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最終更新:2012年4月22日(日) 19時29分

「米軍基地」映画、沖縄に注目の理由

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 世界各地にある「米軍基地」をテーマにしたドキュメンタリー映画が公開されています。制作したのはイタリア人ですが、作品の大部分を占めるのは「沖縄」。その理由は、世界に類を見ない沖縄の基地問題の「特殊性」でした。

 「基地があっても、その基地を変化させようとするんじゃなくて、その基地に対応させるように、自分たちを順応させるように事実を受け入れてしまう」(討論会参加者)

 今月初め、都内の大学で開かれたイベント。大学生と議論を繰り広げたのは、29歳と33歳、2人の若いイタリア人監督です。

 『誰も知らない基地のこと』。彼らがこの映画の制作を思い立ったきっかけは、母国で2004年に発表された「米軍基地建設計画」と、それに伴って起きた大規模な反対運動でした。

 世界のおよそ40か国、700か所以上に存在する米軍基地。撮影は、それらを旅しながら行われました。基地建設のため、住民全員が強制移住させられたインド洋のディエゴガルシア島も訪れました。そして、「沖縄」で彼らは衝撃を受けたといいます。

 「沖縄は特殊です。多くの点で」(トーマス・ファツィ監督)

 「実際に沖縄に行ってみると、いかに多くの土地を基地が占めているか、いかに人々の生活と基地が近いのかが分かりました」(エンリコ・パレンティ監督)

 日本にある米軍基地のおよそ7割が集中する沖縄。世界に類を見ないその「密集ぶり」が異様な印象を与えたといいます。結果、作品の大部分を「沖縄」が占めることになりました。

 「私は沖縄出身なんですが、2人がもし沖縄県知事だとしたら、どのような基地返還後のビジョンを提案しますか」(討論会参加者)
 「そもそも基地がなければ、沖縄は日本だけでなく世界に向けた観光地になり得ます」(エンリコ・パレンティ監督)

 「沖縄の基地は沖縄だけの問題ではありません。日本全体の問題なのです。日本人一人一人が米軍基地について考えるべきです」(トーマス・ファツィ監督)

 沖縄返還から来月で40年。ヨーロッパの視点で「沖縄の基地問題」を見つめたこの映画は、日本全国で順次公開される予定です。(22日16:34)

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