エコ・ピックアップ:大卒者の3割は3年以内に離職 退職を強要する企業の存在も
2012年04月23日
【週刊エコノミスト 5月1・8日合併号】
◇望月麻紀(もちづき・まき=エコノミスト編集部)
内閣府が3月に公表したデータによると、大学新卒者の早期離職は依然として高い水準にある。2010年3月に卒業した大学生約85万人のうち就職したのは約56万9000人。このうち19万9000人が3年以内に離職すると推計している。
若者の早期離職は「7・5・3問題」と呼ばれてきた。雇用保険の加入状況を基にした推計では、中卒者の7割、高卒者の5割、大卒者の3割が就職から3年以内に退職することに由来する。実は、景気の良し悪しにあまり関係なく、20年以上にわたり、ほぼこの割合で推移している。日本経済は「失われた20年」と言われて久しい。「超氷河期」の狭き門をくぐり抜け、正社員として採用されても、大卒者の3割は3年以内に辞めてしまうのだ。
いわゆる平成不況に突入して以降、大学は学生の就職相談に力を入れるようになった。厚生労働省もハローワークに若者専門の相談員「ジョブサポーター」を配置するなど、大学生が就きたい職種と、実際に就職した先の「ミスマッチ」の対策にいくらかの手当ては行われている。企業の中には、直属の上司や先輩ではない社員を、新人らの相談役「メンター」として配置するなど工夫も見られる。