柏崎刈羽原発:「なし崩しに危機感」差し止め提訴
毎日新聞 2012年04月23日 22時34分(最終更新 04月23日 22時39分)
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)の再稼働阻止を目指し、新潟地裁に23日午後提訴した原告の一人、渡辺光明さん(59)は同社福島第1原発事故で福島県楢葉町から新潟市西区に避難中だ。「柏崎刈羽の再稼働を許したら、なし崩しに各地で進む。福島事故の再発につながりかねない」。危機感が訴訟に駆り立てた。
同市の嘱託職員として避難者の見守り相談員を務める。古里は立ち入り禁止の警戒区域で、見直しも難航しており「もう帰れないだろう」と覚悟する。
提訴前日の22日、同市西区で避難者の交流会を開いた。参加者は100人以上。だが、日常的な行き来は乏しく、1年を超す避難生活で「仲間同士の絆がどんどん断たれている」。それなのに東電は「謝罪も賠償も全く誠意がない」と憤る。
同じく福島県大熊町から同市西区に避難中の佐藤定利さん(63)も提訴後の記者会見で「私たちのような避難者を二度と出してはならないと思い、原告に加わった」と語った。
提訴に対し東電は「訴状を精査し、適切に対処したい。事故の教訓を踏まえ、柏崎刈羽原発の安全対策をしていきたい」と話した。