エコ・ピックアップ:大卒者の3割は3年以内に離職 退職を強要する企業の存在も
2012年04月23日
また、大学進学率が5割を超え、「とりあえず就職できればいい」と労働条件や仕事の中身を吟味せずに入社する学生もいる。一方で、有名大学出身の「優秀な学生」が理想と現実のギャップの中で自信を失って職場を去るケースも少なくない。学生時代はディベートで相手を論破するのが得意でも、仕事では打ち負かすだけでなく、意見の異なる相手と折り合う力が必要とされる。
◇「ブラック企業」という存在
だが、これまで述べてきたような理想と現実のギャップなどの理由による離職というだけでは済まされない問題がはびこりつつある。それが「ブラック企業」という問題だ。詳しくは後述するが、広田さんによると、「経営者が夢を語って若者を釣り、入社後は過酷な労働条件で切り捨てる企業が増えている」というのだ。これについては、「許されない事態だ」と、とりわけ厳しい言葉で警告する。
■採用後に選別
「ブラック企業」という呼び名は、数年前からインターネットを中心にして若者の間に広がった。長時間労働や達成困難なノルマを強いて、入社間もない社員を離職に追い込む企業を指す。違法性があるないにかかわらず、実態として離職率が高い企業で、ITや小売りチェーン、外食産業に多いとされる。