札幌市の民家近くに2、3歳と思われるオスのヒグマが一頭出現し、北海道猟友会のハンターが猟銃で駆除した。この様子がテレビのニュースで流れたことがきっかけで、札幌市役所には100件を超える電話が入り、その大半は「なぜ殺した!」という苦情だった。
札幌市役所では、本州に生息するツキノワグマに比べてヒグマは比較にならないほど巨大で凶暴なため駆除してきたが、これからは山に追い返すなど別の対策を検討しなくてはいけない、と頭を抱えている。
駆除されたヒグマは体長が135センチ、体重が120キロほどだった。2012年4月19日、里に降りてきたことが確認され、翌20日の午前6時ごろには民家から約20メートル離れた林の中にいた。人を怖がる様子はなく、このままでは住宅街に進入する心配があると判断し射殺した。この日、近隣の小学校では子供に親が付き添って登校させる姿が目立った。
ヒグマが射殺される様子を20日に複数のニュース番組が放送したところ、直後から札幌市役所の電話が鳴り続けた。環境局みどりの推進課だけでこの日60件近くあり、これまでに100件を超えているという。メディアからの問い合わせを除くと全てが苦情で、
「なんで殺したんだ!」「山に返せばいいだけなのに」
といったものに加え、
「何も悪いことをしていない若いクマなのに・・・」
と電話口で泣く女性もいたという。全ての内容を細かく調べてはいないが、苦情は札幌市内からのものではなかったようだ、とみどりの推進課では話している。
みどりの推進課によれば、ヒグマは大きいものになると体長が3メートル、500キロもあり非常に凶暴だ。小熊であったとしても人を恐れない場合はやがて大きな被害をもたらす可能性があるため射殺してきた、という。しかし、今回のニュース映像がショッキングに受け止められ、苦情が多数寄せられた。これからはすぐに殺したりはせず、山に追い返すにはどうしたらいいのかなどの検討を始めているという。
北海道警察の調べによれば、2011年度の北海道でのヒグマの捕獲数は785頭で、調査を始めた55年度以降3番目に多い数字となった。目撃数は1240頭だった。
里に降りてきたクマの捕獲については、ニュースが流れるたびにネットで論争が起こる。以前は「可愛いから熊を殺さないでほしい」という意見も多かったが、今回の札幌に関しては「やむをえない」がネットでは主流になっている。
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