事件【集団登校に暴走車】「死んで償ってもらう」死亡妊婦の夫+(2/2ページ)(2012.4.24 07:02

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【集団登校に暴走車】
「死んで償ってもらう」死亡妊婦の夫

2012.4.24 07:02 (2/2ページ)交通事故
京都府亀岡市の事故で犠牲になった松村幸姫さんと重傷を負った長女、蒼愛ちゃん。東京ディズニーランドでの思い出… (遺族提供)

京都府亀岡市の事故で犠牲になった松村幸姫さんと重傷を負った長女、蒼愛ちゃん。東京ディズニーランドでの思い出… (遺族提供)

 「頑張って行ってきいや」。23日朝、晶史さんは4月に小学校に入学したばかりの長女、蒼愛(そあら)さんと幸姫さんを見送った。まだ慣れない登校にぐずってしまう蒼愛さん。集団登校の正式な付き添いではなかったが、幸姫さんが途中まで見送る。それが家族の新しい朝の風景だった。

 少したつと、幸姫さんが家に置いていった携帯電話が何度も鳴った。近所の人から「車が突っ込んだ」という連絡だった。慌てて駆け付けた現場で、まだ意識がある幸姫さんは「足が痛い」と何度も訴えた。

 「頑張れ!!」

 晶史さんは、救急車で名前を呼びながら励まし続け、近隣の広場で待機していたドクター・ヘリを見送ったが、妻は搬送先の病院で息を引き取った。白い布に包まれた遺体は23日午後11時半すぎ、車で自宅に運ばれた。無言の帰宅だった。

 幸姫さんは中高生のときはテニス部に所属。3月末まで同府南丹市の歯科医院で働いていた。「マイペースで優しい妹だった」と兄の中江龍生さん(28)。最後に一緒に食事をした先週、生まれてくる3人目の子について話が弾んだ。父の建設業、中江美則さん(48)も3人目を楽しみにする姿を覚えている。「悔しいやろな」と娘を思い、突然の別れに「残念です」と声を震わせた。

 「優しくて、よくやってくれた」とはにかむような表情で幸姫さんを語った晶史さん。「加害者には死んで償ってもらうしかない」。突然逝った妻が着ていた服を腕に抱え、声を振り絞った。

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「京都・児童の列に車突っ込む」 現場に花束を手向け祈る人たち =23日午後10時9分、京都府亀岡市 (竹川禎一郎撮影)

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