勉強法についてのキーポイントは、とにかく先ずはリスニング力を鍛えること、そのためには余計な教材や楽な教材に走らず、耳にとって辛い過去問形式の教材の音声を聞き込み、英語で耳をいじめることだと述べました。要は問題と同程度の速度・ノリの話し言葉の英語を徹底的に聞き込んで、聞き漏らしがちな単語の固まりのパターンを耳に覚えさせてしまう事で情報の処理速度を上げること。その結果としてリーディングの処理速度も上がり、リスニングの点数上昇に引っ張られるかたちでリーディングも点数が上がるという好循環に入ります。リスニング攻略による情報処理速度の向上が短期間での700点という一つの壁を突破する一番の近道です。
今回はその後、第二回本試験から最後に私の目標点数、750点を突破し800点を取得した第三回本試験までの勉強法についてまとめたいと思います。
・一ヶ月?
ここでタイトルを見ておかしいなと気付く方がいらっしゃるかもしれません。
私は5,6,7月の三ヶ月連続のTOEIC本試験受験をしたんだから、第一回の本試験からその後ひと月で800点を取得したというのなら、第二回の六月で800点を取得していなければつじつまが合わないではないか、ということです。
はい。その通りです。しかしこれを読んでくれているあなたを私はだまそうとしたり誇張したりしようとしている訳ではありません。第一回の5月の本試験のあと第二回の6月の本試験までの間、私は英語の勉強を徹底的にサボってしまったのです。具体的にどうサボったのか、そしてその結果がどうであったのかから説明したいと思います。
・第一回本試験終了直後
前回の記事でも説明した通り、五月末の第一回公式テストを受けた直後の私は非常に好感触を得ていました。直前の過去問形式の問題演習ではリスニングリーディング合わせて750点前後取れたときもあったのですから、これまでの公式テスト最高得点550点を大きく上回る公式スコアとなることは明白でしたし、試験を受けた後の感触も抜群でした。「これはひょっとすると既に750点を上回ってしまったかもしれない。」こう考えるのは当然です。
また、私は英語が決してとびきり苦手と言うわけではありませんでしたが、前回記事での表現の節々からも分かるとおり、別に好きで勉強していたわけでもありませんでした。とりあえずの目標、一応英語が人並み以上程度には出来るという目安、大嫌いな知り合いの得点を超える750点を取れれば、それ以上こんな面白くもないテスト二度と受けたくないと、常に思いながら勉強していた訳です。
そんな私が第一回の本試験を受け終わって出した暫定的な結論は一つ。
「とりあえずネットで点数の結果が出るまでは英語はお休みしよう!」
というものでした。向上心の欠片もありませんね。まぁ、サークルやバイトや英語を優先したがために溜まっていた授業の復習などで忙しかったからというのも理由にありましたが、この時期私は「徹底的に英語から離れ」ました。
それまで毎日移動中に聞いていたリスニング問題の音声は試験の終わったその帰りからいつもの音楽に変わり、家でテキストを開く事なんて皆無。とことん英語から離れました。そして試験から二週間後、第一回本試験の結果は前回お伝えした通り、
720点
というものでした。惜しい。非常に惜しい。まだ英語を勉強しなければいけないのか。くうぅ。(ちなみにこの時点で既に第三回の7月の試験の申し込みも恐らく既に終えていたのですが、仮に第一回の試験で 750点を超えていたならもう試験を受けるのもやめようと考えていました。全く腐っていますね)
そんなこんなでまぁそれでも普通なら、「せっかくたったの三週間で170点も得点が伸ばせたのだから、もっと欲を出して第二回は高得点を取ろう!英語の勉強って分かると楽しい!」なんて風になるのかもしれませんが、私の場合は違いました。「こんなに点数を伸ばせた俺って天才じゃないか。やり方は間違ってないし、きっとあと30点ぐらい適当にやってりゃ伸びるっしょ!てゆーか過去問でも750点たまに越えてたし、本試験の点数は50点ぐらいプラスマイナスのゆらぎがあるらしいから、実力が750点以上あるであろう俺なら次の6月の本試験でまぁ軽く760点ぐらい取れるっしょ!」
と、英語から離れる方向離れる方向へと言い訳を重ねていったのです、、。
・第二回試験までの勉強(?)内容
とまぁ捕らぬ狸の何とやら感が全開だった第一回点数公表から第二回までの約3〜4週間ほどは、第一回の
試験前に比べるとかなりお粗末なものとなりました。一応それまでの様に移動中に過去問形式のリスニング音声を聞く事は再開したのですが、毎日と言うわけでもなく気が向いた時にチョロチョロ聞く程度でした。また、リーディングの点数をもう少し伸ばしたいと一応思うには思ったわけで、では何を読もうかと思案していた時に「scanlation」というロクでもない単語に出会ってしまい、これをダラダラと読みふけるだけでリーディングの勉強をしているつもりになっていました。
そんなこんなで、あっと言う間に第二回、6月末の公式テストの日が訪れました。意識もモチベーションも低い時期というのはダラダラと本当に一瞬で過ぎて行くものです。。
・第二回公式スコア
はい。やはりとことんサボっただけあって何も進歩しませんでした。リスニングの教材をちょろちょろ聞いていた効果か知りませんがリスニングに関しては点数が少し伸びましたが、サボった分だけリーディングがガクっと落ちています。辛うじて点数が同じ水準にキープされたのが救いでしょうか。そしてここであることがはっきりした訳です。「私は本試験で750点を取るレベルの英語力には決して達していなかった」ということが。。
・ここまでを振り返って
三ヶ月で三回連続受験で750点突破という戦いも残すところ本試験はあと一回。さすがに第二回の本試験が終わった直後は、「少しサボりすぎた」という思いが頭の中を駈け巡っていました。この時点で上記の結果はわかっていませんでしたが、720点を取得した前回と全く感触は変わっていない事は明白。むしろ少しミスったか?等という思いが頭をよぎります。インターネット公表の結果が出てから勉強していては最後の七月末の試験に間に合わないかもしれない(そして第三回試験の直前は大学の期末テスト直前の期間でもあるのです)。
もう四の五の言ってないですぐに勉強を始めようと再び心を入れ替えます。残された期間はちょうど一ヶ月。さぁどうするか。まずは現状分析です。まず、第一回第二回のテストで、本試験を解いている最中に歯がゆく感じていた点を洗い出します。
・リスニングのパート3,4をもっと聞き取れる様になりたい
第一回試験直前のトレーニングの甲斐あって、550点スコアの当時に比べると格段に話の内容は掴める様になっていたのですが、問題の答えなんかを考えながら聞いているとごっそり話の後半部分が抜け落ちてしまったりしていました。また、難解な内容になるとまだまだまるまる一問勘で回答するということも未だにありました。これを無くしたい。さてどうするべきか。
これは、本試験よりもより難しい話の内容や展開、スピードに慣れておくしかない。そんな教材でこれまでと同じトレーニングをしよう。という作戦でいくことにしました。本屋で色々探していたところ見つけた教材がこれ。
困ったときのZ会頼りです。大学受験時にも速読英単語のおかげで長文読解の力が随分つきました。この教材はタイトルを見ての通り、part3、4の練習に特化しており、選んだ点はこの一点だったのですが、この教材にはもう一つの
特徴がありました。それは、
めっぽう難しい
と言うこと。
本試験や公式問題集、他のこれまでにやってきた過去問形式の問題集なんて比じゃありません。
具体的に何が難しいって、まず話題が飛びまくる。全然話の先が読めない話題ばかりが出てきます。そして訛りも激しい。TOEICってアメリカ英語だけじゃなくて、イギリス・カナダ・オーストラリアなんかのイントネーションや訛りでリスニング問題が話されるんですけど、私は特にオーストラリア訛りが凄く苦手でした。この教材は私の大嫌いなオーストラリア英語を本番よりも激しい訛りでジャンジャン喋ってくれるので、とても耳に苦しく、いいトレーニングになりました。
また、パート3,4って答えの選択肢を読んで、あるいは読みながら問題を聞いて答えを導くんですが、このテキストの選択肢は本試験などの様に各文の単語を一つずつ変えただけ、といった類のものでなく、一文一文全く意味内容の異なった四択など結構難解なものが多く、目にも辛いものがほとんどです。つまり、難しい英語を聞きながら情報の交錯したややこしい文章を読み、答えを導く、という非常に頭の疲れるトレーニングが出来るのです。これは本試験の非常にいい練習になりますし、リーディングの練習にもなるので一石二鳥です。総じて、このテキストは中級以上の方が効率的にトレーニングするのに非常に効果的です。
私は最後の三回目の本試験まで、このテキストをリスニング対策の一番の教材として聞き込みました。
・リーディングを時間内に解き終わらせたい
これまでの試験では、それまでと比較して調子の良かった5,6月の試験ですらまだリーディングの試験を時間内に完全に解き終えられた事はありませんでした。後半の読解問題の正答率が上がっていたのでスコアとしては上がっていたのですが、途中の穴埋め形式の文法問題に時間を掛けすぎていたのです。それまでに二回連続で受けた感触としては、文法問題周辺は見た瞬間に答えが分かるレベルでサクサクやっていかないといけないなということは何となく分かっていました。(時間をより後半の問題に残すことで読解問題の正答率も上がります)
そこで私が文法問題のために選んだテキストがこちら。
1日1分レッスン!TOEIC Test パワーアップ編 (祥伝社黄金文庫)
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中村 澄子
祥伝社
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有名な中村澄子さんの本です。この本、薄いんですが中身は濃く、過去問や本試験で出る文法問題の急所をズバズバ突いてきます。実際にほぼ全く同じと言っても過言ではない問題も出てくるので、「文法問題の形式に慣れて解ける問題の取捨選択を早くする」というのにかなり役立ちます。正直文法問題は膨大な知識問題ですので、ここを得点源にすることはなかなか難しいのですが、解けない問題にうんうん唸って時間を割くという最悪のパターンを避けるためにある程度慣れておく、という事が必要になってきます。その、慣れ、を短時間で手っ取り早く得るには最適のテキストかと思います。私は文庫本のような感覚で三周ほど回しました。時間的にはそんなに掛からないので、忙しい方でも一周程度さっと目を通しておくと効果的かと思います。
・時間を掛ければ解ける読解問題を確実に取る
結局最終的にはここに行き着きます。リスニングで身につけた英語の情報処理能力をリーディングで存分に発揮するトレーニングです。これには、もう実際に問題をやりこむのみです。
TOEICテスト新公式問題集〈Vol.4〉
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Educational Testing Service
国際ビジネスコミュニケーション協会
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スコア900へのTOEICテスト パーフェクトリーディング
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甲斐 幸治
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TOEICテスト 完全攻略リーディング 10回模試 解説付き
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LORI
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読解問題だけでなく文法問題も出来るだけ取れるようになるために、本番と同じ時間を計って問題演習形式で過去問(形式のテキスト)をやりこみました。
リーディング専用の問題集なんかを使ってもいいと思いますし、リスニング付きのものを上記Z会の教材と併用して行ってもいいと思います。私の場合、やはり急激に文法問題の正答率を上げる事は出来なかったため、時間通りに解いて読解問題の正答率を八割五分から九割に乗せること、を目標に問題演習を続けました。結果的に言うと、読解問題というのはやはり情報処理能力のトレーニングですので、正答率も問題を解くスピードも鍛えれば鍛えるほど上げることが出来ます。また自分の弱点も客観的に絞りやすいので、収録回数の多い教材を選んでどんどんやるべきかと思います(問題収録回数多い教材を最初から選ぶ方が結果的に複数冊買うよりも安い)。
リーディングの問題演習をするときの注意点ですが、公式でない問題集を用いて、実際に目標点を設定して問題演習をしていると、どうしても解けない悪問というものに減点を食らい、イライラしてモチベーションを下げられるときがあるという事です。これはもうセンター試験の現代文の様なものなので、割り切るしかないです。問題演習を目的意識を持って続けることが大事ですので、日本語の解答を見ても、なぜ自分が間違ったのか分からないような問題は、題意が取れていれば解けていたものとしてどんどん次へ進みましょう。わき道へそれないことが大事です。最終的に私は過去問形式の問題集をこの方法で、3冊程度こなしました。
・本番
いよいよ最後の本試験、七月末の試験です。受験中の感触としては、非常に良かったのを覚えています。
難しい目のリスニング問題で鍛えただけあってpart3,4の問題も「本試験ってこんなに簡単だったかな?」と思わせるほどにスラスラ解けましたし、リーディングも時間を五分のこして問題の見直しが出来るという快挙。まぁ文法の知識問題はやはり分からないものは分からないまま残っていたのですが、結果的には自身が設定していた上記の得点したいところを得点するという目標は達成できたと言う感触でした。恐らく目標の750点も越えただろうと言う強気の感触をもって、TOEICの勉強に一応の終止符を打ちました。あとは結果を待つだけです。
・最終スコア
800点という点数には正直自分でも驚きました。
800点という点数は今まで意識もしたことが無く、英語がとんでもなくできる人か帰国子女なんかが取る点数だと思っていたのでこんな簡単に得点してしまっていいのだろうかという感じもしました。結果的にリスニングの点数が、この三回を通じて伸び続けたのが印象的です。徹底的な問題文の聞き込みはやはり着実にスコアアップに効くのです。
・まとめ
偉そうに書き綴ってきましたが、短期間でTOEIC750点オーバーというのは決して他の試験等と比較して難しいものではないです。所詮は情報処理速度を問われるテストでしかありません。それを念頭に置いて、過去問というものを中心に据えて、わき道に反れず頭を問題形式の英語に慣れさせていくだけです。
今回私はスケジュール的に恵まれていたため三回連続受験という計画を決行できましたが、連続で受けていると本番での自分の苦手なところや歯がゆいところが手に取るように分かり、客観的にどこを補強したらいいか、等の戦略も立てやすかった気がします。敵を知り己を知ればなんとやら。私の記事をここまで読んでいただいた方なら分かると思いますが、各ステップで私は結構客観的に自分は何が出来なくて何は出来ているのか、というのを常に意識してその時やるべき勉強を決めて居ました。結果的に時間対効果の低い文法問題は、分かる問題だけ取る方向へと舵を切りその分得点しやすい読解問題で得点を重ねる事が出来ました。短時間の勉強で効果を出すには、戦略が一番重要です。
常に自分が何が出来ないか、それを攻略する方法はないか、と考えながら進むことがTOEICテストでは一番大事ではないかと私は思います。私の様に間におサボりの空白期間を挟んでもひと月と三週間で250点も上げられるテストなんですから、この長い記事を最後まで読んでくれた貴方ほどの集中力があれば、もっと短期間で高スコアもきっと取れると思います。(ちなみに私は決して頭のいい方ではありません)
たかが英語ごときにムキになるのではなく、FPSをクリアする為に練習している様なものだと思って気楽に頑張ってください。
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