2011年4月16日12時17分
東日本大震災で被災した福島第一原発。2号機でたまった高濃度の放射能汚染水を抜く作業に手間取っている。16日朝には水を抜く前よりも増えていることが確認された。原子炉への注水による汚染水が流入し続けている可能性もある。
2号機の坑道には高濃度の汚染水が推計6千トンたまっている。このうち660トンが12日から13日にかけて、タービン建屋の復水器に移された。
移す前に坑道から地上に通じるたて坑の入り口からの水位は上から91センチのところにあった。水位は坑道の汚染水をくみ上げている最中に、いったん99センチまで8センチ下がったが、くみ上げを止めると上昇を始め、16日午前7時には88.5センチになってしまった。当初より汚染水が増えたことになる。
一方、2号機のタービン建屋地下にも推計2万トンの汚染水がある。この水位はたて坑の水位の上昇に連動するように、5センチ下がった。坑道の水とタービン建屋の水はつながっていることが証明された形だ。
東電は坑道とタービン建屋地下の双方の汚染水の水面の高さについて「だいたい平衡状態」とみていた。ポンプで坑道の水が減ったため、タービン建屋側から坑道にゆっくりと水が流れ込み、再び釣り合おうとするとみているという。
ただしタービン建屋でも16日朝、ふたたび水位が5センチ上昇。結局、元に戻ってしまった。
たて坑の水位は、測り始めた3月29日から4月7日まで入り口から104センチだったが、次第に水位は上昇していた。坑道に通じる作業用の穴(ピット)に生じた亀裂から、海への高濃度の汚染水の流出を止めたのが6日。この汚染水が行き場を失い、たて坑の水位を上げたとみられていた。
今後、さらに水位の上昇が続けば、タービン建屋や坑道に、原子炉に注水して高濃度に汚染された水などが、何らかのルートで流入し続けていることになる。
汚染水のもう一つの回収先となる集中廃棄物処理施設(容量3万トン)では点検や準備工事が進められており、水の移送にはさらに数日かかる見通し。2号機の復水器の容量は3千トンあるが、今回の汚染水の移送でほぼ満杯になったという。(佐々木英輔)
福島第一原発の破綻を背景に、政府、官僚、東京電力、そして住民それぞれに迫った、記者たちの真実のリポート