1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2012-04-16 18:02:00

「無許可ダウンロードに罰則」問題をもうちょっと考えてみた

テーマ:ブログ
前回の記事に対して、とても感動的なコメントを頂きました。
このブログを見に来てる同業のミュージシャンやシンガー、スタッフの人たちにもぜひ読んでもらいたい!と思って(無断ですが)コピペしました。

毎月のお小遣いが3000円の立場としては、タダで高音質フルサイズの曲が、簡単にDLできるのは本当に魅力的ですし、みんながやってることなんだから私もタダでDLしてみようか…と何度も思ったことがあります。
しかし、自分は新しく買ったCDを棚に並べて、少しずつ宝物のような大好きな音楽を増やしていく感覚が好きなので、いつもCDで買います。
お金を払うと、音楽が自分のモノになる気がするんです。

違法DLに慣れたらお金払って曲買うなんて馬鹿みたい…と思うようになるかもしれませんが、大好きな音楽には、素敵な時間を提供してくれたお礼としてお金を払いたいです。
コンサートのあと、素晴らしい演奏をした演奏家に拍手をするのが当たり前であるように、素晴らしい曲を提供したミュージシャンや音楽業界にお金を払うのは当たり前なんじゃないでしょうか。


…初めて赤文字使った(^_^;)。
Bmさん、お小遣いが3000円ということは中学生くらいでしょうか…?
すごくしっかりした考え方、文章で、自分が中学生の頃のことを考えると驚いてしまいます。
どうもありがとう!
あなたのような方が増えてくれると、良い音楽も映像も、もっとたくさん生まれてくるでしょう(^_^)。

エンターテインメントの仕事をしている人間は、「こういう若い人たちがいる」ということをしっかり肝に命じて、良い作品を生み出すためにベストを尽くさなければダメです。
少ないお小遣いの中からお金を出してもらうのだから。
ちなみに、僕のアニソン系楽曲やボカロ系で時々ギターを弾いてくれるRYO★T君も「気に入ったら必ずCDを買う」派ですが、21才の彼の周りでは変人扱いされてしまうそうです(^_^;)。


うーん。
僕が今中学生だったら、たぶん友達同士でファイル交換したり「コレいいじゃん!」とコピーしまくってると思います(^_^;)。
実際、昔はレコードやCDを借りまくってたし…。
でも、ホントに好きになった曲や、お気に入りのアーティストの作品だったら、応援したくなるので買うでしょうね。その人たちが活動を続けることができるように。

逆に言えば、そういう風に思ってもらえる音楽を作らないとダメですね!
僕みたいなノージャンルで雑多な音楽を作っている人間がこういうことを言っても説得力に欠けてしまいますが、少なくとも「やっつけ仕事」をしたことはない、と断言できます。


それと、CD売り上げ激減の一員として、ミュージシャン自身がCDをあまり買わなくなったということもあると思います。
90年代は1か月で20~30枚のCDを買ったりしてました。タワレコの試聴機コーナーで3時間粘って新譜をチェック、なんてこともザラでした。1曲でも気に入ったらアルバムを買うしかなかった…。
今だったら、iTunesで90秒も試聴してバラで買うことができますが。

制作会議とかで「今度は○○みたいな感じでいきたいんだよね~」という話が出れば、自分がほとんど知らないアーティストでも「ああ、アレね~、いいよね~!」とか言って、帰りにタワレコに速攻で行ってまとめて買ったり、とかね(笑)。

僕だけでなく、周りもみんな膨大に買ってました。
5千枚~1万枚のレコード持ってるDJなんてゴロゴロいたし、Key of LifeのメンバーだったDJ MOCHIDAなんか、レコード置き場のためだけに自宅以外に部屋を借りたりして…。
僕のアレンジ師匠の清水信之さんや、「踊る大捜査線」の松本晃彦さんとかも、CDショップの新譜コーナーで店員を呼んで、「ココからココまで全部!」と50枚くらい、まとめ買いするとか言ってました。
さすがに売れっ子アレンジャーは違うなあ…!と感心した記憶が…(^_^;)。

制作費が潤沢にあってギャラも多かったからこそ、そういうことができたわけですが、時代とともに、だんだん変わってきました。
某作家事務所に業務委託してた時は「今度のコンペはこういう感じでお願いします」とmp3ファイルが送られてくるようになり、そのうち、mp3さえもなくなって、メールに参考曲のYouTubeアドレスが書いてあるだけ、とか…。
ちなみに、僕はこの「参考曲」システムというのが大嫌いで、そのせいでコンペをやらなくなってしまったのですが、それは本題と外れるのでいつか書きます(笑)。

そういうわけで、昔は1曲だけのためにCDを買ったり、友達が出したCDや小説などは必ず買ってましたが、最近ではiTunesかAmazon MP3がほとんど。あとはYouTubeですね。
友達のCDでも「いいね!」と思わなければ買わなくなってしまいました。ゴメン…。
HAMMER君とか、あれだけアーティスト仲間が多いのに、全部CDを買ってるというからホントに偉い!と思います。


ミュージシャンやDJが買わなくなったCD枚数って統計では全然出ていませんが、けっこう影響あるんじゃないかなあ…。
DJたちも最近はbeatportとかでWAVを買ったりしてますね。彼らはmp3やAACの圧縮音源は基本的に買いません(フロアで流すと低音がカスカスで踊れないので…)。

あれ?やっぱりなんか本題からズレてしまいました(^_^;)。
CDでもダウンロードでも、「ホントに気に入った作品」ならぜひ買って下さいね。
僕らも頑張りますので…。


2012-04-14 18:13:26

「無許可ダウンロードに罰則」問題をちょっと考えてみた

テーマ:ブログ
最近はスタジオで寝泊まりしてしまう日が多く、テレビも新聞もないのでニュースに疎くなってしまっています。
休憩時間になるべくネット・ニュースを読むようにしてますが、今朝のトップニュースに「無許可ダウンロードに罰則」という記事がありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120414-00000375-yom-pol

法案成立すれば、音楽や映像をコンテンツ権利者に無断でダウンロードした違反者は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」とか。

僕は学生時代に著作権法を専攻していたので多少の知識はありますが、ちょっとこの罰金には驚きました。窃盗罪の罰金でも50万円以下なのに…。
つまり罰金だけ見ると、タワレコとかからCDを万引きするより、違法ダウンロードしたほうが重い罪になってしまいます。

一応僕もコンテンツ供給側の人間なので、レコード協会や音事協のお偉方が政治家に働きかけて議員立法した法案にあからさまな反対はできません。
ただ、メリットよりも社会全体にとってのデメリットが多くなる懸念はあります。

一番怖いのは、こういうことがエスカレートすると、国家が個人の趣味志向を監視するような体制になりかねないということ。時の政権を持つ人たちにとって都合の悪い考えを持つ人間を「違反の疑いがある」ということで、「どこそこにアクセスした」とか調べられてしまうような社会は怖いです。
えん罪も簡単に作れてしまいそうだし。

今のところ、「親告罪」という形なので、コンテンツの権利を持つ被害者、企業が警察に通報しなければ犯罪は成立しません。
それなら、レコード会社がダミーで自社コンテンツをダウンロードさせるサイトを作って、違反者のIPアドレスを通報しまくる「おとり捜査」的なことは許されるのか? …という問題もありますね。


もちろん、刑事罰規定を導入することで違法ダウンロードの抑止力になると期待しているのでしょうけど、実際問題どうなのかな…。
今回の法案の根拠になった「違法ダウンロードで被害総額7000億円」という数字だけ見ると、そんなにひどいのか!?と思ってしまいますが、これはトリックですね。

「タダだからダウンロードした」という人も多いだろうし、法案が成立したところで、コンテンツの売り上げが劇的に増えるわけはありません。
http://yamadashoji.blog84.fc2.com/blog-entry-533.html
(この方のブログがとてもわかりやすいです)


なんか刑事罰法案よりも、もっと根本的な問題がたくさんあると思います。
まず、業界全体が90年代のようなCDバブルの記憶は捨て去ること。
売上げ激減の数字を見て頭ではわかっていても、自分も含めてCDビジネスで良い思いをした記憶はなかなか消せません。

「音楽なんてタダで落とせばいい」のが当たり前になってしまった人たちにお金を出してもらうなら、もっともっと努力して魅力のあるコンテンツを作らないと。
それでスタッフも少数精鋭にして、アイディアも出さずにダラダラ働いて人はさっさと違う業界に行っていただきましょう。厳しいようだけど、現実を受け入れて頑張らないとダメですね。

そして、ダウンロードではなくアップロードのほうを厳罰化するほうが先決です。彼らはボランティアでやってるわけではなく、アフィリエイトやダウンロードサイトから利益を得ている場合がほとんどらしいので、「これは割りに合わない」というくらいの罰金にすればかなり減ると思います。
違法アップロードがなくなれば自動的にダウンロードもなくなるわけで…。


ダウンロードするほうには罪の意識がほとんどありません。
人のものを盗った、という感覚がないので。
もともと日本人はとても倫理観に優れた民族だと思います。
田舎の街道沿いによくある無人ショップが良い例で、「ミカン200円」とか書いてあって、農家の人が作った野菜や果物の横にお金を入れる箱が置いてあったりしますが、ほとんどの人はちゃんとお金を入れていくそうです。
それにアメリカ人が日本に来て必ず驚くのが自動販売機の多さ。向こうだったら、販売機を壊して商品やお金を持って泥棒が多発するので、商売にはならない、とか。

それだけ倫理観の高い日本人でも違法ダウンロードが多いのは、「別に自分が持っていっても誰も困らない」と思っているから、という面もあると思います。
ミカンを黙って持っていけば、必ず減ってしまうから後ろめたいけど、デジタルコンテンツは減ることはありません。CDショップの万引きは絶対にしない人でも、ダウンロードはバレなければやってしまう人も大勢いますよね。

かなり前からJASRACは「みんなが勝手にダウンロードすると、クリエイターにお金が入らず、質の良い作品が減って結局みんなが損をする」みたいな論調で啓蒙活動をしてますし、もちろんそれは正しいのですが、イマイチ説得力と実効力に欠けます。
やるなら小学生の道徳の時間に入れるくらいやって欲しいけど、今さら無理ですね。


それと、違法ダウンロードがなくなっても、YouTubeやニコ動を見れば、いくらでも音楽が聞けるわけだから、わざわざお金を出してまで買おうと思いません。
僕自身、大好きなアーティストか、これは高音質で聞きたいと思う曲以外は、CDでもダウンロードでも買いません。YouTubeを見れば普通に満足してしまうので(^_^;)。
それにちょっと知識があれば、YouTubeやニコ動から音源をダウンロードすることも簡単です(僕も違法ダウンローダーになってしまう時もあります)。

リスナーとしてはいいけど、コンテンツ供給側としては今の状況は確かに困りますね。
僕の意見としては、正規版を買ってくれた人がちゃんと満足感を得てもらうことが大切だと思います。
今のところはiTunesなどから買っても、YouTubeから落としても音質的にはほとんど変わりません。

レコード協会のお偉方に考えて欲しいのは、監視社会になる危険性を内包した法案より、YouTubeやニコ動の音質コントロールです。
実際、YouTubeにアップする時はレベルを低く設定しているメーカー(ユニバーサルやワーナーなど)もありますが、他社アーティストの音源がフルビットだと、地味に聞こえてしまいます。YouTubeを宣伝ツールだと考えると地味に聞こえるのは不利なので、他社では普通に音圧を上げてアップしてる場合が多いです。さすがにフルサイズでPVアップするケースは減ってきましたが。


マスタリングの音圧競争と同じで、他がやるからこっちも…と考えて結局自分たちの首を締めてしまうので、レコ協&音事協の力で、例えば「動画サイトのアップ時はマイナス6デシベルを越えないように」とか決めてしまえばどうでしょう?

普通にYouTubeで聞いたりダウンロードもできるけど、正規版で買ったらもっとカッコいい音で聞ける、ということが常識化されれば意識も多少は変わってくると思います。
(PC内のiTunesなどに並べたときに正規版のものは大きく、迫力ある音で聞こえる)


僕が中高生の頃、「レコードレンタル→カセットにダビング」や「CDレンタル→MDにダビング」をしょっちゅうやってましたが、1~10枚に1枚くらいはレンタルでは飽き足らず、結局CDを買うことになりました。
歌詞カードや(洋楽の)解説を読みたい、という気持ちもあったけど、一番はCD音質でガツンと聞きたい、とか気に入ったアーティストだから手元に持っておきたい!というのが大きな動機でした。

正規版を買った人が不公平感を持たないようなルールが作られればいいですね。
ウチのスタジオにPro Toolsを導入した当時、プラグイン(WavesのDiamondなど)だけで120万円以上買いました。
でも後日、それのクラック版がほとんど出回ってると知った時の虚しさといったら…(^_^;)。

いくらでもコピーできてしまうデジタル時代だからこそ、みんなでアイディアを出し合って、音楽文化、映像文化が廃れないようにしたいですね。
もちろんクリエイターは死ぬ思いで頑張って、ベストの作品を出す事が大前提ですけど。


…などと、久しぶりに固い話をダラダラ書いてしまいました(笑)。



2012-04-07 23:56:04

【R-18】45分の恋人【SAKAMOTO-P feat.初音ミク】について

テーマ:ブログ
おかげさまで忙しい毎日を過ごしています。
ブログ、また遅れがちですみません(作曲やレコーディングなどいろいろあっても発売日まで3か月以上あるとまだ書けなかったり…)。

ところで、4/1に「45分の恋人」というボーカロイド曲のPVがニコニコ動画で公開されました。SAKAMOTO-P feat.初音ミク、という名義でCDに収録されていた曲です。
すでに2万回以上の再生数ということで、多くの方に見てもらっています。



(※YouTubeはコチラ


「R-18」と銘打ってあるように、大人向けの内容です。
風俗嬢が主役なのですが、エロさより「切なさ」を表現したいと思って仲間たちと作りました。
(18才未満でもちゃんと理解できる人も多いので別に問題ないのですが、一応R-18で)

作曲は1日、アレンジ演奏は2日間という通常ペースでしたが、初音ミクの音声編集(調教って呼びます)とミックスに5日もかかってしまいました(笑)。

最初は普通のミク声を使ってたのですが、どう調教しても自分が思い描く雰囲気にならず、世界観がブチ壊しになってしまいます。それで、それまで使ってなかった追加音声ライブラリ「初音ミク・アペンド」を使い、その中のsweetというウィスパー・ボイスを使ったらバッチリはまってくれました。

2年前に調教してニコニコ動画1位になった「LOL~Lots of lough」の時は機械的な歌声のほうが曲に合っていたのでラクだったのですが、「45分の恋人」は人間っぽくないとダメなのでけっこう限界まで頑張りました。

ただ、ウィスパーなのでそのままでは音量も小さく、コンプ、リミッター、EQ、ディエッサー、ディレイ、リバーブを何度も調整!
特にサ行の言葉(「シャワー」とか「背中」)はウィスパー系の歌に色気を出す大切な要素なので、ディエッサーの調整には時間がかかりました。このへんはプロ生活20年のワザがいろいろ生きてます。
逆に、今はプロもアマも関係ない時代なので、それくらい頑張らないとダメでしょうね(^_^;)。

アレンジのほうでもボーカルの邪魔になるサウンドは全部カットして、必要最小限の音数にしました。
ある種の懐かしさ出すために、ソフトシンセは極力使わず、ハードシンセでビンテージ系の音色を中心に作りました。ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」で使われたフルート(サンプラーの元祖・メロトロンによる演奏)の音や、ジャズ系オルガンの音など。

ただそのままだと「ただのレトロ」で終わってしまうので、リズム・アレンジはティンバランドやポロウ・ダ・ドンなどHIP HOP系プロデューサーがよく使う新しめのドラム音色を隠し味的に使ってたりします。
懐かしさと新しさが同居する音楽、というのが僕がKey of Lifeでデビューした頃から一貫して考えてるテーマなので…。


元々この曲は、僕がプロデュースした初めてのボーカロイド・アルバム、
Lots of Love feat.初音ミク/初音ミク

¥2,000
Amazon.co.jp

…を制作してる時に、友人の作詞家・エンドケイプさんと1曲共作しようという話になり、どんな曲がいいかな?と考えていた時に、彼が4、5年前に発表した「イメクラの血液。」という小説のことが浮かびました。

$坂本裕介(Key of Life)のノージャンル・ミュージック

池袋の風俗店に勤める女の子が日記風に綴った短編です。金原ひとみさんの芥川賞受賞作「蛇にピアス」に通じる、暗くて切ない世界観…。短編なのでストーリー展開は少ないのですが、あまりにリアリティーがあるので、「これホントに男が書いたの?」と驚いた記憶があります。

それで、せっかくエンドケイプさんとコラボするなら、今までの初音ミク曲になかったパターンにしようと、風俗嬢をテーマに選んだわけです。
最初にメロディーラインと「45分の恋人」というフレーズだけ作って渡したら、すごく良い歌詞が送られてきました。「歪んだ笑み=笑い方忘れたから」とか「2人の声 有線さえ掻き消して過ぎてゆくの 45分の空白」とかグッときます。

僕自身も時々作詞をするので、メロディーとの絡みにはかなりうるさいのですが、自分には絶対書けないフレーズが出てくるとすごく嬉しくなります(^_^)。
「割チケで愛を交わす」とか「喘ぐ」「白濁」とか、あまりに直裁的なフレーズはカットさせてもらいましたが…(^_^;)。

そういうフレーズも小説だったら全然問題ないのですが、歌だとちょっと…。
同様に、ヒロヨシ氏のイラストのほうも最初は18禁ゲームみたいな感じで、ミクが誘ってるみたいな表情だったので「もっと切ないテイストでお願いします」と書き直してもらいました。

$坂本裕介(Key of Life)のノージャンル・ミュージック

曲とイラストが完成するまで紆余曲折ありましたが、天才動画師「三重の人」のPVによってアートっぽいイメージになり、報われた思いがします。PVの最初に出てくるベッドの3Dモデリングなど、ちょいちょいと作ってしまう早業はホントにすごいです。
センスとテクニックが両方ともトップレベルにある動画クリエイターはホントに希少なので、そのうちホントにハリウッドに持っていかれてしまうかもしれません。

でも、ニコニコ動画は辛辣なコメントが付く場合も多いので、「エロを売り物にした」とか「そこまでしてCD売りたいか?」みたいな批判が出る事は覚悟していましたが、ほとんどの人が好評価だったので安心しました。制作者の思いがちゃんと伝わってくれた~」と(^_^)。

ただ、念のために書いておくと、この曲は決してそういう職業に就いている女性を礼参しているわけではありません。
もし僕の知人や親戚だったら「お金以上に失うものが多いからやめたほうがいい」と言うかも。
(偉そうなこと言えるほど清廉潔白な人間ではないけれどw)
「職業に貴賤無し」という言葉のとおり肯定も否定もしませんが、いくら不景気といっても今の日本なら普通のバイトしても食べていくことはできるはずだし…。

ただ、何らかの事情で、どうしてもそういう仕事をせざるを得ない女の子もいるかもしれない。
身内が重い病気とか、借金を背負わされてしまったとか…。
「45分の恋人」の主人公のミクにはそういう事情があると思って、「バーチャル的な切なさ」を感じていただけたら…と思います。





2012-03-20 17:56:59

ジョー山中さん、高橋洋子さんなど

テーマ:ブログ
セガさんから3DSゲームのスペシャル法人特典「LOLテレカ」が送られてきました。
ウサギをかぶったミクがとっても可愛いです(笑)。

$坂本裕介(Key of Life)のノージャンル・ミュージック

でもテレカってここ10年くらい使ってないですね。電話ボックスも見ないし。
ノベルティ・グッズとして生き残っているのかな。
この曲「LOL」が初収録されたCDはこちらですね。何回目の宣伝かな?(^_^;)

Lots of Love feat.初音ミク/初音ミク

¥2,000
Amazon.co.jp



さて、話は180度変わって前回のジョー山中さんの話の続きです。
百数十人のシンガーの人たちと仕事してきた中で、なぜ何度もブログに書くほどジョーさんは特別だったのか?
それは最初に認めてくれた一人だったからです。
どんな業界でも同じだと思いますが、クリエイターにとって、無名で駆け出しの頃に仕事を頂けた方には足を向けて眠れません。それほど最初の仕事を得るのは大変です。

逆の立場になって考えればわかりますが、実績がないクリエイターに仕事を発注するのはすごく勇気が必要。サラリーマン的なディレクターではまず無理でしょうね。もしも失敗すれば、実績のない新人を使った側の責任になってしまうので…。

僕は今でこそ、音楽業界に300人以上の知人・友人がいますが、大学三年くらいまではほとんどコネがありませんでした。CM音楽プロダクションに数人に知り合いがいる程度で、もらう仕事といえばCMやテレビ、ラジオ、ビデオのBGMばかり。

インストよりも歌ものが好きだったので、早くレコード会社やプロダクションの人と知り合いになりたかったのですが、なかなかチャンスが来ませんでした。営業やオーディションも全く行かなかったので仕方ないといえば仕方ないですが(笑)。
今だったらボーカロイド&ニコ動で簡単に作曲家デビューできてしまいますが、当時はそんなもの影も形もなかったし…。

そんな20代半ばの頃、最初にアレンジャーとして使ってくれたのがNSPの天野滋さん、そして作・編曲家として起用してくれたのが、すでにベテラン・シンガーだったジョー山中さんでした。
(二人とも若くして鬼籍に入られたのがすごく悲しいし残念です)

天野さんはアルバムがトータル250万枚も売れたフォークグループ「NSP」のボーカルでしたが、ジョーさんとテレビの歌番組で一緒になった時にあまりにも歌唱力が違うのですごく嫌だったそうです(^_^;)。
若い人は知らないと思いますが、それくらいジョーさんの歌声は凄かった…。
日本で最初に武道館ライブをやったり、カナダや中国で大ヒットしたり、ジャパニーズ・ロック&ソウルの先駆者でした(半分黒人だけど…)。

ジョーさんの歌声の凄さはこの動画を見てもらえるとちょっとだけわかります。



「人間の証明」などバラードはソウルフルでもっと素晴らしいのですが、この「SATORI」は欧米人が驚いたくらいロックの名曲なのでぜひ!(イントロ長いので忙しい人は1分半くらいからでも)

ちなみにこの曲は、ジョーさんがソロ・デビュー前にやっていたフラワー・トラベリン・バンド時代の曲で、カナダ&アメリカでチャートインしました。プロデュースは内田裕也さん&折田育造さんといういろんな意味でスゴいお二人です…(^_^;)。



僕のブログはアニメ・ファンの方も見てくれているので、他では読めない裏話も書きましょう。

こういうハードなロック系と、僕のアニメ仕事や初音ミク楽曲は一見、180度違いますね。
でも、ジョーさんもアニメ映画「あしたジョー2」でエンディングテーマを歌いつつ、声優もやっています。カーロス・リベラという敵の黒人ボクサー役でした。自分がジョーなのに、アニメの中では「(矢吹)ジョー、お前を必ず倒す」とか言ってて面白かったです。
他にも「エイトマン」のサントラも(こちらは僕もアレンジで参加)。

さらに、上の動画でジョーさんの横でギターを弾いてる丹波さんは、高橋洋子さんのエヴァンゲリオン主題歌「残酷…」や「魂のルフラン」のギタリスト(矢沢永吉さんのバンドでもずっと活躍されてました)。
ジョーさんを通じて知り合い、僕のプロデュース楽曲でも時々ギターをお願いしてます。ルックスはロンゲのチョイ悪オジサンという雰囲気wですが、センスとテクニックは抜群!

ブロッコリーさんのカードゲーム『アクエリアンエイジ』のテーマソングを僕が作ると決まった時、歌は高橋洋子さん、バックのギターは丹波さんというエヴァのお二人に依頼しました。
僕は特に「魂のルフラン」が好きで、大森俊之さん(ルフラン作曲)に負けないような曲を作ろう!と思ったわけです。
曲のタイトルや、サビ始まりの雰囲気もちょっと似てますけど…(^_^;)。



携帯の方はコチラで。

ただ似せてもオリジナリティーがないので、メロディーは音数多めで畳み掛けました。歌唱力がないと難しい曲です。
アレンジ的にはモロコのヒット曲「Swing It Back」(クラブ・ミュージックに詳しい人は知っているはず)のラテンハウス風味を加えています。男性コーラスは「Heart of Africa」というサンプリング音源です。カッコいいギターソロは3分すぎに出てきます。
でも歌手とギタリストが同じでも、セールスはエヴァの1000の1以下でしょう…(^_^;)(^_^;)。


高橋洋子さんは昔ユーミンのバックコーラスをしていたそうで、お酒の席でユーミンのモノマネをしてくれました(笑)。ちなみに当時のコーラスの同僚が「デ・ジ・キャラット」主題歌も歌ってた奥井雅美さん。高橋さんがアニソン業界に引っ張ったとか…。

今考えると、すごいメンバーがコーラスをやっていたんですね~。
そういえば竹内まりやさんもデビュー前はユーミンのコーラスやってた…ということは一番すごいのはユーミンさんかな(笑)。

僕が会った日本人女性シンガーの中でも一、ニを争う超・超実力派の高橋洋子さんですが、偶然ですが、ジョーさんの代表曲「人間の証明」をカバーしています。



これは大御所・佐藤準さんのアレンジですね。

ただ、さすがの高橋さんでも原曲には勝てていないようです。
あの歌は誰が歌っても越えられないでしょう。歌唱力の問題ではなく。
映画の役柄も歌詞の内容もジョーさんにピッタリ合いすぎていたので…。

「人間の証明」はいろんなバージョンが出てますが、やっぱり最初の映画版が一番でしょう。



サビの、高いBの音が出てくる所は何度聞いても泣けてきます。
兄弟7人で自分だけ肌の色が違ってたというジョーさん、天国ではMAMAと会えたのかな…。

あ、DATテープの発見の件は、さらに次回に…(^_^;)。







2012-03-18 00:42:46

3・11(とDATテープの発見)

テーマ:ブログ
「3・11」一周年から、あっと言う間に数日過ぎてしまいました。

自分なりに考えることも多かったのですが、軽はずみなことは書けません。だいたい、当日の昼までその日が「3月11日」ということも忘れ、あわててテレビの黙祷に参加した自分のような偽善者、いや非国民には何も書く資格はないです。わずかな募金やCD売り上げの寄付をしただけで一度も被災地に行けなかったし…。

ただ、原発に関してはほとんど人災だと思うので、責任を取るべき人たちは真実を伝えて、きちんと責任を取って欲しいですね。僕ら庶民だって、人生で何かミスをした時は結局自分で責任を取る以外に方法はないので(僕も自分のミスのせいで、けっこう苦しんでいます…)。

だいたい世界で一番地震が多い日本みたいな国に原発を作ろうなんて最初に言い出した人たちはどう思っているのでしょう? 処理施設のことも考えず、経済効率で突っ走ったあげくに取り返しのつかない事態になったわけで…。
でも、そういうことにまるで無頓着だった僕たちにも責任はあるし、マスコミもそう。

僕は幸い東電関連のCM仕事をしたことはなかったけど、友人たちによれば「非常に高いギャラ」が出ていたそうです。テレビCMに限らず、ラジオ、イベント、雑誌などあらゆる媒体で他企業の5~10割増しの宣伝費が出ていたとか…。
事故当初、テレビがあれだけ東電の言い分を垂れ流しにしたのも納得できてしまうような話ですね。そして、スポンサーから降りたとたんに批判ができるようになってきた、と…(^_^;)。


…なんてことを考えていると、だんだん日本の嫌な部分も見えてきてしまいますが、氷室さんをはじめ有名ミュージシャンの寄付、義援金はすごいですね!(事故責任がある人たちや企業が責任を取っていないのに…)
20世紀と違ってCDが売れない時代にあんな大金…。ファンじゃなくてもファンになってしまいそうなくらい素晴らしいことです。
自分に置き換えると、ちょっとだけ無力感に襲われますが(^_^;)。

いや、置き換えちゃダメです。
僕が尊敬するボランティアの先生、アジア・チャイルド・サポートの池間哲郎氏は「毎日を一生懸命生きること。そして幸せの数パーセントを誰かに分けること」がボランティアだとおっしゃっていました。その言葉を胸に一生懸命頑張っていきたいと思ってます。

最も大切なボランティアは、自分自身が一生懸命に生きること (DVD付)/池間 哲郎

¥1,680
Amazon.co.jp
(DVDの音楽を担当させて頂きました)



ひとりの日本人としては悲しみ、苦しみに暮れた一年でしたが、個人的にはここ10年で一番、新しい出会いが充実してました。10代から50代まで老若男女いろいろな方たちです。ミュージシャン&シンガーはもちろん、音楽以外のクリエイター、スタッフ、新人さん、そして上記の池間先生のような指針となる方まで。

震災のことはこの上なく不幸なことですが、素晴らしい出会いが多かったことは本当に嬉しく思います。もちろん、新しく出会った人だけでなく、今まで付き合いのあるすべての方が幸せになるよう、微力を尽くしたいと思っています。もちろん毎日そんなことを考えて生きてるわけではないですが、少なくとも今はそう考えています…(^_^;)。



個人的には去年の8月にジョー山中さんが亡くなられたのはとても悲しい出来事でした。最初に僕を作曲家として認めてくれた歌手の方だったし、それから20数年ファミリー的にお付き合いさせてもらっていたので…。

実は3月11日にスタジオの倉庫を整理していたら、20年前に僕が作詞作曲してジョーさんが歌ったマスターテープが出てきました。DATのテープです。
30才以上のミュージシャンや音楽業界人なら必ずと言ってよいほど知ってますが、一般の方は見たこともないテープでしょうね。

$坂本裕介(Key of Life)のノージャンル・ミュージック

5~10年前からwavファイルの受け渡しが普通になったので、業務用レコーディング・スタジオでも滅多に使われなくなりました。
カセットの3/4のサイズですが、音はCDよりも良いです(デジタルの周波数的に)。

中でも写真のKAO(花王)KXシリーズがトップブランドでした。ソニーやビクターなど電気メーカーを差し置いて、花王がトップなんて不思議でしたが、石けん製造で培った界面技術がDATテープと相性が良かったとか…。
あ、このブログ読んで「懐かしい~」と思った方はコメントorメールして下さい。
一緒に古き良き時代を懐かしみましょう(笑)。


ウチのスタジオには今でもDATデッキが2台あるのですが、普段はデジタル変換くらいしか使っていません。テープも200本以上あるし、他の使ってない機材と一緒に処分してしまおう!と思って整理したら出てきたのが写真の1本。

しかも、ただのマスターではなく大発見!(もちろん超個人的に)がありました。
仕事に戻らなければならないので、この続きは次回に…!
2012-03-10 02:25:43

ミクCDパーティー&近藤佳奈子さん ※長文注意

テーマ:ブログ
今日3月9日は「ミクの日」ってことで、セガのゲームも含め、いろいろな所で初音ミク関連の宣伝がされてたみたいですね。
僕がプロデュースしたミクCDが発売されたのを記念して、昨日ウチのスタジオでリリースパーティーをやりました。音楽業界で通常リリースパーティーといえば、CD発売直後にやるプロモーション・ライブ(昔風に言えばレコ発ライブ)のことですが、昨日のは単に参加クリエイターが集まったピザ・パーティー、というか飲み会です。
KeNちゃんが来られなかったので作曲家は僕だけでしたが、クリエイター17人のうち、首都圏在住の6人が来てくれて、久々に楽しく飲めました。最近仕事漬けだったし…(^_^;)。

まず、「ゆきゆっき」ちゃん。今回のCDでは2曲作詞しましたが本来は実力派シンガーです。
ニコニコ動画の第5期で優勝し、ドリーム・ボーカリストの一人としてSMEからメジャーリリース!
ドリームボーカリスト(初回生産限定盤)(DVD付)/オムニバス

¥3,360
Amazon.co.jp
CDもいいですが、ニコ動にアップされている「創聖のアクエリオン」はさらに素晴らしい歌唱です(^_^)。

そして、ハリウッドからも注目されてるという噂のスーパー動画師「三重の人」さん。
まだ若いけどホントにすごい才能で、インディーズ、メジャー問わず、PVのオファーが殺到してます。
前回書いた小室哲哉さんのボカロ動画も三重サンが担当するそうです。さすが!
良い意味でプロ意識が高く、冷静で謙虚な制作姿勢はジャンルを越えてリスペクトできます。

作詞家&小説家、マルチクリエイターのエンドケイプさん。僕が言うのもなんですが、かなり変わった人です(笑)。でもすごく言葉に関しての才能がすごいし、ファッションセンスも。
僕と彼がコラボした「45分の恋人」というアルバム収録曲があるのですが、かなり評判が良いので三重サンに頼んで動画を作ることになりました。楽しみです。

作詞家&シンガーのMORICOさん。僕とは長年の制作パートナーで、作詞作曲のコンビとして350曲もリリースされてます(9割くらいがアニメ、ゲーム、声優さん系)。アニメ系ではMORICOではなく「森ユキ」と名乗ってますが、最近ボーダーがなくなってきて、よくわからなくなってます(^_^;)。
元々はKey of Lifeのフィーチャリング・シンガーとしてデビューし、KI☆LAというユニットでも可愛い歌声を披露してます。

そして敏腕女性プロデューサー&作詞家のMAKIさん。敏腕なのに私生活ではドジ(?)というギャップが面白いし、異性関係の話は一同唖然としてここでは書けません(笑)。
今回のCDでは1曲だけの提供ですが、今後はMAKIさんがオーガナイズするライブ出演など、いろいろコラボする予定です。


…という感じで、従来のクラブ、R&B系の人脈とは全く違いますが、今すごく勢いのある人たちと接するのは刺激になるし、若いクリエイターから学ぶことのほうが、自分が教えることより増えてきたな~と実感する今日この頃です(笑)。



ところで、ミクの日の前日に『初音ミク and Future Stars Project mirai』の3DSゲームが発売されましたね。
エンドケイプさんとKeNちゃんが共作した「LOL -lots of love」が収録されています。音楽プロデュースと編集&ミックスを僕がやったので、セガさんからゲームが送られてきました(^_^)。

坂本裕介(Key of Life)のノージャンル・ミュージック

ジャケット、可愛いですね! 発売初日からかなり売れているようです。
でも僕は3DSはおろか、普通のDSも持ってない(笑)。自宅にWiiがありますが、ゲームをする時間がこの1年はほとんど作れませんでした…。
でもせっかくだし、これを機会に3DS買っちゃおうかな~? いや、ただでさえ3時間しか寝てないのに、いろんなゲームにハマってこれ以上寝ないとちょっとヤバイ(^_^;)。

そういえば、「三重の人」さんは2日間で2時間しか寝られないペースの時期もあると言ってました。
さすがに若い!(彼女はもっと若い!)
それにしても3DS、モノが売れないと言われるこの時代に500万台も売れたなんて…ちょっと信じられませんね(^_^;)。今までのゲーム機で最速記録だそうです。



話は変わりますが、セガさんといえば、子会社のWAVE MASTERさんから声優・近藤佳奈子さんのファースト・アルバムが発売されてます。

Album♪/近藤佳奈子

¥3,000
Amazon.co.jp

この『Album♪』というアルバムの中の「Album♪」という曲を僕が作・編曲しました(ややこしいなあ…)。いわゆるタイトル・ナンバーというヤツですね。
作詞は森ユキさんで、卒業アルバムをテーマにした、かなり胸キュンな歌詞です(^_^)。
曲調はポップなハウスという感じかな。レコーディング&ミックスも僕です。

コチラでショートバージョンが聞けます。



近藤さんは最近では人気アーケードゲーム『BLAZBLUE』(ブレイブルー)のヒロイン役として有名ですが、デビューした頃はブロッコリーさんの声優ユニット「G.G.F」として活躍してました。
G.G.Fとは「Gamers Guardian Fairies」の略。9人の声優さんがゲーマーズさんの守護妖精として、自分の地元の店舗を担当する、というユニークなコンセプト。元々は当時の木谷社長(現在はブシロード社長です…)が「声優界のモーニング娘。を作りたい」と言って始まった9人のユニットでした。
CDを3、4枚出しましたが、僕と作詞家・森ユキのコンビで全曲制作させていただきました。

当時印象的だったのは、デビューシングルのレコーディングの時、全員泣いてしまったことです。
ヘッドフォンを付けてブースで歌うという経験がみんな初めてで、自分の順番を待っているだけでガクブル、歌い終わると開放感でワッと泣き出すという妙な空気が生まれてしまい、僕もスタッフも思わず苦笑いしてしまいました(^_^;)。

でも女性というのは男より数倍順応性が高い生き物らしく、2回目のレコーディングでは全くトラブルなく歌入れをこなし、3回目ではもうベテランみたいな余裕で歌ってました(笑)。横浜アリーナのイベントなどではファンとの対応も完璧だったし、短期間でなぜこんなに変われるんだろう?とビックリさせられた記憶があります。

G.G.F当時は新人や無名だったのが現在はほとんど一線で活躍してる声優さんばかり…。近藤さんの他、井口裕香さんや後藤沙緒里さん、阿澄佳奈さん、廣田詩夢さんなど、ブロッコリー・スタッフさんのスカウティング能力はホントにすごいですね!
そういえば『けいおん!』さわ子先生役の真田アサミちゃんや、年間No.1声優に輝いた沢城みゆきちゃんなどもブロッコリーさんが最初の仕事、つまり初レコーディングは僕の自宅にあったスタジオでした。防音設備がない環境で、よく何十曲もレコーディングしたなあ…と自分で感心します(^_^;)。


近藤佳奈子さんはG.G.F時代の曲が好きだったそうで、自分のソロCDを出すのなら、坂本&森コンビの新曲を歌いたい!とプロデューサーに頼んでくれたそうです。いや~作曲家冥利に尽きるなあ。
そのへんはプロデューサーのむらさきさんが面白い記事を書いてくれてます。僕のスタジオ写真もいつのまにか出てるので、興味あるという奇特な方は見て下さい。
http://ameblo.jp/noise-bandaisan/entry-11081123837.html

むらさきさんは、セガグループの社員プロデューサーでありながら担当アーティストのアレンジやベースまで弾いてしまうミュージシャン、という面白い方です。
僕と同世代だったので、レコーディングの時は古き良き時代(80年代など)の音楽談義で盛り上がってしまいました(近藤さんそっちのけで…)。

今週の日曜日にリリース・ライブがあったので見に行きましたが、ライブハウスが熱気ムンムンですごかったです。ちょっと遅く行ったら、黒山の人だかりでステージが全く見えない(笑)。
演奏はカラオケではなく、むらさきさんをリーダーとする生バンドによる、同期モノ一切なしのライブでした。これは最近のアイドルや声優さんのライブでは希有なことで、近藤さんの歌唱力(とバンドを雇う予算)がなければ成立しません。

バンドも特にリズムセクションがメチャクチャ上手い! でも寿司詰め状態で聞くのは辛い!
何とか少しずつ場所を移動して見てましたが、まさに酸欠ライブで、ミュージシャンの譜面が湿気でシワシワになる状態…。すごいね(^_^;)。

ロック・テイストの曲が多いなかで、最後にやった僕の「Album♪」だけ妙にポップで浮いてました。
だいたい、ハウスの曲を生バンドで(しかもコーラスなしで)やろうというのが無理です(笑)。
次回、曲を提供する機会があったら、絶対生バンドが映える、TOTOとかジャーニーなど80年代っぽいロック曲を書こうと決意しました(^_^;)。
終わってから楽屋で挨拶に行き、「ファンの数に比べてキャパが小さすぎるから、もっと大きな所でやって下さい!」と思わず進言してしまいました…。


ところで、近藤さんは元々ゲーマーズ池袋店の守護妖精役だったのですが、今回のミクCDが一番売れてるのが、その池袋店さんらしいです。
グランミューズ・レーベルのスタッフが出向いたら、こんな感じで陳列されてたそうで…。
$坂本裕介(Key of Life)のノージャンル・ミュージック

ジャケット面出しで2段並びなんて、ちょっとビックリの優遇ですね。
スタッフさん、ありがとうございます!
もしかしたら池袋店の妖精だった近藤さんに守られてるおかげかも…? なんて中年男にあるまじきアホな妄想が浮かんでしまいました。
いや、もちろんただの偶然とわかっているんですが…(^_^;)。
(ブログ3回連続でCDの宣伝はさすがにしつこいので、これで終わりにします!)
2012-03-07 17:54:33

小室さんも初音ミク…?(^_^;) ※長文注意

テーマ:名曲シリーズ番外編
ニュースで見ましたが小室哲哉さんも初音ミクとコラボしたアルバムも出されるようですね。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2012/03/03/kiji/K20120303002751630.html

ネット界隈では案の定賛否両論で、ミクの権利を持っているクリプトン社に無断でやったとかやらないとかで、ちょっとした騒ぎになっているみたいです(笑)。


僕は小室ファミリーのブームになるずっと以前、TMネットワークの初期のアルバムが大好きでした。
『Rainbow Rainbow』とか『Self Control』とか、今聞いてもすごくカッコいいし、勢いにあふれてますね。

大昔の話になってしまいますが、あるアマチュア・コンテストがあって、当時僕がやってたユニットも応募したのですが、初応募でレベルも低かったので当然のように予選落ち…(^_^;)。
で、応募者には決勝コンテストの招待券が送られてきたので「どんなバンドが優勝するんだろう?」と思って行ってみました(確か中野サンプラザだったかな)。
そこで、優勝したのがTMネットワークだったわけです。

後で聞いた話ですが、小室さんはすでにプロ活動されていて、24チャンネルを駆使してデモテープを作ったそうで、カセット4チャンネルでシコシコ作ってた僕らとはハナからレベルが違いました(笑)。音質もそうですが、シーケンサーがまだ一般的ではなかった時代に聞いたTM初期の名曲「1974」は圧巻の一言!

ちなみにコンテスト当時は小室さん本人の作詞で、16才(小室さんにとって1974年)の時の思い出を書いた味のある詞でしたが、リリース時はなぜか別の作詞家さんがついてました。
コンテストの模様はラジオでも放送され、「1974」はすぐに大ヒットするような気がしましたが、時代が早すぎたせいか、華々しくデビューした割にはブレイクするまでに意外と時間がかかったみたいですね…(^_^;)。

ちなみにTMネットワークの「1974」のPVはここです。
デビュー直後でまだ予算がなかったんだなあ…と思ってしまいますが、学生服姿の若い小室さんやウツが見られる貴重なPVですね。



時は流れて…。
僕も大学時代に作ったCM音楽がきっかけでプロ・ミュージシャン(作・編曲家)になり、副業で音楽雑誌「キーボード・スペシャル」のライターもやってたのですが、そこで小室さんとは数回インタビューさせてもらって、作曲や機材のことはもちろん、例のコンテストの裏話など色々聞いたりしました。ライブの取材でボーカルの宇都宮さんや、TMのバック・ギタリストだった松本さん(B'z結成直後)にインタビューしたり…。

1989年の小室さんの最初のソロ・アルバム『Digitalian is eating breakfast』はプロデューサー&エンジニア日向大介さん(ロンバケで有名)の超豪華なプライベート・スタジオでレコーディングされたのですが、その取材でびっくりしたのは日向さんが小室さんのボーカルを「1曲平均200か所くらい切り刻んで」音質やピッチ調整をしたということです。

コンピューターによるDAWが進化した今ではよくある話ですが、当時はPro Toolsの前身Sound Toolsがやっと生まれるかどうか、という時代です。つまり、Perfumeや初音ミクでやってるようなことを20年以上前から小室さんはやってたというわけですね。
そのレコーディングで使われていたシンクラヴィアというマシンは何と1億円!
CDよりずっと音が良い100kHzで録音できるというお化けレコーダーでしたw
(ちなみに今ウチのPro Toolsでは192kHzで録音できますが、ここまで来ると録音されている音とリアルタイムで歌っている音の区別が付きません)

ただ、小室さんの声はちょっと変わってるので「この曲、こんなふうにエディットしないで、他の歌手が普通に歌ったらもっとヒットするかも…なんて思ったりしませんか?」と、ついつい聞いてしまい、本人もスタッフも爆笑(苦笑)みたいなこともあったり…。もちろん、そんなこと雑誌に書いたら事務所やレコード会社から苦情が来るので誌面では全部カットです(笑)。

…とまあ、それだけ小室さんは時代の先駆者だったわけで、音楽面だけでなくビジネス面でもオリコン5位まで独占という空前絶後な実績を作り、まさにスーパー・プロデューサーでしたよね。
なぜか僕の周りのDJたちは嫌ってましたが、たぶん嫉妬心とか、売れてるものに対するアンチ姿勢を取るほうがカッコいい、という風潮からきたものだったのでしょう…。


それからしばらくして、僕の先輩の某有名ミュージシャンの結婚式が都内のホテルであって、その帰りに地下駐車場に向かうエレベーターで小室さんと偶然二人きりになってしまったことがあります。取材をやってた頃からかなり時間がたってたので、おそるおそる「キーボード・スペシャルで取材させてもらってた坂本ですけど、覚えてないですよね…?」と言ったら「いや、キースペさんですよね。もちろん覚えてますよ。その節はお世話になりました」とニコッと笑ってくれました。

当時は何百というメディアが殺到していたので「覚えてる」というのは嘘だと思いますが、とても優しい笑顔でした。小室ブームの真っ最中だったのに、なぜかマネージャーやボディガードもつけず、さっそうと一人でフェラーリ(ポルシェだったかな?)で帰られていきました。

誰に対しても腰が低く、温厚なイメージしかなかったので、あの事件の時にはびっくりしましたが、「小室さんも半分被害者だったのでないか?」と個人的には思っています。
お金って、無いと困るけど、ありすぎると悪い人たちが寄ってきて怖いですから……。

今回ネットでは「小室も初音ミクに手を出して落ちぶれた」なんてメチャクチャなことを書いてる人もいますが、実際は時代がやっと小室さんに追いついた、というほうが正しいです。
できればボーカロイド・ブームに乗るのではなく、また時代をリードして欲しいですけど(笑)。


実は、2年前にニコニコ動画でヒットした「LOL」に続いて、僕自身のオリジナルでミク楽曲を作ろうと思った時、ふっと思い出したがTMネットワークの「1974」でした。
個人的なオマージュですが、そのエッセンスを入れて作ったのが「ワスレナイデ -Song of the Earth-」という曲(SAKAMOTO-P feat.初音ミク名義)です。
シーケンスとかBメロの流れが「1974」によく似てます。「自分でパクリのネタを紹介してどうする!?」なんて言われそうですが、本気でパクったらこんなレベルじゃないので(笑)。



埋め込みが見られない方はコチラで。

これは動画(特に2番以降)が本当に素晴らしいのでぜひ見て下さい!
映像クリエーターのしろもちさん(会ったことないけど)と何度も何度も打ち合わせして完成したのですが「粘って良かったなあ」と思いました。
ニコ動では「絵は素晴らしいけど曲は普通」とか書かれたりしてますが、プロデューサーとしては、むしろ本望だったりします。逆だと悲しいですから。「もっと良い動画だったら曲も生きたのに…」なんてね。



そして、「ワスレナイデ」のネタ元である「1974」のネタ元、と教えてもらったのがELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)の1981年の名曲「Twilight」です。



「1974」のAメロや、他のTMネットワーク楽曲によく似てますね(笑)。ELOはバグルスなどと並んで、エレクトロ・ポップの元祖といえるバンドです。Perfume(というか中田ヤスタカさん)もバグルスの「ラジオ・スターの悲劇」に間違いなく影響を受けてますね(もちろんパクリではなく、完全に消化しきっています)。


ELOのジェフ・リンはオリビア・ニュートン・ジョンの「ザナドゥ」(ソフトバンクCMでもおなじみ)の作者としても有名ですが、ビートルズの各メンバーのプロデューサーもやっていました。
才能あるなあ…。

そして、ビートルズの最後のアルバムといえば、この名盤ですね。

レット・イット・ビー/ザ・ビートルズ

¥2,548
Amazon.co.jp


アレ!?
さっきの「ワスレナイデ -Song of the Earth-」が収録されているアルバムに似ているような…。

Lots of Love feat.初音ミク/初音ミク

¥2,000
Amazon.co.jp


偶然だなあ(^_^;)。

まあ、音楽文化はいろいろつながってるからこそ面白い!というわけで…。
アルバム『Lots of Love feat.初音ミク』、本日発売ですので、よろしくお願いしますね(^_^;)。

2012-03-05 14:38:19

ボーカロイドの光と闇(その2)※長文注意

テーマ:WORKS
いや~、ものすごく久しぶりのブログ更新です。前回書いてから何と4か月以上たってしまいました。
しかも「この続きは明日書きます」と書いておきながら(^_^;)。すみません…。
仕事が一段落して、今度から頻繁に更新するのでよろしくお願いします。


震災後のどん底から日本全体も音楽業界も少しずつ元気を取り戻したようで、昨年秋から超多忙になってしまいました。多い時は6つのプロジェクトを同時に抱えてたり…。
Pro Toolsで一つの曲を途中までアレンジしたら、今度は別の仕事のボーカル・レコーディング&編集、と思ったら声優さんのレコーディング打ち合わせがあったり、その次は別のCM仕事でビデオトラックを同期させながらインストを作る…など、頭をどんどん切り変えなければならない日々が続きました。ノージャンル・ミュージックといっても、こんなこと続けてたら多重人格になりそう(^_^;)。

中でも大変だったのが前回でも触れた初音ミクのプロジェクト。これは音楽制作より全体のプロデュースのほうが数倍大変で、すごく時間を取られました。イラストレーター(絵師)さんや映像制作者(動画師)さんなど、音楽以外の10数人のクリエイターさんとそれぞれメールや電話、打ち合わせ、さらにレーベル側との予算やスケジュール管理、宣伝会議などなど。
自分が直接関わってない楽曲でも作詞やアレンジ、動画のチェックや修正の依頼などしたので、毎日がメールの嵐!
多い時は30通以上も長文メール書いていた時期もありました。

東京近辺に住んでいるクリエイターとは実際に会って打ち合わせするほうが好きですが、地方在住の方とはそうもいきません。なので、必然的にメール中心になります。
firestorageでやりとりした音楽やイラスト、動画のファイルをお互いに見ながら徐々に作り上げる、という、良く言えば21世紀らしいプロダクションですね。中には50通以上もメール交換したのに、相手の本名や年齢、性別さえも知らないクリエイターさんもいます。

僕は昔、雑誌のライターをやってた時期もあったので、パソコンで文章を書くのは割と早いほうですが、そこまでメールばかり書くと、もうPCキーボードに触る気力が残りません。
仕事が早めに終わって「いろいろ面白いことあったからブログでも書こうかな」と思っても書く元気がないので、小説やマンガ読んだり、DVDを見たりしちゃって…というのが現実。いや、言い訳ですね(笑)。

まあ、そんな甲斐もあって、当初予想より3ヶ月以上遅れたけど、なかなか良いアルバムが作れたんじゃないかな。
ボーカロイドの場合は音楽だけでなく、ビジュアルも含めた上での作品だと思っていますが、歌詞カードのデザインも含めて、そういう意味では満足できるアルバムです。ジャケットの元ネタは35才以上の人なら誰でも知ってるであろう、ビートルズのアレです(笑)。

Lots of Love feat.初音ミク

¥2,000
Amazon.co.jp


ボーカロイドはシンセサイザー、リズムマシン、サンプラーと匹敵するくらいの大発明だと思っています。音楽の作り方はもちろん、音楽ビジネスそのものにも大きく影響を与えているので。
なんといっても「初音ミク」の声とキャラクター、それとニコニコ動画の存在が大きかったですね。

僕の高校時代には、周りに歌ってくれるシンガーがいない場合は友達に紹介してもらうか、雑誌のメンバー募集や楽器店の張り紙などで探すしかなかったわけです(笑)。それでやっとシンガーが見つかっても、いざ歌ったら音程が悪かったり、歌が上手くても性格が合わなかったり、逆に合いすぎて恋仲になり、三角関係のトラブルになったり…とか、いろいろ大変でした。
それでやっと曲を作って、バンドでスタジオをレンタルしてリハーサル、それでデモテープを作ってレコード会社やライブハウスに送ってやっと発表できる、と。
ふう。書くだけでも疲れますね(笑)。

それが今や、自宅で音ネタをちょいちょい組み合わせてオケを作り、歌詞を書いてソフトに流し込んだらボーカロイドが完璧な音程で歌ってくれます。完成したら即座にニコニコ動画にアップして、何万人もの人が聞いたり、コメントをくれたりしますね。
ニコ動ではボーカロイド以外に、ボカロ曲を「歌ってみた」という人たちがあっと言う間にスターになるケースが頻繁におこります。その中で人気の曲はオリコンやカラオケチャートでも大ヒット!
バンドがブレイクするまでにライブハウスで何年も苦労するのに比べると、あまりにも簡単すぎて、レコード会社って何のために必要なの?と言われてしまう時代です(^_^;)。
とにかくここ数年の変化は激動といえるくらいすごかったですね…。


僕はこの2年近く、自分で投稿はしませんでしたが、時間があったらニコ動(もちろんYouTubeもだけど)はよく見てました。誰でも投稿できるので、正直つまらない作品も多いのですが、人気上位に入る動画&音楽はプロ並み、いやプロでも作れないスゴイ作品がたくさんありました。特にCG関連はテレビより進化のスピードが明らかに早いと思います。

それに加えて素晴らしいのは「歌ってみた」動画で、シンガーのルックスや年齢に全く関係なくヒットが生まれること。
従来の音楽業界では「女性ソロでデビューできるのはは22才まで」とか「やっぱりルックスが良くないと」とか、「事務所の力でウン千万円かけて宣伝体勢」みたいな会話が飛び交って、歌そのものの魅力を語る業界人がほとんどいませんでした。
地上波テレビは一部の大手事務所が独占してる状態(深夜帯を除いて)だし、FM局さえも「宣伝協力費がすごいから、つまらない曲だけどヘビーローテする」状況…。

そういう中で、全くしがらみに関係なくヒット曲が生まれるニコ動&ボカロ界隈は素晴らしい。ユーザーも結構耳が肥えている人もいるし、弾幕コメントなどの発明?も楽しいです。
ボーカロイドがなかったら世に出てこれなかったプロデューサーも結構いると思うし、そういう才能を輩出するムーブメントがあるのは幸せですね。僕が今高校生だったら、間違いなくボーカロイドにハマって、3日に1曲くらい投稿してると思います(笑)。


ただ、世の中、光があったら闇もあります。
ボーカロイドの人気が出過ぎたことで、声優さんなど可愛い歌声を持つ歌手の需要が落ちているそうです。僕の周りでも「アニ○イトとかのCDコーナーがミクちゃんばっかりで、私たちの居場所がなくなっちゃう」と話してたアニソン系シンガーがいました(^_^;)。
それにライブイベントでボカロ曲を無理やり歌わせられたり、とか。ボカロは超高音の曲でも息継ぎなしで歌えてしまいますが、それを人間にそのまま歌わせるのはダメですね。

あと、アイドル系コンペなどに使われるデモ曲の、仮歌シンガーさんの仕事が激減してるそうです。
全体の予算が減ってるから、作曲家も余計なコストをかけたくないって気持ちはよくわかりますが、なんか哀しいですね…。

ボーカロイドは面白いし、とても便利だけれど、やっぱり飛び道具というか「こういうのも時々聞くのは楽しいよね」くらいにしたいですね。やっぱり人間の歌のほうが素晴らしいし感動する!と信じていたい。
初音ミクCDを明後日売り出すプロデューサーが言うセリフではないかもしれませんが(笑)。
2011-10-24 21:41:02

ボーカロイドの光と闇(その1)

テーマ:ブログ
ブログ、なかなか更新できなくてすみませんでした。
今年後半はおかげさまで忙しくさせてもらってます。

先週完パケしたアルバムでは全10曲を作曲・編曲しました。レコーディング、編集、ミックス、マスタリングまで自分で全部やったアルバムは久々です。
去年夏からアーティスト(声優&シンガー)と少しずつレコーディングしてきた成果で、新曲だけどベスト盤みたいな自信作です。これは売れて欲しいなあ(^_^;)。


その間に、友人・知人アーティストのレコーディング、ミックス、マスタリングをやりました。
クラシック界のビリー・ジョエル(?)、古賀久士君、男性2人組R&Bユニット、Weather、そしてHAMMERプロデュースのAeLL.など。
AeLL.の曲はメンバーの篠崎愛さん主演の『パンツの穴』の主題歌に決まったそうです(^_^)。

HAMMERの個性がとても良く出ているキャッチーで元気づけられる曲なので、これもぜひ売れてほしいです。映画がヒットすれば自然にヒットするかな(^_^)。
ついでにAeLL.の曲調そのままなSometime Diveも…(そろそろ正体、見せたほうがいいんじゃない?)。

『パンツの穴』の予告編はこちら
ちょっとエッチな内容だけど、何だか懐かしくて微笑ましいです。
高校生くらいの男子だと仲間内で誰が最初に童貞捨てるか、なんてドキドキワクワクして当たり前。
早く捨てたヤツは「大人の階段昇った男」みたいな尊敬の目で見られたりします(笑)。
でも、ホントに大切なのは「いつ」じゃなくて「誰と」なんだけどね。
予告編見て「青春やなあ」「21年前の菊池桃子ちゃんは可愛かったなあ」とか思い出しました(^_^)。



話はコロっと変わりますが、Vocaloid(ボーカロイド)のアルバムも年内に出ます。
ニコニコ動画を見てる方にはボーカロイドなんて常識ですが、世間一般では「初音ミク」の名前も聞いたことない人もいます。これほど情報格差の大きい歌手(?)も珍しい。
簡単に説明すると、Windowsコンピューターに音符と歌詞を打ち込めば、そのまま歌ってくれるというソフトです。元は人間(たいてい声優さん)なのですが、普通に打ち込むといわゆるロボ声みたいな感じになります。

Vocaloidの最初のシリーズが出た時は、「こんなの誰が使うんだ?」みたいに思ってましたが、version2になって「初音ミク」が発売されてから印象がガラリと変わりました。あの声とあのキャラクターの奇跡的なマッチング…。

ちょうどその頃、某サイト運営する会社から初音ミクの音楽プロデュースの仕事を依頼され、Mac一筋だった自分がそのためにWindowsを買いました(笑)。使ってみるとわかりますが、簡単な割にはエディット次第で色々できてかなり面白い。
最初にミクを使ったのは2年前。自分のオリジナルではなく後輩ミュージシャン・KeNちゃんの「LOL」というテクノ・ポップ曲でしたが、ニコニコ動画でいきなり大ヒット。動画が素晴らしいこともあって1位になってしまいました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8033594

ソニーDVDやセガのゲームにも使われたものの、音源としてはずっとリリースしてませんでした。
そんなこともあって「CD出しましょう!」という話が盛り上がり、夏くらいから少しずつミク用の新曲も作ってました(^_^;)。
昨日のニコニコ動画・生放送でKeNちゃんと作詞のエンドケイプさんが2時間出演し、新曲のプロモーションをやりました。かなりの勢いで盛り上がってます(^_^)。

このへんまではボーカロイドの光の部分。

長くなってきたので、本題はまた明日書きますが、僕がリミックスした「LOL」のボサノバ・バージョンを先ほどアップしたので、「機械にボサノバなんて歌えるか!?」なんて思う方はぜひご覧下さい。
歌詞も動画もカラフルで素敵です。

携帯の方はコチラで。
2011-10-01 18:30:42

iTunes Store(とAmazon)など

テーマ:ブログ
前回書いた「For The World」、予想より早くiTunes Storeで配信されました。
$坂本裕介(Key of Life)のノージャンル・ミュージック

Key of Life

「For Our World (feat. Michelle & Mai)」


1日遅れてAmazonでも。たった1曲ではCDは作れないので今のところはMP3のみです…。

チャリティーソングですし、アーティスト名はどうでも良かったのですが、便宜上「Key of Life」ということになりました。
それにしても、すごい時代になりましたね。スタジオで完パケした曲を最短3日後には世界で発売することができるわけです。10年前にはとても考えられなかったなあ…。

僕は日本にiTunes Storeができる前からの会員で、アメリカに架空の住所を登録してUSAアカウントで曲を買ったり、試聴したりしてました。架空はもちろんイケナイことなんですが、住所登録を取りつぐサービスをしてくれる業者があったので…(^_^;)。
(クレジットカードは日本の住所のままでも大丈夫だったので、チェックは緩かったようです)

タワーレコードや小さな輸入盤ショップなどで「お宝レコード」探しをしていた人間にとっては、自宅に居ながら100万曲を検索、購入できるシステムはまさに夢のようでした。シスコやマンハッタンレコードなどの輸入レコードショップの人たちはどうなるんだろう…と思いながらも「一度覚えてしまった便利さ」にはなかなか勝てません。

その後、日本にもStoreが上陸し、あれよあれよという間に席巻…するかと思ったら、日本ではパソコンより携帯の普及率が多いためにシェア10%程度で留まっているそうです。
ちなみにアメリカでは有料ダウンロードの70~80%をiTunes Storeが占めています(最近ではAmazon MP3が急追してるみたいですが)。小売りマージンが30%という現状を考えると、どれほどApple社は儲かってしまうのか…? iMac発売以前、ライバルだったビル・ゲイツが助けなかったから倒産していた、なんてことが嘘みたいですね。
ちなみに僕は20年来、Mac一筋なので、かなりAppleに貢いでいます(笑)。

できたらAppleではなく、日本の会社がこういうシステムを作ってくれれば良かったのですが、「インターネット・ビジネスは一人勝ち」の法則は残念ながら事実のようですね。iTunesだけでなく、Amazon、Google、Facebook、Twitter…みーんなアメリカの会社です。日本で日本製のものを買っても、どんどんアメリカにお金が入るシステムが完全に出来てしまいました。
にもかかわらず、現在アメリカも失業率10%で苦しんでいる、ということは、一部のIT長者たちが世界の冨を独占してることになります。恐ろしいほどバランスが悪いですね。


バランスといえば、これを見て下さい。
$坂本裕介(Key of Life)のノージャンル・ミュージック

これはiTunes Storeで今回の曲が配信される国々の地図です。
世界配信!といってもこの23ヶ国だけなのです。北米とヨーロッパ、そしてオセアニアと日本。
アジアでは日本だけということになります。アップルストアは世界中にあるのに中国や韓国にiTunesのMusic Storeがいまだにない理由はおそらく違法ダウンロードが蔓延してるからでしょう(^_^;)。

ただ、それよりも僕自身が恥ずかしいと思ったのは、先進国だけが世界である、みたいな錯覚を持ってしまったことです。
今回のジャケット写真を提供して下さったアジアチャイルドサポートの池間先生によると、貧しさの中で飢えて亡くなっていく子供たちがすごく多いのに、世界全体からみたら決して食糧不足ではないそうです。
日本、北米、ヨーロッパなどの先進国は世界人口の2割なのに、食糧全体の70%を消費している、と。つまり、配分のバランスが悪すぎるわけです。毎日の学校給食から出る残飯はものすごい量らしいので、それなら最初から分量を減らして世界の子供達に分けたらどうか、と素人考えでは思うわけですが、そうそう簡単にはいかないようですね(>_<)。


そんなこともあって、今回はダウンロードの寄付金よりも、YouTubeを見た人の心のどこかにアジアの子供達の姿が残ればいいと思っています。写真のインパクトは絶大ですし。

普段、怠惰でいい加減な生活を送ってる僕でさえも、「ジャケットに写っている幼い二人(お姉さんと弟?)は今日はご飯を食べられたかな?」と気になってしまいます。
彼らはカンボジアのステンミエンチャイというゴミ捨て場で暮らしているそうです。ゴミ山の中にあるビンなどを拾って売って、一日中働いて100円も貰えない…。
おかしいでしょ? こんなの。少女売春やエイズ問題も解決の糸口さえ見つからないし。



ただ、そういうアジアの現状を20年間も支援し続けて来た池間先生でさえも、今年の東日本大震災の爪痕ほど悲惨な現実はなかった、とおっしゃっています。
僕がBGM制作した本の付属DVDでもショッキングな写真、映像がたくさん載せられています。仙台を拠点として、すでに300ケ所以上の被災地に支援物資を届けられたそうで、一度も東北に行っていない自分は恥ずかしいです…。

そういえば、氷室京介さんの先週の被災地寄付のニュースは素晴らしすぎて、ますます恥ずかしくなりました(笑)。僕は正直言って苦手なジャンルだったのですが、これを機にBOOWYも聞き直してみようかと思いました。
ああいう歌い方の先駆者ですし、50代になってますますカッコ良くなられたようで…。
6億6千万という金額もすごいですが、赤十字を通さずに自治体の長に直接お金を渡したのもGood Jobですね。100%リスペクトです。


今回のYouTubeのほうは出版関係の方々が「10万再生プロジェクト」と称して、ブログなどで紹介して下さっているようです。
http://ameblo.jp/dokusume/entry-11031594054.html
http://sakura-miyuki.jugem.jp/
(2011.09.28)

お会いしたことはありませんが、心は充分伝わりました。ありがとうございます。
毎日を一生懸命生きるしかない、と改めて思いました。

Amebaおすすめキーワード

    1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
    アメーバに会員登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト