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ビッグマック指数からわかる、円高のウソ- 日刊SPA!(2012年4月23日09時00分)

マネーな人々 今週の銭格言

【選者】政治経済学者 植草一秀氏

1ドル=75円台まで進んだ為替レート。円高の行きすぎが製造業の海外流出を招くとの警戒論を生み出した。だが、為替理論は物価上昇率の低い日本の円上昇を当然視する。むしろ、買われすぎていない日本円の再上昇を警戒すべきだ。

◆ビッグマック指数を見れば、米ドル/円レートは行きすぎた円高ではない!

 1ドル=75円台にまで進んだ円高が一服。1ドル=84円台まで下落し、日本経済はひと息ついた形だ。

 こうしたなか、日本の株価は為替変動との連動性を強め、円高が進むと株価が下落し、円安が進むと株価が上昇するといった関係になっている。一方で、米国経済の緩やかな回復傾向が確認されると、米国金利も小幅に上昇した。これに連動して日本円が円安に進み、後追いする形で日経平均株価も上昇したのである。

 円高が進めば、製造業は海外に出ていかざるを得ないため「円高阻止の対応を取ってくれ」との政策要請をすると耳にする。そんな報道が流れるたび、行きすぎた円高が生じているような気分になる。

 だが、現実の為替レートは、内外のインフレ率格差の影響を受ける。お金が持つ「物を買う力」=購買力が一定に保たれるためには、物価上昇率の格差分だけ為替レートが変動する必要があるのだ。

 このような考え方を踏まえた為替レートを算出するのに、非常にわかりやすい指標がある。それがビッグマック指数だ。ビッグマック1個の価格から換算される為替レートを算出するわけだ。

 この指数はイギリスの『エコノミスト』誌が毎年発表している。調査では44か国のビッグマック指数(ビッグマックで換算した為替レート)が発表される。

 ビッグマックの価格は原材料価格、賃金、製造費用、運送費用など、あらゆる要素を含んでおり、一国の全体的な物価を考察するのに好都合な価格なのである。

【後編】に続く⇒http://nikkan-spa.jp/170698

ビッグマック指数に見る今の円安水準が長続きしない理由とは?

【植草一秀氏】

シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ㈱代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。近著に『日本の再生』(青志社刊)

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