“運転再開に緊急性”知事に説明4月23日 18時24分
関西電力大飯原子力発電所の運転再開を巡り、牧野経済産業副大臣は、23日、滋賀県の嘉田知事に続いて京都府の山田知事と会談し、両知事がまとめた原発政策に関する提言を受け、運転再開には緊急性があると伝えました。
これに対して山田知事は、国の説明はまだ十分ではないという認識を示しました。
この中で、牧野経済産業副大臣は、大飯原発の運転を再開する緊急性が本当にあるか証明を求めることなど、京都府の山田知事と滋賀県の嘉田知事がまとめた7つの提言に対して回答し、電力供給の確保のために緊急性があると判断したことなどを説明しました。
これに対して、山田知事は「関西電力に聞いても、まだ需給見通しが分からないから申し上げられないという話をされる。情報の公開と、きちっとした検証が必要だ」と述べ、国の説明はまだ十分ではないという認識を示しました。
さらに、山田知事が安全性の判断にあたって専門家による評価が不十分だなどと指摘したのに対し、牧野副大臣は「十分に理解をいただいていないところもあるので、一度持ち帰って回答させていただきたい」と述べました。
会談のあと、牧野副大臣は記者団に対し「正直言って、完全に理解が得られたとは思っていない。引き続き話し合って一日も早く理解をいただけるようにしていきたい」と述べました。
一方、山田知事は「7つの提言に関して、電力の需給予測を中立的に議論する第三者委員会を立ち上げるなど、きちんと回答する姿勢を示したことには感謝したい」と述べて、一定の評価をする認識を示しました。
そのうえで、山田知事は「まだ1つのステップにしかすぎない感じがする。専門家の中立的な意見がどのように政府の判断に関わっているのかなどがはっきりせず、十分な回答になっていない点や回答がない点があった」と述べ、改めて政府に説明を求める考えを示しました。
また、大飯原発の運転再開について、「われわれの提言に対して、きちんと府民に説明できる回答がもらえるかどうかがいちばん大きい」と述べ、今後の政府の回答内容を精査したいという考えを示しました。
周辺自治体の扱いが焦点
大飯原発の運転再開を目指して、政府は地元福井県への働きかけを強める一方で、滋賀県や京都府の意見をどこまで考慮するのかはいまだに明言を避けていて、周辺自治体の扱いが焦点の1つになっています。
福島第一原発の事故を受けて、原発の防災対策を重点的に整備する範囲が半径30キロに拡大されることから、京都府と滋賀県は政府に対し、大飯原発の運転再開を判断するにあたって、立地自治体だけでなく30キロ圏内にある周辺自治体の意見も聞くよう求めています。
これに対して、枝野経済産業大臣は今月20日の記者会見で、「7つの提言について重く受け止める」と述べた一方で、周辺自治体の意見は大飯原発の運転再開の前提条件には必ずしもならないという認識を示しました。
また、福井県の西川知事は、原発の運転再開は立地自治体が判断するべきだとする見解を示しています。
福島第一原発の事故をきっかけに、全国で周辺自治体の原発への関心が高まるなかで、今後、政府が滋賀県や京都府などの周辺自治体の意見をどこまで考慮するのかが、今後の焦点の1つになっています。
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