仮想敵国をつくり上げ、それに戦いを挑む「維新の志士」を気取ることで高支持率を維持している大阪の橋下市長。次の仮想敵国が決まった。
「関西電力です。昨秋の大阪市長選で前市長の応援に回った関電にはかねて強い敵意を持っていた。もってこいの相手なのです」(地元政界関係者)
舞台は6月下旬に予定されている関西電力の株主総会。橋下市長は19日の記者会見で、大阪市が筆頭株主である関電に対し、「(株主総会の)会場に行くことは必要だ」と発言。自らが乗り込み、原発の全廃などを株主提案する意向を示した。
ただ、提案を可決するには出席議決権の3分の2以上の賛成が必要。大阪市は8%程度しかなく、現実にはハードルが高いのだが、それも計算の上である。
「狙いは提案を可決することではない。自らが総会会場で発言し、メディアの注目を集めること。関電の株主総会に首長自らが乗り込み、直接質問するというのは前代未聞だけに、メディアがこぞって取り上げる。それでいいのです」(地元テレビ関係者)
さらに失点を取り返すチャンスでもあるという。
「大阪市交通局の労働組合を“悪玉”として戦いを演じてきたが、追及の根拠になった組合文書が捏造と判明し、その人気に陰りが出始めている。それを挽回するためにも、新たな仮想敵として関電を選び、脱原発を突きつけることで、ブレまくっている民主党政権にも打撃を与えたいようです」(前出の関係者)
別に関電の肩を持つつもりはないが、こんな食えないヤツに狙われてご愁傷さまというしかない。
(日刊ゲンダイ2012年4月21日掲載)