福島第1原発:井戸で地下水くみ上げ 汚染水低減へ
毎日新聞 2012年04月23日 20時53分(最終更新 04月23日 21時18分)
政府と東京電力は23日、福島第1原発の建屋の地下に地下水が流れ込んで放射性物質による汚染水が増えるのを防ぐため、14本の井戸を掘って地下水をくみ上げ、直接海に流す方針を決めた。最大で1日当たり約400立方メートルとみられる地下水の流入を半分程度に減らせるという。
同日の政府・東電の中長期対策会議で報告された。これまでの汚染水の処理量は30万立方メートルを超え、現在も第1原発1〜4号機の原子炉建屋などの地下に約9万8000立方メートルの汚染水がたまっている。1〜3号機の原子炉冷却のため、1日当たり約600立方メートルを注水しているのに対し、地下水の流入は同200〜400立方メートルに達し、汚染水の低減には地下水の流入対策が鍵だった。
計画では、1〜4号機の原子炉建屋から80〜200メートル山側の高台に、井戸(直径30センチ、深さ32メートル)を14本掘り、今年秋から地下水のくみ上げを始める。ただし、試験的に掘った井戸3本のうちの1本の地下水では、ごく微量の放射性物質トリチウムが検出されたため、経済産業省は「海に流す前に地元自治体や漁協に理解を得たい」としている。