エコ・ピックアップ:大卒者の3割は3年以内に離職 退職を強要する企業の存在も
2012年04月23日
こんな例もある。10年春、大手メーカーに勤務する男性がPOSSEに相談に訪れた。男性は大卒で09年に入社。前年秋にリーマン・ショックが起きた。辛くも「内定切り」には遭わなかったが、入社半年で子会社へ出向。仕事は書類整理などの雑務だけだった。男性は「おまえは不要」という会社のメッセージと受け止め、耐え切れずに自己都合で退職したという。
今野さんは「リーマン・ショック後の雇用調整は、非正規雇用の『派遣切り』だけではない。製造業やIT産業を中心に、新入社員が自己都合退職に追い込まれたケースもかなりある。日本企業の総グレー化が進行している」と危惧する。
早期離職は、若者個人の失業という問題にとどまらない。離職に追い込まれる過程で心を病む人も多い。回復して再就職する人もいる一方で、数年が経過してもなお、仕事に就けない人もいる。
「企業が利益追求のため、法的、人道的に許されない方法で人を窮地に陥れている。それは不本意な離職者を増加させるだけでなく、結果的に医療費を増やすなど社会全体のコスト増加にもつながっている」と今野さんは強調する。企業はこの指摘を正面から受け止める必要がある。