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2012年4月23日(月) | 異国美女漂着「うつろ舟」奇談 日立の旧家に新史料
| 日付記載、1カ月後作成か
 【写真説明】日立市内の旧家で見つかった「うつろ舟奇談」の史料の一部 |
江戸時代のミステリー「うつろ舟奇談」を伝える史料が新たに日立市内の旧家で発見された。「うつろ舟奇談」とは、1803(享和3)年に、鹿島地方の浜にUFOのような形の舟「うつろ舟」に乗って美女が漂着したという謎めいた事件。史料は、江戸時代に海岸防御に携わった郷士(ごうし)の子孫の家の倉庫で、天保年間(1830〜44年)の「異国舩(船)渡来御届書」とともに発見された。この奇談を長年研究する田中嘉津夫岐阜大教授は「地元の旧家に伝わってきたことは意義深い。さらに、日付が書かれた文書の発見は初めて」と指摘している。
見つかったのは、縦28・5センチ、横90センチの文書。洋風の服装の女性と箱、UFOを連想させる丼型の舟が描かれ、「△」や「○」など組み合わせた記号のような文字が書いてある。左側の文には常陸国の浜に異国船が流れ着き、引き上げると20歳位の言葉の通じない美女がいたと記載。田中教授は「江戸時代の滝沢馬琴の『兎園(とえん)小説』などとほぼ同じ内容」と話す。
特徴は、文末に「享和三癸亥三月廿四日」(享和3年3月24日)と文書作成日が記載。事件が起きた年月日は「當亥二月廿二日」(当年亥の歳2月22日)とあり、田中教授は「日付が本当なら事件の約1カ月後に書かれた文書。事件のリアルさを感じる」と話す。
田中教授によると、うつろ舟奇談を伝える史料の発見はこれまで約10件。本県では2010年に水戸市内の書画収集家が京都で入手した史料が見つかった。また、今回の史料発見後、田中教授は長野県の古書収集家が所有していた別の史料を発見。絵に関して日立の史料と共通点が多く見られるが、事件現場の地名については従来の史料にある「常陸の国」でなく「房州の湊」と書いてあるという。
うつろ舟奇談は「兎園小説」など江戸時代の出版物に謎の事件として紹介され、事件を伝える瓦版なども見つかっている。ただ、当時の公文書には記録はない。
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