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政治
【日の蔭りの中で】京都大学教授・佐伯啓思 サンフランシスコ条約60年
2012.4.16 03:13
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しかもわれわれ日本人の大半は、この従属を、やむをえない暫定措置だと思うどころか、自発的に意図し、積極的によしとしたのである。ある人たちは、この従属に「利」がある、とみなした。ある人たちは、この従属を、日本の国際社会への名誉ある復帰とみなすことにした。
そしてあれから60年もたてば、誰もサンフランシスコ条約こそが、戦後日本の矛盾の源泉だなどとは思わない。それは、戦後日本の経済発展の礎石であり、「第2の開国」などといわれたりするように、平和国家日本の世界への船出だとみなされるようになった。
戦後日本には大きな矛盾がある。それは、日本の安全保障上の、あるいは経済上の「利」は、実は、アメリカへの目に見えない従属によってもたらされたのであり、戦後日本の世界における「名誉ある地位」なるものは、「半人前国家」であるがゆえのものだ、ということだ。
端的にいえば、戦後日本の繁栄であり発展であるとされるもの、すなわち日本が得た「利」は、実は、「完全な主権」をいまだに回復していないがゆえに可能だったということになる。そして60年たって、今日、実は戦後日本の繁栄や発展など、どうにも底の浅いものであったことが暴露されてきている。経済成長も平和主義も、どうやら本当にはわれわれの支えにはならなかったことがわかってきた。サンフランシスコ条約は決して過ぎ去った歴史的出来事というわけにはいかないのである。(さえき けいし)
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