エコ・ピックアップ:大卒者の3割は3年以内に離職 退職を強要する企業の存在も
2012年04月23日
若者の労働相談に応じているNPO法人POSSE(本部・東京都世田谷区)には、この男性のように離職に追い込まれたケースの相談が相次いでいる。「大量に採用しておきながら、入社後に厳しく選別するのがブラック企業の特徴の一つ」と今野晴貴代表は話す。気に入らない社員は、入社後まもなくからあの手この手で離職に追い込む。簡単に解雇はできないため、証拠が残りにくいいじめや嫌がらせで巧妙に退職を強要する。POSSEへの相談者の中には、自己都合退職を申し出るまで、小学生用国語ドリル数十冊の課題を強いられた男性もいたという。
■広がる「グレー企業」
このように意的に離職に追い込むブラック企業ほどではないが、結果的に若者を離職に追い込む「企業のグレー化」を危惧する声も広がっている。法政大学キャリアデザイン学部の児美川孝一郎教授は「大卒者の能力低下や我慢が足りないといった若者の側の問題ではなく、長時間過密労働など働かされ方に問題があるケースが目立つ」と見る。
グレー化の背景にあるのは、リーマン・ショック後の企業の経営環境の悪化だ。