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【社会】

低アルコール飲料、未成年が誤飲の恐れ 

2012年4月22日 15時00分

 果実系のカクテルや低アルコール飲料など、ジュースと見誤るような商品が店頭にあふれる中、子どもの誤飲や、未成年者の飲酒のきっかけとなる恐れがあるとして、税務署は、コンビニエンスストアやスーパーなどが酒の売り場をきちんと表示しているかどうかの監視を強めている。酒とはみなされないノンアルコール飲料の販売には年齢による規制はなく、消費者団体からは「飲酒の疑似体験につながる」とルール作りを求める声も上がっている。

 名古屋市中区のコンビニの棚にレモンやモモ、リンゴを大きく描いた缶が並ぶ。一見、果実ジュースのようだが、アルコールを含んだサワーやカクテルなどだ。

 酒類業組合法に基づく国税庁の表示基準に従い、缶には「お酒」との表示があり、陳列棚も「これはお酒です」と札やシールで示されて、ジュースと交じらないよう配慮されている。それでも国民生活センターによると「子どもがジュースと思って親の買い物かごに入れ、誤飲する事故がある」という。

 名古屋国税局の管内(愛知、岐阜、三重、静岡県)には酒類の販売店が1万8千店あるが、陳列棚の表示ミスや販売管理者の未届けなどの違反が2010年度で719店あり、08年度に比べて1・5倍に増えた。売り場の模様替えや季節商品の入れ替えの際、酒売り場の掲示を忘れる例が目立つという。

 「誤飲だけではなく、中高生が飲酒を始めるきっかけになる」と危ぶむのは、鳥取大准教授の尾崎米厚(おさきよねあつ)さんだ。

 自ら携わる厚生労働省の飲酒経験率の調査で、中高生の飲酒経験率は04年以降、女子が男子を上回る。08年は高校女子63・2%、高校男子59・6%。「女子はチューハイやサワー、カクテルを好む。見た目や味がジュースに近づき、お酒への敷居が低くなっているのでは」と推測する。

 飲酒運転を防ごうと開発され、人気を集めるノンアルコール飲料にも懸念が広がる。

 「酒税法の定義によれば、1%未満は酒類ではない」(名古屋国税局酒税担当者)ため、ノンアルコール飲料には表示や陳列、販売時の年齢確認などのルールがなく、未成年が買おうが飲もうが罪には問われない。各メーカーは缶に「20歳以上の飲用を想定して開発した」と表記し、小売店によってはレジで年齢確認して販売を断っているが、いずれも自主規制だ。

 消費者団体の主婦連合会は今年1月、国税庁と消費者庁に「飲酒の疑似体験から実際の飲酒へと誘引する危険性が大きい」として、ノンアルコール飲料へのルール作りを求める要望書を出した。

(中日新聞)

 

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