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ここに注目! 『アルコールハラスメントに注意!』2012年04月10日 (火)
山﨑 登 解説委員
《前説》
大学や街に新入生や新入社員の姿が目立つこの時期、急性アルコール中毒で救急車で運ばれる若者が多くなることから、東京消防庁などが注意を呼びかけています。山﨑解説委員です。
なかなかなくならないのですね?
《山﨑》
裁判になった例を紹介します。関西の大学の部活動の春の合宿で、先輩が後輩の男子学生10人余りを並ばせて、4リットル入りの焼酎の回し飲みを指示しました。中の一人がおよそ500ミリリットルを飲み、その後意識を失い、翌日、病院に運ばれ死亡しました。
裁判で3年争われ、去年、和解が成立しましたが、和解勧告の中で裁判所は「部の伝統として、心理的に飲まざるを得ない圧力をかけた飲酒の強要であり、アルコールハラスメントにあたる」としています。
《アナ》アルコールハラスメントというのは聞き慣れない言葉ですね?
《山﨑》
アルコールに関わる嫌がらせや迷惑行為のことをいいます。立証が難しい中、初めて裁判所が認定した事例です。
この時期は、大学の部活動のコンパや花見、それに新入社員を迎えた企業の寮などで、いわゆる“イッキ飲み”が行われることがあります。
《アナ》断ってお酒を飲まないようにすることができないのでしょうか?
《山﨑》
どうも断りにくい雰囲気が作られるようですね。こうした事故で子どもを失った親などで作っている「イッキ飲み防止連絡協議会」が全国の大学生、およそ300人に行ったアンケート調査によると、「アルコールハラスメントにあった」、「場の雰囲気で飲まされたことがある」と答えた人は全体の53%いました。また、そうした状況で飲むのを断れるかと聞いたところ「自分だけが断わって、空気を読めないと思われたくない」などの理由で33%の人が「断れない」と回答しました。
《アナ》お酒を無理に勧めてはいけないということですね?
《山﨑》
まず未成年者はお酒を飲んではいけませんし、勧めてもいけません。そして大事なことは、お酒をゲームのように、場を盛り上げるための道具に使ってはいけないということです。去年は東日本大震災の自粛ムードで少なかったのに対して、今年は急性アルコール中毒の患者が多くなっていることから、東京消防庁などでは、万一意識に障害のあるような人が出た場合は、深刻な被害になるのは吐いたものをのどに詰まらせる場合が多いので、横向きにして、決して独りにしないで、早く救急車を呼んで欲しいと呼びかけています。この春のこれ以上の事故を防いで欲しいと思います。