かく言う私も短期間でおおよそガリ勉とは 呼べない勉強量で大幅に点数アップに成功 した一人だったりするので忘れないうちに 書き記しておこうかと思います。
1.当初の英語力
当方大学生。センター試験の英語の点数は 8割足らずあたり。まともに大学受験勉強 した人からすると平均値といったところですかね。当然海外経験など皆無。中高&受験勉強で英語をかじったのみと言う至ってノーマルなスペック。
大学入学後すぐに学内でTOEIC IPなるテストを受けさせられ、500点という可もなく不可もない微妙な点数を取得。その後ダラダラと勉強したりしなかったりで公式テストを自主的に2,3回受けたりするも、約一年間最高 550点前後をフラフラとさまよい続ける。
2.動機
このままじゃただドブに金を捨ててるだけ。もうTOEICなんて受けるの止めようか、とも思った。でも結構負けず嫌いな性格。そのとき同じ学科の知り合いで700点ぐらいの知り合いが居たんだけどなんか性格が気に入らない。タカが英語とは言え、あいつに一つでも負けてるってのが気に入らない。ここまで数回受けてきたのにここで諦めるのも勿体なくね?、、等々、不純な動機でなんとなく勢いづき、大学2年の5月初旬から心を心を入れ替え、少しだけ真面目に勉強開始。
3.目標設定
帰国子女なんかを除けば身近で一番スコアの高かった、嫌いな知り合いを越えるというのが精神衛生的に大事なんだと気付いた。そこでとりあえず目標点数を750点に設定。まぁこれぐらいあれば就活なんかでも便利でしょうなんて言う凄く不真面目で舐めた目標設定でした。
4.独学
とりあえずそんな動機&目標なので当然ラクして高得点を取りたいと考える。てゆーか大学の単位も取らなくちゃいけないしバイトもサークルもある。友達と遊ぶ時間だって欲しい。時間を掛けてガリ勉で目標を達成するほどに志は高くないけど、公式テストずっと500点台で帰国子女なんかに「フッ」なんて顔されるのもウザい。というわけで、できる だけ短時間の勉強時間で750点以上に到達できるいい方法はないかと考え始める。
そして短期間合格→やはり何か自分以外のペースメーカーを得るべきかという思考回路に。通っていた大学では「TOEIC何点目標講座」みたいなのが開講されていたけど、金が勿体無いし 半年開講とかそんなタラタラしたペースだったのでパス。結果は早めに欲しいのだ。時間的制約も多かったので独学を決意。
そして、これまでに約一年間ダラダラ期間の定めもなく受けてきたペースも嫌だったので、テストへの慣れを維持する意味でも既に申し込んでいた五月末から続けて、六月末、七 月末と三ヶ月連続で公式テストを受けることにしました。
5.現状把握
しかし、これまでまがいなりにも勉強して きてるのに点数が横這いなので、どんな教材で何から手を付けていけば点数アップに繋がるのかがイマイチ良くわからない。
ちなみにこの時点での最高得点550点の点数の内訳は、リーディング305点、リスニング245点とかそんなもん。単語や文法が致命的にわからないと言うわけでは無いけれど、頭の中での処理が追い付かない。大学受験英語みたいにゆっくり読んだり聞いたりさせてくれればきっと十分に意味は分かるんだろうけど、本試験では、リスニングは単語を少しずつ拾うので精一杯だし、リーディングも読む量が多すぎて全然時間通りに終わらない 。つまりCPUが英語の処理についていってないという状態でした。ちなみに初めてIPテスト受けた時の大学の周りの友達の感想も同じようなものでした。同じようなイメージをTOEICに抱いている大学生は多いのではないでしょうか。
6.作戦
それまで受けた数回の公式テストでは、とにかく語彙力や文法を中心に勉強していたのですが、全く効果が上がっていないのは明白。リスニングに関しては巷で良く耳にするpodcast(ESL podcastとか)なんかで耳を慣らす練習なんかもしてたけど、点数が上がってない=全く意味無しと判断。 とにかく本試験に太刀打ち出来るスピードで頭に英語の処理をさせるのに慣れなければなりません。そこで、点数の低く苦手意識の強かったリスニングからまずは強化することに。
とりあえず、教材として名前の聞いたことのあった、DUO3.0と復習用CDを購入。全トラックipodに入れて持ち歩く。通学時間が片道一時間半あったので、それまで音楽を聞くのに使っていた移動時間を全て利用。流れてくる英文の意味を文章で確認した上で、耳だけで単語を全て聞き取れる様になるまで、往復路ひたすらこれを聞き続けました。
7.DUOの成果...
そんなこんなで一週間半ぐらいが過ぎ、 DUOは全然終わっていませんでしたが少し腕試しをしてみようかと市販の試験形式のテキストを購入。たまたま生協にあった旺文社のものでした。リスニングセクションだけに絞って一度解いてみたのですが、正当率は五割少々と余り成果が表れていない、、。解いている感触として、DUOの甲斐あって語彙力は多少なりとも上がっている様で、part1は聞き取れる率が上がっているんだけど、part2,3,4は相変わらず早すぎて意味不明。特に会話の長いpart3,4は ボロボロ。うーん。。
8.方向転換
で、ここで気づいたのですが、リスニング対策にはこの様な試験形式の問題を聞き込むのが一番効果的なのではないかと。なぜかって、podcastやDUOやその他の基礎力を上げる様な教材に比べて、本試験形式のリスニングの文章は色々考えながら聞くので、耳が一番「辛い」と感じるものだったからです。 part3,4の長文なんて話題は移っていくし長いし本当に辛い。これをリアルタイムで処理しながら聞き取れる様になれば怖いモノ無しだなと。
そこでここからは上記旺文社の問題集のCDを使って猛特訓に。これまたipodに突っ込み、通学中など机が無い環境ではpart2を、図書館や家ではpart3,4の長文リスニングをやり込む事にしました。 これはなぜかと言うと、part2に関しては、一度聞いて何と 言っているかわからなくても、繰り返し繰 り返し同じ問題を何回も聞けばテキストや 答えが無くても正答が見えてくる事に気付いたためです。移動中に聞いていたDUOをやめ、全てpart2の聞き込みに割きました。 そしてpart3,4に関しては、ちゃんと机に座った上で、まず一つの問題文を聞く、続けて、聞き取れなかったところに集中してもう一度聞く、 更に聞き取れなかったところ、、、と何度 も同じトラックをそれこそ発狂寸前になる まで何十回でも再生し、それでも聞き取れない部分は回答を見てチェック、という形で徹底的に耳に辛い思いをさせました(実際に、あまりのイライラに怒り狂ってテキストを投げ付けた事が何度もありましたw)。
9.気付いたこと
自分の聞き取れないところ、弱点を徹底的にあぶり出す、というこのやり方をしていて気づいた事がいくつかあります。まず、聞き取れない部分というのは、決して音節の多い難しい単語ではなく、簡単な単語の組み合わせである事が圧倒的に多いと言うこと。具体的に言うと、‘that you'll see' “behind the' などの、
本当に簡単な単語の固まりが、話し言葉で聞いていると消える事が多々あるのです。難しい単語はむしろ、話し手が文中で強調したい名詞や動詞であることが多く、仮に意味はわからなくても聞き取れているので推測が効き、問題を解くレベルには処理出来ているんです。
二つ目は、これが非常に大事なのですが、奴ら(英語を喋る人種)と言うのは、我々が思っている以上に単語一つ一つをきちんと喋ろうとしていないと言うこと。TOEICのテストで出てくる文章なんて、八割方、仕事場なんかでのある程度フォーマルな会話やスピーチが殆どです。 我々日本人はきちんとした場で話すときは、単語一つ一つ語尾に至るまで噛まない様に気を付けて丁寧に発音します。しかし奴らは違います。明らかに一つ一つの単語の「発音の明瞭さ」よりも「リズム」を重視して発音しています。特に、聞き込みを始めた初期に文中で聞き取るのに苦労したのは、“in front of'' という単語の固まりでした。どんな文章でも奴ら「IN FRONT OF」なんて我々が真面目に中学生の頃習った発音なんてしてません。
分かりやすくする為に日本語で表記すると、良くて「インフロンノ」、大体が「ィフォー ノ」って感じで発音します。聞き取れない身からすると、「え?in fort?effort?」って感じです。フォーマルな話し言葉でこんな略し方をするんですよ、奴ら。この現象を我々の日本語で再現するとすれば、アナウンサーなんかが 「橋本さんの家に寄っておいて下さいお願いします」というフレーズを、「はしもっさんち寄っとってかーさいおなしゃぁっす」なんて話し言葉全開の発音で、カメラの前で平気な顔をして話している様なものです。少し例えがラディカル過ぎるかもしれませんが、奴らの使う英語って言葉ってのは、きちんとした文字の発音よりもリズムを重視するDQN言葉みたいなモンです。何度も言いますが例えそれがフォーマルな場であったとしてもです。そういう風に出来た、それで成り立つ言語なんだって事です。
この様に、簡単な単語の組み合わせが、 話し言葉独特の発音・略し方によって発音される為に、我々が習った「文字にした英語」とネイティブの「話す英語」の ギャップを大きくするのです。だから、耳で聞いた音を意味不明なものとして我々の頭は処理してCPUが固まるんです。
では、どうすれば聞き取れる様に、聞こえた音が意味のある単語の固まりとして頭が処理してくれるのか?これは、例えば、ある程度日本語の読み書きの出来る外人が、逆に我々の日本語のDQN言葉を理解するようになるにはどうしたら良いかって考えれば簡単です。
「こんちわっス。二組のまつもっさんユウ先輩に昨日殴られたんで死んじまう死んじまうっつってあの後うっさかったんスよ。おっコレ何スか?俺にっスか?いいんスか?!あざっす!!」
この話し言葉を、ある程度語彙力はあるがきちんとした日本語しかわからない外国人がきちんと理解しようとするなら、
「こんちわっス」→「こんにちはです」、
「まつもっさん」→「まつもとさん」、
「殴られたんで」→「殴られたの(件)で」、
「死んじまう」→「死んでしまう」、
「っつって」→「と言って」、
「うっさかったんスよ」→「うるさかったんですよ」、
「何スか」→「何ですか」、
「俺にっスか」→「俺にですか」、
「いいんスか」→「いいんですか」、
「あざっす」→「ありがとうございます」
という正しい単語への変換処理が頭の中で聞きながら瞬時に行われる必要があります。そうすれば、
「こんにちはです。二組の松本さん昨日ユウ先輩に殴られたので死んでしまう死んでしまうってあの後うるさかったんですよ。おっ、これ何ですか?俺にですか?いいんですか?!ありがとうございます!!」
という意味の文章が頭の中で自然に作られるので、この文がある程度何を意味しているのかという事が理解出来る訳です。
では、この様な砕けた発音の話し言葉のまとまりが、自分の知っている単語のまとまりだと瞬間的に分かる様になる為にはどうすればいいのか?答えは、覚えてしまうことです。もっと簡単に言えば、慣れてしまえばいいんです。上の日本語の例文のDQN言葉の例えでも分かる通り、発音が話しやすい様に略されるパターンというのはある程度規則性があります。英語だって人間の口から話される言語である以上、略しやすい発音のパターンは存在し、その数も無限にある訳ではなく、ある程度限られてきます。会話でよく使われる基礎的な単語の集まりでのパターンとなれば聞き込んでいる間に頭が勝手に覚えて、勝手に処理してくれる様になります。
10.急成長
少し長くなってしまいましたが、なぜこの様な英語の発音の法則性に急に気付いたかと言うと、上記の過去問のリスニングの聞き込みを徹底的にやっていると、わずか一週間ほどで突然聞き取りの精度が上がってきたのです。それまでの聞こえ方とは異なり、文章が単語のまとまり、まとまりで区切って聞こえる様になりました。そして一つ一つのまとまりの意味が手に取る様にわかるんです。そして、英文の意味がわかる、という事の意味が以前とは変わりました。英文を聞いて途中で日本語に訳すというプロセスを挟まなくても、
その文が何を指しているのか理解出来る様になったのです。当然リスニングのスピードにもある程度対応出来る様になってきました。
本試験形式の速いスピードで流れていく長い会話文、長文を使って、聞き漏らしが0になるまで、頭が痛くなるほどの徹底的な聞き込みを模試一回分全て行い続けた事で、わずか数日でリスニングセクションの正答率が五割強から七割強まで大幅に上がりました。これは本試験で言えば100点分の大幅な成長です。
11.リーディングへの影響
そして、このリスニングの急成長は知らない間にリーディングスキルをも大幅に引き上げていました。前述の日本語を挟んで文の意味を理解するというプロセスの除去が、リーディングにおいても出来る様になっていたのです。つまりどういうことかと言うと、文章を読んだ後意味を理解する速度が飛躍的に上がっていたのです。これまでリスニングばかりやっていたのでリーディングを試しに時間を計って本番と同じ形式で解いてみると、いきなり七割五分を超える正答率を叩き出しました。単純な正答率の上昇よりも、聞くことと読むことに関して、英語という敵の姿が少し見えた気がしたのが印象的でした。
12.第一回本試験
ちなみにこの時点で既に第一回本試験数日前という時期に来ていました。五月の後半ですね。DUOの聞き込みをしていた期間が1.5週間ほど、そこから一週間ちょっとほど本番模試形式の過去問でリスニング特訓をしていました。ここまで結構ハードに勉強していた様な書き方をしていますが、決して勉強時間は長い方では無かったと思います。DUOは大学への往復で聞いていたのが殆どで、家では気が向いた時に30分ほどやる程度でしたし、リスニングセクションの聞き込みも通学時に聞いていたpart2は別にして、テキストを置いてじっくり聞き込む作業は毎日やっていたわけではありません。一度やりだすと頭がヒート(イライラ)してきて3〜4時間ずっとやり続けるなんて日もありましたが、次の日には反動でサボり、また次の日に時間があって気が向いたら2時間程度やったりやらなかったり、、といった程度の勉強量でした。机に座って勉強した時間は合計しても20時間程度だったかもしれません。
結局リスニングの勉強が中心になり、リーディングは専用の対策をろくすっぽしないまま一回目の本試験がやってきました。しかしやはり掴みかけていた感触は確かなもので、本試験が終わった直後から「これは今までとは明らかに違うぞ、どこまで点数が伸びるだろう」とワクワクしながら家路についた記憶があります。
13.五月末、第一回本試験結果
得点:720点
リスニング:375点 リーディング:345点
なんとこれまでの最高得点550点を170点も塗り替える凄い伸び幅を見せました!!
特にリスニングの伸び幅がやはり凄く、リスニングだけで130点も更新しています。本当にわずか三週間ほどの勉強でここまで劇的に変わるものなのか、と自分でもかなり驚きました。やはり英語に対する頭の処理速度を上げさせるという作戦は間違っていなかった様です。勉強と言うより訓練ですね。
目標の750点まではあとわずか30点です。
少し長くなりすぎてしまったので、次の六月末第二回テスト以降の顛末については次回記事に書かせてもらいたいと思います。読んでいただきありがとうございます。
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