'12/4/24
中国地方の工場で災害相次ぐ
社員1人が死亡し、周辺住民にも被害が広がった22日の三井化学岩国大竹工場(山口県和木町)の爆発事故。中国地方の大手工場では昨秋から火災や事故が相次ぎ、いずれも地域との信頼関係や事業に大きな影響を与えた。生産現場に強まるコスト削減要請の影響を指摘する声もある。
爆発した三井化学の工場はタイヤの接着剤原料などのプラントだが、同社はペットボトル原料などを含め、工場全体の操業を停止した。復旧の見通しは立っていない。「原因の調査や再発防止策の策定など、先が見えない」としている。
2月7日に5人の作業員が死亡する海底トンネル事故があったJX日鉱日石エネルギー水島製油所(倉敷市)では、トンネル工事はストップしたまま。
工事元請けの鹿島(東京)は「調査終了まで年単位でかかる可能性がある」として影響の大きさを示唆する。新トンネルを使い2013年、水島コンビナート内の企業が石油素材の融通を広げる計画は、遅れが避けられない状況だ。
東ソー南陽事業所(周南市)では昨年11月13日に爆発事故が起き、社員1人が死亡した。塩化ビニール製品の原料となる塩ビモノマーのプラントで発生し、有毒ガスが漏れ、周辺住民は屋内待機を強いられた。
3基ある塩ビモノマープラントは全面停止が続く。5、6月に1基ずつ再開する方針だが、事故があった第2プラントの再開は未定。業績への影響も大きく、12年3月期の決算は、爆発事故による生産減、プラントの停止などで70億円の利益減になると見込んでいる。
【写真説明】会見で事故への対応を説明する三井化学の田中稔一社長(中)(22日、三井化学岩国大竹工場)