶ月 [PDFファイル/1.58MB]
  3. 放射線の人体影響について [PDFファイル/1.58MB]
  4. 環境省からのお知らせ 津波被害による岩手県・宮城県の災害廃棄物の受け入れについて [PDFファイル/2.86MB]

3 実施結果 

 PDF版

  対話の広場実施結果(横須賀会場) [PDFファイル/296KB]

テキスト版

知事からの説明 

 こんばんは。神奈川県知事の黒岩祐治であります。今日はわざわざ足をお運びいただき、誠にありがとうございます。震災がれき、被災地からのがれき受入問題、これについて、私からご説明させていただいて、率直に皆様と意見の交換をしたいと思っております。

 そもそもどうして私が、被災地からのがれきを受け入れたいと思ったのか、ということからお話させていただきます。

 去年の3月11日に東日本大震災、そして福島第一原発の事故が起き、大変なことになりました。私が知事に当選したのはその直後でありました。何とかして、東北地方復興に向けて我々ができることはないのか。そんな中で、事態はどんどん変わってきました。今、この時点で一番現地が求めていることは何なのか。それは、がれきを処理してほしいということであります。しかし、私は、そういう思いが伝わってきて、分かっていても、正直に言って、なかなか決断ができませんでした。それは放射能に対する皆さんの恐怖感が大変に強いものがある、それを私なりによく分かっていたつもりだからです。そもそも選挙の時に、脱原発といって戦ってきた私であります。しかし、その放射能の怖さを乗り越えることができないのかどうなのか、ずっと悩み続けておりました。

 そもそも県はゴミの処分というのは業務として普段やっていません。やっているのは市町村であります。東京都はいち早くがれき受入ということを表明しましたが、東京都は普段から業務としてゴミの処分をやっているということでした。東京都がやったからといって、神奈川県がすぐに手を挙げることはできなかった。そんな中で、県議会でも質問をされました。神奈川は受け入れないのか、神奈川県知事として何もしないのかと言われました。私はしっかり考えましたが、なかなか前向きな答弁ができませんでした。しかし、そうした答弁ができなかったその中で、本当にできないのかどうなのかということを、ずっと悩み続けていました。

 では、放射能に汚染されたとはどういうことなのかというと、100ベクレルという一つの数字があります。ここに満たないのであれば、放射能に汚染されたわけではないというレベルになります。ここからパネルを使ってご説明したいと思います。

 この事態になってから、いろんな数字、いろんな単位が出てきて我々もなかなか十分理解できないところもありますが、きちっとご説明したいと思います。100ベクレル以下の放射能という基準については法律があります。ちょっと長い法律名ですけど、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」という法律の中で、「100ベクレル以下は放射性物質として取り扱わない」という基準があります。この放射性物質から出てくる放射線は被ばくのときには違った単位が使われます。100ベクレルのものから出てきた放射線を全部被ばくしたときには、0.0013ミリシーベルトという被ばくになります。100ベクレルにいってない被災地のがれきであるならば、放射能に汚染されていないがれきということで受け入れることができるのではないかなと思いました。

 次のパネルを見てください。この0.0013ミリシーベルトという数字はどのようなものか、比較しないと分かりません。放射線は自然界にもあります。比べてみると、実は、がれきを処分するときには焼却しますが、焼却すると濃度は高くなります。濃度はだいたい100ベクレルのものが1,600ベクレルから3,300ベクレルになり、だいたい16倍から33倍に濃縮されると言われています。ミリシーベルトで言いますと、震災がれきそのものは、焼却前は最大0.0013ミリシーベルトですが、これを焼却しますと濃度は高くなり、最大0.043ミリシーベルトになります。

 世の中にある他の放射線はどういうレベルかと言いますと、例えば、東京とニューヨーク間を飛行機で往復するだけで0.2ミリシーベルト被ばくします。胃のX線集団検査ですと、0.6ミリシーベルト。胸部CTでは6.9ミリシーベルト。それと比べると極めて低い値だということになります。そこで、この基準なら何とか受け入れることができるのではないかと思いました。

 しかし、現地はどうなっているか、この目で確かめなければならないと思いまして、1月に入って、現地に行ってきました。私は、岩手県の宮古市、それからずっと下ってまいりまして宮城県の南三陸町を視察して参りました。岩手県宮古市を選んだのはなぜかと言いますと、先にがれき受入を表明して実際にもう実施しています東京都が、宮古市のがれきを受け入れていたわけであります。それで見に行きました。そうすると、これ(写真)はがれき受入場所ですね。私が震災直後に現場に行ったときには、がれきというか、町全体が崩壊した、それがそのままありました。がれきがまだ集められてない状況でした。今回はかなりきれいに集められ、うずたかく積まれていました。その選別作業が行われていました。この選別作業というのは地域によってそれぞれ差がありますが、宮古市の場合はこうなっていました。

 まず、全部のがれきからダンプカーでごみをもってきて、粗選別エリアというところでそのゴミを全部出します。その映像がこれです。出されましたら、周りの4カ所でこのような測定機械を使って、空中放射線量を計測していました。そして、ちょっと離れたところでも計測していました。この差、これが、がれきから出ている放射線の量です。どれくらいのレベルかを確かめるためにこのような測り方をしていました。

 そして、ここ(写真)で選別します。4つの分野に分けます。建設混合廃棄物、廃機械・機器類の両方を東京都は持ち帰っておりました。それ以外に、危険物・有害物類、ふるい下がれき類があり、これはそのまま置いておきます。さあここで建設混合廃棄物というのはどういう状態か。これは要するに、選別して燃えるゴミです。うずたかく積まれている中で、ここの放射性物質の濃度を測定していました。大きな山から10か所、がれきを取り出してきまして、こんなふうにこれを混ぜて、また小さな袋に入れて、それをこの向かいにある現場の事務所、建物の中に持って入りました。

 建物の中のこういった鉛の箱の中に、そのゴミを入れて外と遮断します。遮断した中で、この放射線量を再び測ります。そして、基準に入っていれば、ここから持ち出しても大丈夫だということになります。ここで東京都が実施している基準というのは、国の基準です。ごみの焼却灰で8,000ベクレルは受けいれても大丈夫だというのが国の基準です。

 しかし、私が今回言っている基準は、焼却前の100ベクレルということですから、最大でも3,300ベクレルです。東京都の方がもっと基準は緩やかなんですね。それでも、実際測ってみると、そこまでいっている、100ベクレルを超えるゴミはありませんでした。

 これで大丈夫だといったものをトラックを持ち込んでコンテナに入れます。この上をしっかりと密封します。そして再び、コンテナの近くから放射線量を測ります。そして、基準に合致していることが分かった段階で、ここから搬出して、貨物に入れて東京まで運んでくる。こういうふうにこの現場で3か所、ここと、現地の事務所の中とこのトラックのまわり、3箇所で徹底的に放射線を調べて運び出しておりました。

 そして、東京都に持ち込んで、建設混合廃棄物を粉砕します。粉砕して、焼却もします。このようなデータを見せていただきました。放射性物質濃度の測定結果です。東京都にいろんな産廃業者が持ち込んでいます。A社、B社、C社、D社とありますが、A社のNDというのは、持ってきて放射性物質を測ったけれども、放射性物質のレベルが低くて検出不能だったということです。B社は60ベクレル、D社は95ベクレルとなっており、全部100ベクレル以下です。ところが、C社は111ベクレルでした。111ベクレルでは、私が出している100ベクレルという基準では受け入れられないと思いましたが、聞いてみて驚きました。A社、B社、D社は、宮古から持って来たがれきをそのまま調べていました。C社だけは宮古から持ってきたがれきに東京都のゴミを混ぜていたんです。東京都のごみを混ぜた方が、なんと放射性物質のレベルが高くなっていたということであります。私はこのデータを見てびっくりしました。

 それで、こちらの地図を見てください。つまり、皆さんの不安の中で一番大きいのは、被災地のがれきは放射能に汚染されている。だから恐いんだということだと思います。その気持ちはよく分かります。でも、現場で分かったことは、被災地とは何なのか、ということです。被災地とは宮古です。宮古、これはまさに、津波の被災地です。

 今、放射性物質と言っている。放射性物質の話になると話が違ってきます。中心はもちろん、福島の原子力発電所です。これからみると、宮古というのは260キロメートル離れています。260キロメートル離れているということは、横浜も260キロメートル離れています。横須賀はもっと離れています。

 現地で東京都が一生懸命集めたがれきを調べてみても、100ベクレルを超えるがれきは出てこない。むしろ東京都のごみを混ぜた方が、放射性物質は高くなった。この事実は、きちっと皆様にお伝えしたいと思った次第です。放射能に汚染されたがれきを持ってくるんじゃないんです。その100ベクレルという基準は、今度の事故が起きる前からある法律の基準です。そこに達していない数字というのは、分かりやすく言うならば、「放射性物質に汚染されていない」ということです。これは国が決めたルールです。そういうゴミだ、がれきだということになるわけです。これを受け入れるんですから、私は皆さんに理解していただけるのではないかなと思った次第でありました。

 先ほどの続きですが、東京都の場合、震災がれきを運んできて焼却をします。神奈川県の場合には、県自体は焼却炉を持っていません。ですから、横浜市、川崎市、相模原市等で今、焼却を検討していただいております。この施設にトラックで持ってきて、焼却灰となります。先ほど申し上げたように、この段階で、16倍から33倍に放射性物質の濃度は高まります。これをフレコンバッグ、こういうものに詰めます。これをトラックに入れて、しかも、この上面は完全に防水シートで覆って、このままの状態で最終処分地に入ってまいります。

 私がぜひお願いしたいと思っている芦名に県は最終処分場を持っています。ここに断面図、模型もありますけれども、この最終処分地、よくぞ芦名の住民の皆さんがこれを受け入れてくださった、大変なことだったと私は本当に思います。心から敬意を表したいと思います。誰だって、ゴミの焼却、最終処分場が自分の生活をしているそばにくるのを歓迎する人はいません。でも、誰かがどこかで受け入れなければいけないという中で、芦名の住民の皆さんがそれを受け入れてくださった。その交渉の中で、できる限り安全な処分場をつくろうと、県も一生懸命知恵を出しました。ここは要するに谷になっています。それを防水シートで覆って、水が下に漏れていかない工夫をしたりしながらここに埋めていくことになります。私は東北被災地に行く前、処分場を見てまいりました。このようにして、きちんとこのフレコンバッグをおいていきます。どういうふうに詰めるかと言いますと、断面図のようになります。地盤の上には、遮水シート、粘土、コンクリートなどで水が漏れないよう完全に防御しています。万、万、万が一漏れた場合に対応するために、ずっとここにセンサーがあり、水が漏れていないかずっと測ります。この上に土をのせ、ここにいわゆる既存の廃棄物をのせます。普通なら廃棄物をのせますが、震災がれきの場合はどうするかというと、この上に土で50センチメートル以上覆います。そして、この上に震災がれきの焼却灰、3メートル以下にします。そして外に漏れないように周りを土で囲みます。この上にさらに土を敷きます。そしてこれは省略してありますけれども、その土の上に50センチメートルの土をのせ、さらにまたその上に焼却灰をのせます。そして一番上は3メートルの土で覆います。

 この3メートルの土で覆う、50センチメートルの土で覆うということには、どういう意味があるか説明します。放射能というのは覆えば少しずつ被ばく量が減ります。その間に、ブルーシートだけ敷いている場合には遮断効果はわずか10パーセントだけです。ところが、土を覆って10センチメートル深くなると、一気に75パーセントくらいに減ります。それが50センチメートル土で覆いますと、バックグラウンド、一般環境と書いてあるように、普通のゴミと同じレベルまで遮断されるということであります。50センチメートルでこれだけ遮断されるということです。それを、一番上に3メートルの土で覆うのですから、皆さんがご心配されるような放射性物質が出てくることは基本的にはない。そのレベルまで徹底的に覆うということです。

 そして、埋め立てした後も、徹底的に調べてまいります。芦名の処分場は谷に沿って長く延びていますが、ここに被災地からのがれきの焼却灰を埋めるというエリアを決めます。そこを徹底的にチェックして、このように空間放射線をずっと測り続けます。このデータはずっと公開し続けます。そして、もしかしたらいくらビニールシートが敷いてあっても、水が漏れているんじゃないか、そういうことも地下水・放流水等の放射性物質濃度の測定をずっと続けて、情報をずっと公開していきます。

 つまり、現地で徹底的に放射性物質を調べて、大丈夫だというものを持ってきて、徹底した管理の下に、焼却灰にします。そして、また徹底的に管理した中で埋めて、その上に漏れないように最大の配慮をし、さらにずっと調査し続けるということで、これを進めてまいりたいと思います。

 この中でどこまで皆さんにご理解いただけるのか分かりませんが、地元の皆さんのご理解がなければ、前に進めることはできません。私は現場で見た、これなら大丈夫だと自信を持っています。その思いをお伝えして、まだ疑問が残る場合には、徹底的に皆さんの疑問にお答えしていきたいと思っているところであります。

 芦名の町内会の皆さんとは実は協定を結んでおります。このごみ処理場、最終処分場をつくるときに、県内の産業廃棄物の最終処分を受け入れるということで、県と地元で協定をしています。今回の出来事は、県外です。しかも産業廃棄物ではありません。県外の災害廃棄物です。ですから、改めて協定を結んでいただかなくてはなりません。そのためにご理解を得たいと思って、ご説明を続けているところであります。

 今、私が申し上げたことをもう1回映像でご覧いただきたいと思います。

DVD映写

 DVDはこちらからご覧いただけます→災害廃棄物広域処理へ向けて 現地レポート 岩手県宮古市

 岩手県 環境生活部長からの説明

 神奈川の皆さん、おばんでございます。岩手からやってまいりました、環境生活部の工藤でございます。よろしくお願いいたします。

 まずもって、昨年の3月11日に発生しました大震災津波に対しまして、皆さんから温かいご支援をいただき、厚くお礼申し上げます。また本日は、黒岩知事さんの県民との対話に出席させていただきまして、岩手の震災がれきの現状と課題についてお話しをする機会をいただいたことに対しまして、感謝を申し上げます。

 震災がれきについてお話させていただく前に、復旧・復興にむけた現在の取組状況について簡単にふれさせていただきたいと存じます。大震災津波におきましては、沿岸の市町村すべてが被害を受けました。6,000人を超える方々が亡くなったりあるいは現在も行方不明の状況です。また、約5万5,000人の方が、まだ寒い中で、電気も暖房も水も食料も、そして着るものもないという状況で長期間、避難所生活を余儀なくされたところでありますが、皆様方の温かいご支援によりまして、現在復興に向けて、それぞれが頑張っているという状況でございます。重ねてお礼を申し上げます。現在も4万人ぐらいの方々が、仮設の住宅にお住まいで、例えば、小中学校が被災にあったところについては、隣の小中学校と一緒に勉強するとか、あるいは多くの漁船が流されました。残された船を皆で共同で使いながら、助け合いながら一歩一歩新たなふるさとづくりに取り組んでいる状況でございます。

 次に災害がれきの状況についてご説明申し上げます。お手元に配付されている「岩手の災害廃棄物、あのときから10か月」を参照しながらご説明をさせていただきます。大震災津波におきましては、人家を中心に、学校、とか病院、あるいは市役所、商店、工場など約2万5,000戸の建物が被害にあいました。その建物から発生した震災がれきが県の推計では、435万トンとなっています。一般の家庭からでる、県内のゴミの約10年分に相当する量でございます。これの早期処理というのが、私どもにとって大きな課題になっています。これらについてはお手元に配付させていただきました、スライド番号3からのところにがれきの状況が記載してあります。

 本県の三陸沿岸はリアス式海岸ということで、風光明媚ではありますが、平場が少ないことが特徴でございまして、そのため今、がれきについては、街中から撤去いたしまして港湾でありますとか公園、工業用地、あるいは国道ぞいの田んぼなどに、なんとか工夫をしながら一次仮置きをしている状況です。

 これまでに処理できた量は約20万トンでございます。全体の約4パーセントにとどまっております。その要因につきましてはいろいろ挙げられますが、先ほどからお話にでております放射能問題が最大の課題になっています。本県の廃棄物の処理施設は、1日最大1,000トン処理できるという能力を持ったセメント工場があります。ここも津波で被害を受けて、今やっと復旧したところでございますが、その他、県では1日100トンくらい処理できる仮設の焼却炉なども2基整備するとともに、内陸の各市町村の清掃センターなどにもお願いしていますが、これらをあわせても5年は要するだろうと考えています。

 国のほうでは3年以内に処理するという方針を打ち出しています。一方、5年はかかるという現実というギャップであります。地域からは3年でも遅いと、もっと早く処理してほしいという声が強く出ていますが、県では施設の能力等も勘案しながら、3年以内に処理するということで今進めておりますが、3年と5年のギャップというものが、約60万トンが生じております。これを他の都道府県にお手伝いしていただきながら処理を進めない限り、3年以内の処理は困難な状況です。他県にいろいろお願いをした経緯がございまして、当初は各自治体も前向きに取り組んでいただけるというお話でございましたが、福島第一原発の放射性物質の影響により、各自治体から今はそのような状況ではないというお話が相次ぎまして、現在のところ受入れていただいているのは東京都だけです。

 県内では放射性物質の問題はどうなっているか、ということについてもちょっとお話をさせていただきます。県内でも放射性物質の問題については県民の方々、関心がございます。岩手県には原子力発電所はございません。またこれまでも誘致をした経緯は一切ございませんので、そう言う意味では私どもも被害者であるとは思っております。ただ現実を目の前にして何とかしないといけないと取り組んでいます。災害廃棄物につきましては、現在、セメント工場におきましてセメントの原燃料として使わせていただいております。先ほど黒岩知事からお話がありましたとおり、本県の放射性物質濃度というのは決して高くはありません。セメントの製品についても、製品になった時点で、キログラムあたり100ベクレル以下という基準がございます。これをクリアしながら、12月からセメントの製造を始めているところでございます。また、木材につきましては、これを粉砕いたしまして、住宅用のパーティクルボードというのですが、建築資材にリサイクルする取り組みも進んでございます。また焼却灰についても、県が関与する最終処分場に埋め立て処分をさせていただいております。これについては安全性についてもしっかりモニタリングしながら進めてございます。放射線の測定結果や、水にセシウムが含まれていないか、これについても定期的に観察しながら進めておりますが、今のところまったく異常はございません。

 そういうことで、必ずしも皆様方がご心配されるような放射性物質濃度ではないとぜひご理解をたまわればと思います。本県の災害廃棄物の早期処理というのは、まさに本県の早期の復旧、復興にかかっています。がれきを平場がない土地の中で保管しています。がれきを物理的にどけないかぎり、限られた土地の利用ができない、つまり新しいまちづくりができないというのが今の現状です。本来であれば子どもたちが元気に遊ぶ運動公園、そこにがれきの山があります。来年は米を植えたいと思っている田んぼの中にがれきがたくさん積み上げられています。これを5年待てというのは、我々にとっては、なかなか住民にお話ししにくい状態です。

 次に、衛生上の問題があります。魚も含めた有機物が若干混ざっているということで、夏場には強い悪臭が漂うケースがございました。また、ハエや蚊が大量に発生いたしました。大きな社会問題になりました。さらには風が吹くとほこりが舞います。その他にも火災が昨年3件発生しました。積み上げておくと自然発火する恐れがありまして、1箇所については鎮火するのに2週間くらいかかりまして、まわりの住民の方からの苦情が寄せられたということもありました。

 3つ目は、被災者の心の元気が出ないということであります。先ほど黒岩知事さんから心の復興、というお話がありましたが、まさに心の復興をはかるためにも、がれきの早期処理が必要だと考えております。

 最後になりますが、本県の災害廃棄物の受入を決断してくださった黒岩知事さんに感謝を申し上げますとともに、ここにお集まりの県民の皆様方のご理解をえられ、本県の復旧が進むように切にお願いして、簡単ですが説明とさせていただきます。

意見交換

参加者

 今日はありがとうございました。横浜市から来ました。

 何点かあるのですが、とても片側の目線でしか黒岩知事が放射性物質のことを見られていないという点、とても残念に思いました。

 まず私はただ反対したいわけではなく、復興というものをどこに置くのか。がれきを除けばそれで復興するのか。今回は原発が爆発しています。ただの地震の津波被害のがれきではないんです。放射性物質を帯びているがれきです。今までの黒岩知事の説明を聞きましたけれども、全く安心ができませんでした。

 まず、最初におっしゃった100ベクレルが安全という法律、誰が作った法律なんでしょうか。そして、黒岩知事は、最終処分場の処分の仕方については説明していただき、よく理解できましたが、焼却するときに空中散布される放射性物質のことは理解されていますか。

 そして最後に、放射線量の高いがれきが出てきたときには、黒岩知事はどのようにそのがれきを管理したらよいとお思いですか。例えば、福島のものが高いとは限りませんけれども、原発の周辺のがれきなど、放射線量が高いがれきについては、今の段階で黒岩知事はどういうふうにそのがれきを管理したらいいと思っていらっしゃるでしょうか。目先のことでしか考えてらっしゃらないように思います。全体、もっと持続的なことを考えて震災がれきのことは私たちが向き合っていかないといけない課題だと思います。

 参加者

 逗子の者です。今の方と全く同じ質問です。よろしくお願いします。

 知事

 片側の目線からしか見ていないと言われましたが、私はそのつもりはありません。100ベクレル以下という数字は誰が決めたのか、それは国会で決めたことであります。法治国家というものは、法律に基づいて運営していくものだと思っています。100ベクレル以下は汚染されていないという基準を設けているのですから、そのがれきなら何とかご理解いただけるんじゃないかと私が判断した次第であります。汚染されているから受け入れられないというその気持ちはよくわかるので、本当にそうなのかということを現場に行って、見てきたわけであります。先ほど、宮古の方からもレポートありましたが、宮古のがれきは100ベクレル以下です。100ベクレル以下は法律の中で、放射性物質に汚染されていないという基準になりますから、それならご理解いただけると思ったわけでありまして、決して片側から見ているわけではありません。

 空中散布ですが、これは炉内で揮発した放射性セシウムというものは、排ガスの冷却過程で固体状態になり、ばいじんに吸着・凝集し、その後、バグフィルターによりほぼ100%捕捉されるというように私は認識しております。

 放射性物質濃度が高いものがないようにずっと測り続けているんですから、そういうことはないと申し上げています。福島のがれきを受け入れるとは私は申し上げていません。現地で調べて、100ベクレル以下のものを徹底的に調べて、これなら大丈夫だと現地で何度も何度も確認してそれを持ち運んでくるということであります。

 参加者

 横須賀市からきました。焼却を横浜と相模原と川崎でするということですが、がれきとゴミをどういうふうに分別して燃やすのか。放射線がゼロではないということは、濃縮されて、さらにお話しているのは1キログラムの単位だと思うんですが、ベクレルは、総量というのはどのようにお考えでしょうか。

 参加者 

 逗子に住んでいる者です。最初にお話された女性がおっしゃったように、私も黒岩知事の説明を安心できません。お伝えしておきたいと思います。

 焼却灰の一番、放射能がきついところでも、東京、ニューヨークのどうのこうのとか、胃のレントゲンがどうのこうのと言いますが、飛行機に乗るときは必要だから乗るんですし、胃のレントゲンはほんの一瞬ですよね。それが0.0いくつとか0.43だとか書いてごまかそうとしても、我々はごまかしにはのりたくありません。そもそもがれきは、福島か宮古か、宮古の人も大変ですし、福島の人も大変ですが、そもそも原発事故がなければ私たちはそのがれきのことは別な問題になります。放射能なんですよ。

 核の平和利用と言われました、それでみんなごまかされたのです。放射能。放射能の平和利用って言ってください。放射能の平和利用って誰が言ったんですか。核の平和利用ってみんなごまかされているんですよ。その核の平和利用という名前で、今日の事態があるわけです。そもそも、3月11日、12日、13日、14日、15日あたりはものすごい量が出たんでしょう、大気汚染をしたんでしょう。それが原因なんでしょう。そしてそのことが神奈川にも及んでいるんでしょう。

 これでまたがれきの焼却灰は、がれきそのものの放射能の何倍ですか、何十倍ですか、何百倍ですか。これを神奈川県のあそこに埋めたところで。知事は一生懸命説明しました。しかし、3年や5年はもつでしょう。あるいは10年以上もつかもしれない。土をかぶせて。しかし何十年、何百年、何千年。放射能というのは何万年ですよ。誰が面倒見るんですか。そんなことをですね、わざわざ放射能を薄くすることはできません。放射能は固まっているんです。またそこにわざわざ放射能を広めて、死の町をあちこちに作るんですか。それじゃ何のために復興支援なんですか。そういうことでは私たちは全く納得できません。

 黒岩知事はおそらく、皆さんに説明して、なんとしてでも乗り切って、受け入れようとしているのでしょうけれど、私たちはそんなことでごまかされたくありません。私は今、先ほどの知事の説明を聞いて、黒岩知事が反原発だから投票しました。今反省しています。失敗しました。もうこれ以上、皆さんにはっきりと、皆さんの意思がこのようにでているのですから、黒岩知事もお断りください。よろしくお願いします。

 知事

 焼却施設でがれきと一般ゴミをどうやって仕分けするかという話がありましたけれども、まだゴミの焼却については川崎、横浜、相模原で検討していただいているところであります。市でしっかり検討していただき、地元のご理解をいただけると思っています。

 今、私がまずお願いしているのは、最終処分場を何とかお願いできればというところです。その全体の分量でありますけれども、受入可能量は川崎市の場合には年間1万9,000トン、相模原は年間1万8,400トン、横浜市の場合は現在受け入れ可能量を検討中です。

 最終処分場に埋めるときに、放射性物質が漏れないようにして、何度も何度もサンドイッチのように土で覆います。そして一番上の所は3メートルの土で覆うので、基本的に放射性物質は漏れないということだと思っています。

 飛行機で被ばくすると言っても、乗りたいから乗っているのであって、今回の放射能は我々は望んでいないものだというのは、まさにその通りだと思います。その放射性物質は目に見えませんので、不安なことはよく分かります。でも、それは今分かっているデータで判断するしかありません。そんな中で、放射能に汚染されていると何度も繰り返されますが、100ベクレル以下は法治国家日本で放射性物質に汚染されていないという基準ですから、放射能に汚染されているものをまき散らすということではないということであります。東京都のゴミを混ぜて焼却した方が、放射性物質濃度が高かったということまで起きているということを、私はデータを基にしっかりと説明しています。

 お気持ちは十分わかります。みんな不安です。でもそれは分かっているデータの中でしっかりとご説明するしかないと思っているところであります。

 環境省大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部 廃棄物対策課 課長補佐

 燃やしますと確かに拡散する恐れがあると懸念される方もいらっしゃると思います。知事がおっしゃったとおり、実際にはフィルターがついておりまして、そこで確実に捕捉されることがわかっています。実際に福島県内の焼却施設で排ガスを測っていますが、灰に濃縮したものが数万ベクレルにいたるようなものでも、排ガスの測定濃度は不検出という結果がでています。

 処分場に、かなり大量に、我々の計算では55万トンほど処分場に入れるという状況でも、その直上で作業する方の被ばく線量は年間1ミリシーベルトに収まる、つまり許容されている放射線量内に収まりますので、これは十分安全に埋立てができると判断しているものであります。作業員が被ばくしないということは、周辺の方はより安全ということであります。

 参加者

 相模原から来ました。最終処分場の埋め立ての問題も本当に心配ばかりで賛成できないんですけれども、私は相模原からきましたので、先ほどのお話にもあったように、焼却の問題で何点か伺いたいと思います。

 一つは、焼却した場合、濃縮されて非常に危険度が高くなると言われました。量は一キロあたりのベクレルは量によって倍加されることも認められた。だとすると安全基準の100ベクレルは嘘ばかりの原発政策で、誰も信用してないわけですよ。実際に、相模原でもどこでも焼却灰がどのくらいの放射能の含有になるのかについて、もっと真剣に検証していただきたい。

 それから、今バグフィルターでとるから大丈夫だと言われましたが、ダイオキシンの問題でいろいろ要求をしたとき、バグフィルターでとれるという話がありましたけれども、放射能というのはガンマ線、ベータ線などありますが、バグフィルターで収集できるということが本当に実験上明らかなら、どこのバグフィルターでどうだったというデータで示していただきたい。バグフィルターでとれるなんて誰も信用しない。そもそも、そんなものでとれるなら、現地でとったらいいじゃないですか。

 先ほどから、国が決めたことなら大丈夫と言われています。この言い方は、結局誰が、今度のことで、子や孫の時代に、いろんなチェルノブイリのような被害が出るのではないかと心配しているんですけれども、そういうことが起きたときに一体誰が責任を取るのか明らかではないのですよ。黒岩知事はいずれ何か危険が現実にでてきたときに、責任を取れるとお考えかどうか伺います。

 参加者

 先ほどから質問されて御意見を述べられた方とまったく同感です。賛成です。ありがたいと思います。私は違う立場で意見を言います。

 黒岩知事が国や県を思う気持ち、今日参集の皆様方も私もみんな同じです。結論から言えば、横須賀に持ち込むのはご勘弁いただきたい。絶対止めていただきたいというのが結論です。なぜかと申しますと、いくつか理由を言います。

 私、武山の近くに住んでいる者ですけれども、幼稚園があり、御存知、市民病院が近くにあり、小学校があり、いろいろあります。そして、近くには御用邸がありまして、両陛下も楽しみの場所にされています。そういうことも忘れてはいけない。

 それと、首都圏の方々は、憩いの場所、楽しみ場所が三浦半島です。三浦半島は房総半島や伊豆半島などに比べとても小さい半島です。もし廃液が流れたら、とたんに三浦半島に汚染が広まります。まわりの海もやられます。せっかくの憩いの場、楽しみの場が関東から消えてしまいます。とても悲しいことだと思います。

 それよりも何よりも、なぜ横須賀にこの焦点をあてたか、ものすごく疑問です。横須賀は、過去から原子力空母や久里浜にウラン関連工場など、放射能に関わる心配はいっぱいしてきました。まだこのような心配をさせるのですか。なぜ横須賀に焦点をあてるのですか。横須賀を苦しめるのですか。やめてください。

 知事

 焼却をすると濃縮されて濃度が高くなるということであります。それは、先ほど申し上げましたとおりです。100ベクレルが基準でありますけれども、焼却した場合、灰になると、16~33倍になる。つまり、1,600から3,300ベクレルになります。国が決めている基準は、8,000ベクレル以下です。ただ、その8,000ベクレルという数字というのに対して、なかなか住民の皆様に理解が得られないのも分かります。下水汚泥の焼却灰の問題があります。これは8,000ベクレル以下という基準で、埋め立てに使って大丈夫だと国が言っていますが、現実問題として受け入れられなくて、野積みにされています。8,000ベクレルという数字がなぜ理解していただけないのかなと思った時に、これが今回の福島第一原発の事故が起きた後に出した基準なので、住民の皆さんは事故が起きてから急に作った数字ではないのかなとの疑念があるのだと思います。ですから、私は今回100ベクレル以下と申し上げたのは、福島第一原発事故前からある数字でということです。100ベクレル以下、焼却前のその数字は放射性物質に汚染されていない。灰になった場合には1,600から3,300以下は汚染されていない。それが法治国家である日本が決めたことなので、それに基づいて県政を運営していくのが我々の義務だと思っています。

 バグフィルターにより完全に放射性物質が除去できるのか、誰も信じてないというコメントがありました。それは先ほど環境省からもお話しをしていただきました。それはそういうデータがあるということですから、我々はそれを信じているということであります。

 責任を取れるのかという問題ですが、これははっきりと国、そして東京電力がその責任を認めています。

 そして横須賀に持ってくるのはやめてくれ、ということですが、横須賀には最終処分場をつくっていただきました。本当に芦名の最終処分場をつくっていただいたことについては、心から私は感謝しており、地元の皆様に本当に敬意を表したい。その横須賀に、放射性物質に汚染されていないがれきを受け入れていただくということは、きちんとしたデータを出し、現地で見た本当の姿を伝えれば、必ずや受け入れてくださると思っている次第です。横須賀の皆さんに精神的な負担をおかけしているというのは心苦しく思っています。これは何とかお願いをしたい。この東日本大震災、大きな大きな国難でありました。東北地方を復興させるために神奈川県としてもできるだけのことをしたいという中では、皆さんとともにその手を携えて支えないとなかなかできない。私は皆さんにぜひお願いして、皆さんとともに東北地方の復興に向けて一緒に頑張りましょうということをお願いし続けるだけであります。

 環境省大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部 廃棄物対策課 課長補佐

 データは公表しています。まず、福島市内、それから福島県内のいくつかの一般廃棄物焼却施設で出てきた灰の濃度とそのときの排ガスの濃度など、全て公開しております。我々のホームページでも出していますし、私からお渡しすることもできます。

 参加者

 芦名から来ました。私はいろいろ詳しくはないですが、このことに関わるお金の流れについての御説明が一切いなかったので、素人にもわかるように詳しくお話を聞かせてください。

 なぜ質問しているかというと、現地では、たくさんの失業者や生保がきれて生活に困窮している方が多くいらっしゃると聞いています。自前処理を申し出ても、陸前高田市では県に一蹴されたと聞いています。自前処理による真の復興についてどれだけの検討がなされたのか素人にもわかるよう詳しくお話しください。

 参加者

 横須賀市で子どもを育てている者です。知事は神奈川県を、きれいな水を観光の売りにしたいと年末におっしゃったと思います。水を売りにできるのは、芦名の下は漁港があるし、水がきれいなところです。芦名の焼却施設は谷になっています。本来は谷にはつくるべきではないというのが本当は考えのようですけれども、なぜかというと、谷は流れているものですから。防水シートというのは、長くても25~50年と聞きました。空間に出る放射能と、水。水というのは後から出てくるものだと思います。子どもが大きくなったとき、安心して暮らせる県であってほしいので、だけれども、被災地の方もがれきを前にして苦しいと思います。知事であるからこそ、全国の知事の方で、国の処理の仕方を違う方向に持っていき、ひいては、東電のほうに国が、言ってもらえるようにするのが政治家だと思うのですがいかがでしょうか。

 先ほどの、東京のC社で111ベクレルという値。別々に燃やしたとしても、空気に出るときは一緒になると思うんです。あとバグフィルターは、故障もあるし、時々燃やすときに爆発しないようベントのようなことをしていると聞きました。そのときはバグフィルターを通さずに外に排出されるわけですよね。それを測っていただけるということなんですけれども、それは信じたいと思います、数値を。ですが、震災からまもなく、茅ヶ崎では空間量を誤った数字で県のホームページに載っていた。それは実はセシウムが28倍という数値であった。それをホームページでは訂正なさっていますが、広く県民に知らせることもなかったと思います。それで信じろというのは私には無理です。

 知事

 お金の流れについて全く説明がないということですね。これは、国と東電がしっかりとこの責任を認めていますので、これに係る一切の費用は国と東電が補償するものと我々は認識しているところであります。

 現地でどのくらい処理するか検討したかということでありますけれども、それは現地の方に来ていただいているので答えていただきたいと思います。

 「水のさと かながわ」という打ち出しをしよう、確かにそのように申し上げています。神奈川は水が豊かで丹沢の水など質が高いものです。水というものを一つのキーワードにしながら水のにぎわい、水に関する食や酒などみんな合わせて神奈川の水というのを核にしていきたいと思っています。その中で、芦名の港が汚染されるのではないか不安であるということでした。ご不安を持たれることはよく分かります。防水シートをしっかり敷いて、常時漏れていないか監視するシステムが出来上がっています。ですから、海にいつの間にか流れていたということはない。その漏れた段階ですぐにわかるようなシステムを我々はつくっています。それのデータはいつでも公表していくということです。

 バグフィルターがあっても、ベントという時には効果がないということですが、環境省にこれはご説明いただきたいと思います。

 ホームページで1回そういうことがあったので県の言うことは何も信用しないとありました。前回のことは反省しないといけないと思っていますが、今回はこのように、しっかりご説明するために、全てデータをオープンにしながらしっかりとご説明しているところであります。ご理解をいただきたいと思います。

 岩手県 環境生活部長

 陸前高田の災害がれき処理についての御質問でございました。

 陸前高田は本県では一番多くのがれきが発生してございます。それだけ被害が大きかったということです。地域の方、市長さんからも一刻も早くがれきを処理してほしいと、再三、要望を受けていました。というのは、陸前高田には焼却施設がありません。作ればいいのですが、最終処分場もありません。ダイオキシン対策や、バグフィルターによるセシウム飛散防止対策を講じた、きちんとした焼却施設を作らないといけませんが、そのためには1年くらいかかります。

 100トン処理するための施設を建設するためには1年くらいかかる。それに対し、すぐ隣には太平洋セメントの大船渡工場があります。焼却灰をださずに1日最大1,000トン処理できます。それが半年待てば動き出すということで、陸前高田市には納得してもらいました。先日陸前高田市長とお会いした際、うちのがれきは他の市町村と比べて早く処理が進んでいる、どうもありがとうと言われました。ご報告させていただきます。

 環境省大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部 廃棄物対策課 課長補佐

 ベントと言われましたが、施設によっていろいろあります。確かに古いものにはバイパスが付いていて、フィルターが危うくなったときにそうすると聞いています。従って、そういうところでは有害性の高いものは焼却しない方がいいですが、最近の施設はそういうものはついておりませんし、バグフィルターで間違いなく外に出さずにやっていきます。

 参加者

 私はむやみに反対する立場ではありません。この機会なので、黒岩知事にお願いしておきたいことがあります。

 まず、今回の件に関して、被災地には2,200万トンのがれきが存在するので、先ほど宮古の方は一刻も早く焼却処理などをしないといけないと。それを何度も繰り返して言われました。これをその延長線上で考えると、がれきといいますが、実際に区分からすると産業廃棄物の類いだと私は考えておりますけれども、それと一般廃棄物が混合したものです。要は、がれきとはいままでの産業廃棄物や一般廃棄物という区分を超越した、消し飛ばすような、そういう量と内容だと思います。従って、それを、国を挙げて処理可能な地域で分担してやるのが、私は、我々国民の義務、あるいは責任だと思います。

 そういう経緯で考えると、黒岩知事が神奈川県でも応分の負担をしようと決心されたことは、私は今までの処理行政上から言えば自然だと思います。と言いますのは、県が管理しているのは産業廃棄物の最終処分場だけなんですよね。県は焼却施設は持っていません。従って、川崎市や相模原、横浜などの政令都市が大きな焼却炉を持っているので、そこで余裕が若干ある分については、要は、がれきの中の木くず等の燃えるものを燃やして、量を減らして、黒岩知事が放射能の心配がない程度までに焼却する。

 心配しているというところで話を止めたら前に進まないから言っているのです。

 知事に対するお願いですが、県と県内の自治体が協働して今の処理ルールを根本的に変えていく良きタイミングじゃないかと私は思うのです。

 横須賀市民の者です。最後に一言言いたいのですが、新しい県内の処理ルール、廃棄物処理の方法として、産業廃棄物と一般廃棄物を一緒にして、燃えるゴミは燃やして、廃棄物は県が管理する。いわゆる最終処分場で全部管理する。今、県外に排出している何万トンにもなる一般廃棄物の処分量を減らす。いわゆる税金の無駄遣いを減らすことにもなろうかと思います。

 参加者

 横須賀市に住んでいる者です。僕の質問は、なぜそこまで広域処理にこだわるのかについてです。というのは、なぜ広域なのか、なぜ神奈川や東京にも手伝ってもらいたいのか、理由として、国の目標の3年間では間に合わないから。県内のみでやると5年かかるからということがありました。なぜ2年オーバーが駄目なのかということがまず1点。

 なぜなのかという理由について、心の復興という言葉に集約されていましたけれども、被災者の目の前から一刻も早くがれきをなくしたいという、心の問題みたいなことを軽んじるつもりは毛頭ありませんけれども、情緒的な理由のみが言われていました。もっと理由があるなら教えてください。

 60万トン手伝ってもらいたいということでした。60万トンというのを435万トンとの関係では、計算したら14パーセント程度なんですけれども、つまり、3年間で86パーセントは県内でできるんですよね。ということは残りの14パーセント程度は、被災者からそんなに目のつかないところで処理すること、つまり3年たった段階でだったら、心の復興問題に引っかからないところまでは十分できるのではないかと考えました。このことについて、回答をお願いします。

 知事

 がれきというのは、産業廃棄物も一般廃棄物も一緒になったものではないか、確かにそういうことがあります。受け入れる場合も産業廃棄物の処分場でやるのも仕方ないというのもあると思います。

 これをきっかけに、国と自治体とで処分のあり方、ルールを考えたらどうかということも、そのとおりだと思います。今回のことを受け、全国知事会でも同じようなことを考えました。東京都の場合はいち早く受入を決めて実際にやっていますが、それ以外はなかなかできない。国で最終処分場を確保すべきだというのを、全国知事会の名前で求めているところです。

 その中で、今、時間というものは、私は非常に大きな軸だと思いました。まさに現場からの声として聞いていただいた方がいいと思いますが、5年かかるのをなぜ3年じゃないと駄目なんだと、2年くらいオーバーするのならいいのではとは、私はやはり言えないなと思いました。いち早く復旧に向かっていくというのを、それに対して同じ日本人として手を差しのべることがあるなら、知恵を絞るべきだと、思っている次第でありまして、決して情緒的にお話しているわけではありません。私はずっとデータを基に話していますし、自分で見てきた実際のことをお話ししています。必ずしも情緒、情緒でお伝えしているつもりはありません。

 岩手県 環境生活部長

 5年と3年の関係でございます。地元の方々は、3年でも遅いという話を今でもしています。ただ、処理能力のことを総合的に考えると、国が示した3年以内のうちに何とか処理したいということで決めた3年でございます。

 60万トンと435万トンとの関係ですが、私の説明が不十分でした。60万トンというのは、435万トンのうち可燃物等が180万トンあり、その3分の1を他の都道府県にお手伝いしていただきたいということでございます。残りは何かというと、コンクリートのがらとか、鉄くずだとか、土砂などです。これについては、復興のための資材として、現地現場で活用させていただくということで、地域内で完結させたいと考えています。

 情緒的というお話しですが、災害廃棄物を片づけないと、そこの土地が使えません。漁港、港湾、運動公園、田んぼなど、いろんなところにがれきがあります。これを一刻も早くどけて、そしてその土地を活用して自分たちの復興をしたいという、切実な物理的な要望がございますし、あとは衛生上の問題です。だんだんに腐敗が進み、ハエや蚊が発生したり、火事が発生するという問題もあります。ご理解いただければと思います。

 参加者

 横浜市の者です。知事が先ほどおっしゃった中に、責任は国と東電が取るとおっしゃいましたけれども、東京電力が責任を取るというのは、イコール原子力災害の廃棄物だということをお認めになっているのではないかなと思います。お配りいただいた資料の方には、100ベクレル以下は放射性廃棄物として取り扱わないとおっしゃっていますが、この話とは非常に矛盾すると思います。その上で、知事というか県にお伺いします。

 私どもここに集まっているのは、ほとんどの方は国の100ベクレル未満は放射性物質じゃないとか、8,000ベクレル以下は埋めて良いんだという従来の原子力行政も含めて非常に懐疑的です。要するに、この基準を信じていません。自治体としても県に期待したいことは、国の基準に住民が心配しているので、県民が安心できる基準を独自にたてていただきたい。これが自治体の役割だと思います。その辺については、県並びに知事の考えはいかがですか。

 知事

 責任は、国、東電にあると言ったじゃないか、これは原子力災害と認めていると言われました。広域で処理しないといけない問題というのは、がれきを受け入れるのをなぜ広域でやるのか。放射性物質に対する不安があるのは間違いありません。それを含めて、国と東京電力の責任だと言っているので、原子力災害と認めたわけではありません。

 数値について国の基準を信じていないと言われました。法治国家では国の決めたルールに従わないといけません。8,000ベクレルという数字に対してなかなかご理解いただけない点については、事故が起きる前の法律に基づいた100ベクレルという数字に基づきやっていく。国の基準に従うもので、県独自で作るつもりはありません。いろんな数字があってご理解いただけないということがありますので、国にはしっかりと国民に説明するように求めているところです。

 前川教授

 国民一人ひとりの年間被ばく線量限度があります。年間1ミリシーベルトです。国のガイドラインによりますと、不燃物等の災害廃棄物でも焼却灰でも、8,000ベクレル/キログラム以下なら埋めてよろしいと言うことになっています。これを埋めた場合、その上で作業している作業者が1年間に浴びる線量は1ミリシーベルト以下であり、ましてそこから離れて住んでおられる住民の皆さんの被ばく線量は1ミリシーベルト以下なので、安全側にたった数字と理解しています。

参加者

 横須賀市秋谷から来ました。黒岩知事が何回かお答えをぼやかした件がありますので、それをお聞きします。

 まず、1キロあたり100ベクレルが安全だとずっとおっしゃっています。1キロあたり100ベクレルということは、総量にするとどれほどのベクレル数になりますか。

 それともう一つ、お金の流れに対してです。国と東電が補償すると認識していると言われました。これもちょっとわかりません。どういうふうに、助成金が県に流れて、どうなるのかお聞きしたい。東京都を真似ておられますが、東京都は最終的には東電の子会社の廃棄場に全部依頼して、途中で1億円天引きして何かやっているようなことをニュースで見ました。その辺がクリアにならないと、我々の税金を使っているので、よろしくお願いします。

 知事

 総量は先ほど申し上げましたとおり、川崎市の受入可能量は年間1万9,000トン、相模原市は年間1万8,400トン、横浜市の受入可能量は検討中です。1キロあたり100ベクレルというと、その数字で考えていただければと思います。

 お金の流れについては、現状においては、国と東電が自分たちの責任と言っているのでそれをお願いしようと思っています。そこまで全部決めたわけではないですが、我々の認識ではそうだということです。

 参加者

 吉田市長にも聞いてほしいです。横須賀は原子力潜水艦、原子力空母、原発のウランの製造工場があります。さらに焼却灰は放射性物質です。放射性物質を扱う施設が4つもここに来ることになります。私は横須賀の長坂の者です。

 あそこの地図にありますように、あそこには最終処分場があり、少し離れたところに非常に広大な廃棄物処理場があります。さらに、この上、ここに持ってきます。先ほど、知事は被災地に忍びないと言われましたが、こういう横須賀の状況、こういう処分場の状況は忍びなくはないのでしょうか。

 そして、市長は態度を鮮明にして、高みの見物を決め込むのではなく、市民と県の間に立って調整するのかあるいは反対するのか賛成するのか、それをきちんとやってほしい。

 参加者

 横須賀市の者です。質問というよりも、岩手県の方が、処分場を作るのに1年かかるとおっしゃっていましたけれども、がれき処分場を1年かかってもお作りなったらどうですか。

 知事にお願いがあります。がれきの受入を表明されたとき、すでにここに埋めるということが頭にあり、その後、説き伏せるように対話を設けられたのではないか。疑念だらけです。私が冷静にいろいろ考えたところによると、東京都知事は今期で終わりなるので、その次の知事でも狙っておられて、そのパフォーマンスなのかな、と。いろいろ考えても、私どもの、神奈川県を考えているわけではなく、横須賀の私たちを考えてるのでもなく、岩手県のことを考えているふりをしながらですね、もっと違う形で国がこんなにスローペースでやっていることを、なんで今頃やっても遅いのです。

 3月頃にあっというまに雪が降ると思っていました。どうして早く仮設住宅を作らないのか、どこの知事も声を上げていませんでした。本当に自分たちのことだけ考えて、今のがれきの状態をさも考えているふりをしています。受け入れてどうこうというよりも、その手順すらも、私たちの声も聞かずに手なんか挙げるんですか。

 黒岩知事、あなたもその近くにお住まいになって、子々孫々にいたるまでどうなっていくのか、やったらいかがですか。私は本当に国の何ベクレルなんて何も信じていません。なぜならば、この状態になって、そういう状態になった経験は何もないんです。それが第一歩だといっているわけだから、私の孫、代々にそういうものが出てくる。うっかりすれば日本国中がすごいことになっていくということをあなたたちは考えているんですか。私は怒り心頭です。黒岩さんなんか知事をお辞めください。

 知事

 横須賀市民の皆さんのことを考えていないと言われましたが、そんなことは全くありません。つまり、何とかして、東日本大震災の現地を救うことをみんなで知恵を絞ってできないかということです。

 そもそもこの問題は、福島第一原発の事故がありましたが、その前から実は最終処分場を芦名で受け入れてくださったことを心から敬意を表したいと何度も申し上げています。

 ごみを今受け入れてくださっている、その同じレベルのゴミだったら、宮古なら持ってこられるだろうと。それで何とかお願いしたいと申しているところです。決して私は先に結論を決めて、それに従えと言っているわけではありません。一生懸命私はデータを基に、現地の状況をしっかりと説明しながら、誠意をもってご説明し続けているところです。それだけはご理解いただきたいと思います。

 参加者

 横須賀の者です。まず、内部被ばくの危険性というか、認識について伺います。焼却にからめての質問です。

 先ほど環境省の方が、焼却したときに全部バグフィルターでとれるというお話でしたが、検出限界値というのがあって、測れないものが微量でも出ているはずです。焼却場からはたくさんの排ガスが出ているんだから、最低でも0.1でも1でも、ベクレル数があればたくさんの大気の中に放射性物質が撒かれることになります。それについてどのようにお考えなのか伺いたいです。

 そして、長坂のほうですけれども、あの処分場は放射性廃棄物を処理できるようなシステムにはなってないと思います。雨水も入って、当然フレコンバックからでてくる水なども浸出していって、それを全部できるのか。もし破れたら、知事はすぐに関知するシステムがあるとおっしゃいました。たくさんの廃棄物を並べたなかで、どうやってそれを修理するのか。まして、ここの計画地は、10年後はどうなるかわかりませんが、最終的には道路にするという計画があります。そういう計画ができたあと、万が一のときにどうやって掘り返すつもりでしょうか。その辺の細かいことについて、きちんと説明をしていただきたいと思います。内部被ばくの恐さ、8,000ベクレルについて、多くの人は認めていません。

 知事

 内部被ばくの可能性は、ご専門の立場から答えていただいた方がいいかもしれません。お願いできますか。

 前川教授

 キログラム当たり8,000ベクレルの話ですが、放射性セシウムを中心とした放射性物質の濃度について言っています。これを埋めた場合にどうなるかという話ですね。放射性セシウムから出てくるものはガンマ線とベータ線ですが、放射性物質を吸い込んだり傷口から入れない限り内部被ばくはおこりません。

 フィルターを通して出てくるものは、圧倒的な流量の大気で希釈されます。というのは、大気、海などの自然は圧倒的に大きいものです。申し上げているのは、バグフィルターを通して漏れてきた検出限界以下の放射性セシウムが例えあっても、大気で希釈されて、人体に影響はないということです。

 知事

 フレコンバックが埋めた後に破れたとき感知するシステムがあるということについて、私はその現場を見ましたが、感知するシステムしっかりできていまして、漏れたらすぐに分かるようになっています。しかし万、万、万が一漏れた場合どうするのか、事務局から答えます。

 環境農政局長

 県の最終処分場の構造でございますが、シートという表現で説明していますが、それについて具体的に説明します。

 一番下が10センチメートルのコンクリートになっておりまして、その上に土、さらにその上にシート、その上に保護土、その上にシート、その上にマット、保護土というように何重にも半永久的に耐えられるような構造にしてございます。

 袋が破れて漏れた場合でございますけれども、仮にそのシートが破れても、感知ができるシステムになっています。道路ができても当然、道路を掘り返して中を補修することになります。

 知事のまとめ

 長い間、ありがとうございました。被災地のがれき受入問題ということで、誠意を尽くしてご説明するしかないと思っています。皆様にご理解いただくまで誠意を尽くして、頑張りたいと思います。今後ともよろしくお願いします。今日はありがとうございました。

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