鳥の目虫の目:「わくわく」を検証しよう=大島秀利

毎日新聞 2012年04月23日 大阪夕刊

 文科省の副読本は事実に立脚し、公正であるべきで、意見が分かれて決着のつかない事柄は極力、双方の意見を載せるなどの配慮が必要だ。しかし、副読本は、原発の危険を指摘する声がありながら、安全宣伝に肩入れした結果、使えなくなった。

 小学生向け副読本のタイトルは「わくわく原子力ランド」。危険と隣り合わせの原子力を「わくわく」と形容するのは、教育者の感覚か。

 昨年10月には新しい「放射線副読本」が発行されたが、こちらも福島原発事故はほとんど説明がなく、放射線被ばくでは「100ミリシーベルト以下に影響がないかのような印象操作が行われている」(原子力教育を考える会の根岸富男さん)などと批判を受けている。製作委託先が、東京電力など電力会社の経営陣らが役員の日本原子力文化振興財団であり、異様だ。

 学校の先生はまず「チャレンジ! 原子力ワールド」に赤ペンを入れて教育に生かしてほしい。軍国主義が反映された教科書を敗戦後に見直したように。文科省自らもこれまでの副読本を検証して、体質を改善すべきだ。(編集委員)=次回は5月28日

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