また京都で、暴走車による死傷事故が発生した。京都府亀岡市篠町篠上北裏の府道で23日午前8時頃、集団登校中の小学生ら約10人の列に軽自動車が突っ込み、市立安詳(あんしょう)小2年の小谷真緒さん(7)と、登校に付き添っていた主婦・松村幸姫(ゆきひ)さん(26)=いずれも亀岡市=が死亡、2人が重体、6人が重軽傷を負った。京都府警は自動車運転過失傷害の疑いで、同市に住む自称無職の18歳少年を現行犯逮捕。少年は無免許で、居眠り運転だった。
今月12日、古都の繁華街・祇園で歩行者7人が死亡した暴走劇から11日。同じ京都の亀岡市で、のどかな通学風景が一瞬にして修羅場と化した。
市立安詳小学校への通学で、道幅約6メートルの府道を集団登校していた約10人の列に後ろから軽自動車が突っ込んだ。ドクターヘリも出動するなど懸命の救助活動が行われたが、小谷さんと、列の最後尾にいた松村さんの死亡が確認された。
松村さんは妊娠7か月。胎児は松村さんが亡くなる前に死亡していた。松村さんを介護した40代女性は「『脚が痛い』と叫んでいた。搬送される順番を待つ間は『頑張ろう』と声を掛けていたが…」と声を震わせた。ほかに1年男児と3年女児の2人が重体。松村さんの長女・蒼愛(そあら)さんら児童6人が重軽傷を負った。
悲劇を招いたのは、無免許運転の18歳少年だった。府警は、無免許と知りながら運転させた道交法違反(無免許運転)ほう助の疑いで、同乗していた京都府南丹市の大学1年生(18)と、亀岡市の専門学校生(18)の2人も逮捕。少年らの話によると、一晩中、車で走っていたという。現場近くの住民によると、少年らは警察が駆けつけるまでの間、負傷者を介護することもなかったという。
少年が運転していた車は子供らをはねた後、道路脇の花壇に突っ込んで停止したが、現場にブレーキ痕はなく、少年からアルコールは検出されなかった。少年は「居眠りをしていた」という趣旨の供述をしている。府警は自動車運転致死傷容疑に切り替えて調べる。
少年の父親によると、少年は約2年前にもバイクの無免許で摘発されていたという。松村さんの夫・晶史さん(28)は声を振り絞り「加害者には死んで償ってもらうしかない」と訴えた。
現場の府道は、通勤時間帯に抜け道として通る車が多く、見通しが悪い上にガードレールもなかった。近所の70代男性は「この道ではここ2年で事故は4件起きている。夜中は80キロくらい出している車もある。いつこんな事故が起こってもおかしくなかった」と話した。